駐英イスラエル大使の発言に正当化余地を探すイスラエル支持者
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駐英イスラエル大使の発言に正当化余地を探すイスラエル支持者
駐英イスラエル大使のツィピ・ホトベリ氏が英ラジオ局の番組で、太平洋戦争中の東京大空襲を引き合いに出してガザの今後についての考えを披露しました。この発言にSNS上のイスラエル支持者は当初戸惑いを見せつつも、正当化できる余地を必死に探し回る醜態を晒しました。
ホトベリ大使は4日に放送された英ラジオ局LBCの番組(https://www.youtube.com/watch?v=cQtqvSYjMIc)で、司会者から戦争後のガザのあり方について問われた際、東京が米軍による空襲で焼け野原と化したことに触れ、「日本は米国に敗戦した後、占領を経て、教育制度が根本から変わった。東京と現代日本は偉大な国になった」とし、「建物の破壊が問題なのではない。イデオロギーが問題だ。我々は(ハマスのような)イデオロギーと戦わなければならない」などと語りました。
この発言を日本文学者のロバート・キャンベル氏がXで取り上げ、「虐殺のため東京空襲と復興を引き合いに出すな」などと批判したことから、日本人ユーザーの間でも駐英イスラエル大使の発言に対する非難の声が広がりました。
この事態に、かねてからイスラエル擁護のデマを拡散してきたアカウントが、ホトベリ大使の発言の一部のみを取り上げ、正当化を試みました。以下がその例です。
「戦後東京復興を引き合いに出して、ガザが廃墟に近くなっていても、イデオロギー次第なのだ、と返答していることについて、私は何ら問題がないと思った。むしろ正論だ。しかもこの方(キャンベル氏)の言っているようなことは大使は言っていない」(明石清正・@AkashiKiyomasa)
「どこが日本への侮蔑なのだろうか? むしろ最大級の賛辞と敬意ではないか?」(Φιλíα⊿・@GruessGott2018)
「ホトベリ大使は、戦後の復興を成し遂げた日本人に対する敬意の念から、このように主張しているのではないでしょうか」(岩本龍弘・@tatsuhiro_iwamo)
「元動画を見ましたが、そんなことは言っていません。ガザの破壊は、ハマスのテロ工作トンネルを破壊する必要がある、その結果であって、東京大空襲と関連付けてはいない」(buvery・@buvery)
「何度も聞き返し、読み直しましたが批判されるような内容ではないですね。ロバートさんに賛同している方は元の動画を最後まで聞き、意味を理解した上で賛同しているのか」(Tsutomu Ben Okubo・@bengchang)
「イスラエルの駐英大使の発言が切り取られて批判されているが、ちゃんと聞くと、日本の戦後復興へのリスペクトだったようだ」(寺島義夫・@qQUzgOZfF2mtebw)
彼らが揃って触れない点があります。上記の動画の最初から大使が東京について触れるまでの3分弱の部分です。
冒頭で司会者が「あなた方はできるだけ標的を絞ろうとしていると言うだろうが、我々が目にしているのは、個々の家やオフィスが破壊されている光景ではなく、すべての通りが、すべてのコミュニティが破壊されている光景だ。学校も病院もなくなった。どのようにしてコミュニティが戻るのか?」と問うと、ホトベリ大使は「最初に言いたい真実は、ガザは地下トンネル都市であるということだ。そこに至るにはそうしたエリアを破壊する必要がある。(中略)我々が理解したのは、あらゆる学校、あらゆるモスク、あらゆるセカンドハウスがトンネルへのアクセスを有しているということだ」と述べました。
この発言を聞いて、大使は無差別攻撃を肯定していないと受け取る人はいません。だからこそ司会者がすかさず「ガザのすべてを破壊するということか?」と問いかけたのに対し、大使は「他にどのような方法があるのか?」とまで言い放っているのです。
その後、司会者がなおも「画像からは、ビルというビルが破壊されているのが見てとれる。これは分析を経たターゲットを絞った攻撃ではない。通り全体がターゲットにされている」と食い下がると、ホトベリ大使は「通り全体が地下トンネル都市につながっているからだ」と繰り返します。
司会者は「論理的に考えれば、それはガザ全体を破壊することだ。ガザには220万人が住んでおり、彼らは一部のエリアへの移住を余儀なくされている。これはいつまで続くのか? 大きな人道的危機になっている」と問いかけます。ホトベリ大使が東京の例を持ち出すのはここからです。
ここまで見れば明らかなとおり、ホトベリ大使はイスラエルが現在ガザに対して行っている攻撃を無差別攻撃と認識しており、かつそれを正当化しています。だからこそ、同じ無差別攻撃だった東京大空襲を例として取り上げたのです。ホトベリ氏の頭の中で論理は一貫しているのです。
キャンベル氏はその論理を正確に聞き取ったからこそ、「虐殺のため東京空襲と復興を引き合いに出すな」と批判したのです。発言を切り取っているのはキャンベル氏ではなく、イスラエル支持者の方です。
彼らは、大使の発言の前半部分、つまりガザ攻撃を無差別攻撃と公言した部分に触れることはできません。なぜなら、これまで散々「イスラエルはハマスだけを攻撃対象としている」と言い張ってきたからです。
イスラエル支持の立場からすれば、ホトベリ大使のこの認識を批判して、東京大空襲の例を不適切と指摘することもできたはずですが、彼らはそうせず、東京の復興に言及した箇所だけを取り上げて「日本への敬意」とまで持ち上げました。中には自力で英語が理解できないために、明石氏のような人物に問い合わせ、切り取られた内容を鵜呑みにして理解した気になっている者もいました。
キャンベル氏の投稿で日本の中に反イスラエル世論が強くなることを恐れたのか、大使の発言とこれまでの自分の立場との整合を優先させたのか、彼らの思考原理はわかりませんが、明らかな矛盾に目をつむってまでイスラエルを支持する卑屈な姿が晒されただけでした。


