カタール衛星通信アルジャジーラ：「12日間戦争で力のバランスはイランに有利に変化」

カタール国営衛星通信アルジャジーラが分析記事において、イランとシオニスト政権イスラエルとの12日間戦争を検証し、「最初の奇襲攻撃と米国の全面的な対イスラエル支援にもかかわらず、将来の抑止力のバランスはイランに有利に傾きつつある」と結論付けました。

【ParsTodayイラン国際】アルジャジーラは、ある記事においてイランのミサイル攻撃の範囲とイスラエル側の脆弱性について報じ、「将来起こりうるいずれの紛争においても、アメリカの防衛の傘がなければイスラエルへの被害は壊滅的なものになるだろう」と強調しています。

この記事は「真の約束1および2」作戦の詳細および、それらが去る６月の対イラン12日間戦争に至った経緯を深掘りし、「直接的な紛争の発端となったのは、イラン国内の核・対空防衛施設を含む数十カ所を狙ったイスラエルの広範な攻撃だった」と指摘しました。これに対しイランは12日間にわたり、毎日数十発の飛翔体と数百発の弾道ミサイルの発射という、過去最大規模となる最も集中的な弾道ミサイル攻撃を実施しています。

攻撃の標的と結果 

アルジャジーラは、イラン・イスラエル両陣営による攻撃の標的を、軍事・安全保障、経済・インフラ、そして住宅の3つのカテゴリーに分けて検証しました。この報道によれば、イランのミサイルは、ラビンキャンプ（イスラエル軍総司令部）、イスラエル占領地中部テルノフ空軍基地、グリロト（Glilot）情報センター、ワイツマン科学研究所、ハイファ製油所といった重要施設を攻撃し、イスラエル側に多大な経済的・作戦的損失を与えています。一方で、イスラエル側からの攻撃も、軍事施設に加えイラン国内の病院や住宅地も標的とし、数百人の民間人が犠牲となりました。

イランのミサイル構成とアメリカの軍事介入

この報道はさらに、イランがこの戦闘において主に旧世代の液体燃料弾道ミサイル（ガドルやエマードなど）を使用し、より高性能な固体燃料ミサイル（ハイバル・シェキャンやハージ・ガーセムなど）の大部分を将来の事態に備えて温存していたことを強調しています。このことは、イランが戦略的配慮と抑止力の備蓄を保有していることを裏付けています。

対照的に、イスラエルのミサイル防衛網は、前例のない米国の後方支援によって強化されていました。推定によれば、今回の戦争ではイスラエル占領地防衛を目的に、230発以上の米国製弾道迎撃ミサイル（THAAD高高度ミサイル150発以上とスタンダード3ミサイル約80発を含む）が発射されていました。しかし、このような支援があったにもかかわらず、シオニスト情報筋は、イランが発射した約574発の弾道ミサイルのうち、迎撃されたのは約200発のみに留まった事実を認めています。

今後の力のバランスはイランに有利に

アルジャジーラはさらに双方のコストを分析し、「抑止力のバランスは中期的に見てイランに有利に傾きつつある」と結論付けています。分散型かつ地下インフラを備えたイランの最新鋭ミサイル備蓄の再補充は、イスラエルのミサイル防衛システムの改修や、高価で限られた米国製迎撃ミサイルの備蓄の交換よりも迅速かつ安価で済みます。今回の報道は、米国の主要な迎撃ミサイルの運用可能な保有数が著しく減少しており、再構築には数年かかることを指摘しています。

最後にアルジャジーラは、去る６月の12日間戦争により、あらゆる防衛上の障害を抱えつつもイスラエル占領地内奥の戦略的目標を攻撃できるイランのミサイル能力を実証したとともに、イスラエルの安全保障が米国からの直接の技術的支援に絶対的に依存しきっていた事実が明らかになったことを強調しています。今後可能性のある紛争シナリオにおいて、アメリカというこの防衛の傘が弱体化あるいは消失すれば、イスラエルとって想像を絶する結果を引き起こす可能性があるのです。

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