イランが英仏独に発した警告とは?
イラン原子力庁のエスラーミー長官は、国際原子力機関(IAEA)理事会で反イラン的な行動に出ている英仏独に対し、「反イラン的な決議が採択されれば、イランがすぐさま対抗措置に出るのは自然なことだ」とけん制しました。
【ParsTodayイラン】IAEAのグロッシ事務局長がイランとの問題解決に向けてやりとりを続けていると表明している中で、英仏独の3カ国が今週開かれるIAEA理事会で反イラン的な決議の採択を画策していると一部メディアが伝えました。イラン側は先週テヘランを訪れたグロッシ事務局長との会談で、イランとIAEAのやり取りはセーフガード措置やNPT条約の枠組みで続いていくと強調しました。
グロッシ事務局長と会談したペゼシュキヤーン大統領は、「イランが原子力分野で追求しているものは、IAEAの規定・枠組みに則ったものだ」と語りました。
ペゼシュキヤーン大統領はその上で、「我々が以前から何度も誠意を示しているように、一部の疑惑提示により生じたイランの平和目的の核活動に対する疑念を解消するために、IAEAとの協力を続けていく。それは、世界全体がイランが世界の平和と安全を追求していると理解した今も変わらない」と述べました。
一方で、2015年の核合意から離脱・履行停止したのは米国や欧州側であるとし、「イランが核合意の規定を順守してきたことは、IAEAも複数の報告で確認している。核合意から一方的に離脱し、これを継続不能にしたのは米国の方だ」とも述べました。
会談に同席したイラン原子力庁のエスラーミー長官も、ペゼシュキヤーン政権が対外融和・平和志向であることを強調し、IAEAやイラン側の関係者の尽力に謝意を示した上で、「ペゼシュキヤーン政権下でイランとIAEAの関係は新たな時代に入ると確信している」と述べました。
グロッシ事務局長は自身のXでこの会談を振り返り、「イラン新大統領のペゼシュキヤーン氏との会談は、彼の見解を聞き、私の姿勢を説明する重要な機会となった」と投稿しました。
イランの原子力・核活動が平和目的であることは、核合意の締結によって確認されたはずでした。しかし、2018年の米国離脱後、IAEAへの圧力が強まり、イランの核活動に対する疑念が再び提起されるようになりました。
イランは、こうしたすでに解決済みのはずの問題についても、IAEAの査察受け入れなど最大限の努力をしてきました。しかし、西側諸国はイランとIAEAの協力関係を乱し、それをイランに対する圧力として利用しようとしてきました。
これについてイランのアラーグチー外相はグロッシ事務局長に対し、「協議以外に受け入れ可能な問題解決策はない。対抗措置はこれまでも行われてきたし、これからもそうだ。決議の採択もそうだ。しかし、決議の採択は問題解決の助けにならないばかりか、より複雑にする。対抗措置は誰の利益にもならない。今は協力の道をとるべきだ。我々はその用意があるし、相手方も理性的な姿勢をとるように望む」と語りました。
エスラーミー氏はグロッシ氏との共同記者会見で、「イランの核活動に関するいかなる決議の採択もイランからの即座の対抗措置を伴うことになる。イランが圧力に屈せず、自らの計画を国益に沿って進めていくことは(決議案を提起する)彼らも知っているはずだ」と警告しました。