イスラエルがシリアで危機を引き起こした目的とは?
-
イスラエルによるシリアへの攻撃
シオニスト政権イスラエルが、シリア国内で危機を引き起こす目的で同国各地への攻撃を続けています。
イスラエル軍の戦闘機は複数回にわたり、シリア南西部ダルアー市郊外のイズラー市周辺地域を爆撃しました。シリアのメディアは、イスラエル軍の戦闘機がシリア国防省の基地や軍用車両を複数回にわたり爆撃したと報じています。イスラエル政権軍によるこれらの攻撃に先立ち、同政権のネタニヤフ首相とカッツ戦争相及び合同参謀本部議長は共同声明を発表し、シリア南部スウェイダに進入したシリア軍と郡装備を占領軍が即時攻撃するよう命じていました。
イスラエルが安全保障上の主張を提起しシリア領土を攻撃したのは、今回が初めてではありません。バッシャール・アル・アサド元大統領率いるシリア前政権の崩壊後、イスラエルはシリア領土の一部を占領した上に、様々な口実で激しい空爆を実施し、現在はドゥルーズ派(レバノンを中心に、シリア・イスラエル・ヨルダンなどに存在するイスラム教系の宗教共同体)への攻撃を口実にシリア領土への侵略を正当化しています。
シリア南部スウェイダ県で発生した、暫定政府支援下の部族とドゥルーズ派グループ間の紛争は、シリア国内の他地域から紛争当事者双方の支持勢力による派兵・軍勢動員により新たな局面を迎えました。シリア現支配勢力のジャウラニ最高幹部とつながりのある勢力とドゥルーズ派の間の緊張は目新しい出来事ではなく、これに先立ちメディアでは、シリア首都ダマスカス郊外ジャラマナ市でドゥルーズ派武装勢力とジャウラニ派勢力の間で激しい衝突が発生したことが報じられています。
イスラエルがドゥルーズ派を扇動しシリア現支配勢力に対抗する同派への支持を表明したことで、両者の間に緊張を引き起こし、ジャラマナ市でドゥルーズ派武装集団とジャウラニ最高幹部に忠誠を誓う勢力との間で激しい衝突が発生しました。
イラン外務省のバガーイー報道官はシリア紛争に反応を示し、「シオニスト政権はシリア領土の大部分を占領を続けながら、シリアの領土保全に対する軍事侵略を継続している」と指摘しました。また、「イスラエルによる地域諸国への侵略行為に対する国連安保理の相変わらずの無策ぶりは極めて危険であり、イスラエル占領政権の横行闊歩に拍車をかける一因となっている」と指摘しています。
同報道官はさらに、ガザでの前代未聞の大量虐殺、及びシリアとレバノンへの継続的な攻撃など、シオニスト政権の違反行為と犯罪の阻止に地域諸国とイスラム世界が力を注ぐ必要性を強調し、「国際法と国連憲章の重大な違反続行の阻止は国際社会の責任である」と指摘しました。
イスラエルは、シリアの国防インフラ(防空・研究センターなど)を繰り返し攻撃することで、無制限にシリア領空侵犯できるよう同国から防衛能力を奪おうとしています。
シオニストが牛耳るイスラエル政権がシリアで危機を扇動する目的は、宗教・民族的対立を激化させて長期的な内戦を引き起こし、政治的安定を阻害し、和平プロセス、そしてシリア国内の安定につながるあらゆる政治的合意を妨害することにあります。イスラエルは特にここ数日、シリアで自らの邪悪な目的を達成すべく、アメリカの支援を利用しています。
また、イスラエルがシリアを攻撃する目的は領土拡大、シリアの防衛能力の恒久的な弱体化、シリア国内の情勢不安の隙につけこむこと、そして圧力下でのいわゆる関係正常化に向けた条件作りなどとなっています。これらの目標は、地域におけるイスラエル政権、米国、そして西側諸国の影響力拡大を目指す同政権の長期戦略の枠組みの中で策定されているものです。
地域諸国とイスラム世界は、協調と結束を通じて、シリアを含む地域での危機扇動を狙うアメリカ・シオニスト枢軸の邪悪な陰謀を阻止することが可能です。地域におけるシオニスト政権の行動は当然ながら米国の支持の下に行われており、数年前に米国とその西側同盟国によるイラクとアフガニスタンへの軍事侵攻から始まったシナリオの一部で、地域における安全保障上の危機と情勢不安の温床を作った形となりました。