オバマ大統領の成功・不成功を伴った8年間
アメリカのオバマ大統領が、任期最後の演説で、2期8年の自らの業績を上げ、同国の前に横たわる問題に関して警告を発しました。
アボルファトフ解説員
オバマ大統領は、この演説で、経済状況の改善、イランとの核合意、キューバとの和解、オサマビンラディンの殺害を自らの政府の大きな成果だとしました。その一方で、オバマ大統領は、アメリカ国内の不和、人種差別、社会的不平等、脆弱な教育・医療システムを8年の任期の不成功だとしました。
オバマ大統領の8年間の任期は、アメリカや世界の人々にとって、浮き沈みのある時代でした。彼が大統領に就任したとき、アメリカは1929年の大恐慌以来最も深刻な経済危機に直面していました。アフガニスタンやイラクでのアメリカ軍の戦闘もまた激しさを増していました。さらにアメリカ社会は、失業、破産、収入格差、社会的不平等など多くの問題に巻き込まれていました。こうした中、オバマ大統領は「Change」「Yes,we can」をスローガンに、アメリカの人々の変化を求める波に乗り、大統領に就任しました。
8年が経過した今、オバマ大統領はその任期を終えます。この間、オバマ大統領は一部の分野で成功を収めましたが、はるかに多くの分野で失敗に直面しました。
経済分野で、オバマ大統領は経済危機の深刻化を防ぐことに成功し、多くの経済破綻の危機を救いましたが、同時に肥大化した財政政策は、連邦政府の負債を二倍にし、予算でバランスを取れなかったことで、アメリカ史において二回目の政府閉鎖に追い込まれました。
さらに、この半世紀における最大の社会改革を銘打ったオバマケアにもかかわらず、オバマ大統領は、実際にはアメリカ社会をこのような恩恵にあずからせることはできませんでした。8年間の任期で様々な理由により、アメリカ国内の収入格差が広がり、より激しい人種差別が浮き彫りとなり、銃撃による暴力も増加しました。
収入の平等な分配、銃規制、人種の歩み寄り、移民法の改正、こういったものはオバマ大統領の社会分野における失敗と見なされています。
外国の政策においても、オバマ政権は、数多くの成功や失敗に直面しています。イランとの核合意、キューバとの和解、ビンラディンの殺害といった成功の傍らで、アメリカは8年間で多くの失敗に直面しました。例として、テロ対策への不行き届き、ロシアとの前例のない緊張発生、さらにISISの出現が挙げられます。
任期の初めに、ノーベル平和賞を受けたオバマ大統領は、この8年で、アメリカの戦争誘発、軍国主義政策を変えることができませんでした。彼はさらに、アメリカの無人機による攻撃の命令を出し、世界各国で民間人多数を死亡させました。
いずれにせよ、概して、オバマ大統領の失敗は成功よりもはるかに多くなっています。もしそうでなければ、アメリカの人々は大統領選挙で、オバマ大統領の道を継承するものとしてクリントン氏を選出し、トランプ氏のような人物を追い求めることはなかったでしょう。