スウェーデンで原子炉再稼働が遅延、冬の電力不足を懸念
スウェーデンで、原子炉の再稼動が予定より遅延するとの見通しから、冬の電力不足が懸念されています。
去る2月24日にロシアがウクライナでの特殊軍事作戦を開始した後、アメリカとその同盟国は大規模な対ロシア制裁を行使し、ロシア産ガスへの依存度を減らすよう求めていました。
これまで行使した各種対ロシア制裁により、ヨーロッパ経済は甚大な問題に直面しています。
フランス通信が14日水曜、報じたところによりますと、スウェーデンの送電系統運用者「系統運用局」は13日火曜、損傷した原子炉の修理が予定より長引いていることを受け、この冬に電力不足と停電が起きる可能性が高まっていると警告しました。
スウェーデン電力大手バッテンフォールは今月12日、国内の原子炉6基のうち1基について、修理が予定より2か月遅れており、再稼働は来年1月31日になると発表しています。
同国の系統運用局はまた、南西部にあるリングハルス原子力発電所4号機の復旧の遅れについて、電力不足の「現実化するリスク」が高まっており、「この冬に電力の供給を停止せざるを得なくなるかもしれない」と述べました。
スウェーデンは、電力輸入量を増やさなければ需要と供給のバランスを維持できなくなりますが、近隣諸国には頼れない可能性があります。
リングハルス原発4号機は去る8月、定期検査のため運転を停止しましたが、検査中に圧力容器が損傷し、再稼働ができなくなりました。
バッテンフォール社は当初、修理は今年11月までに完了すると見積もっていましたが、ここへきて誤算が生じている模様です。
スウェーデンは電力の純輸出国ですが、この10年で原子炉が次々と稼働停止となり、再生可能エネルギーの導入により電力供給の信頼性が低下したため、電力を輸入しなければならない時期もあるのが現状です。
同国はすでに予備の石油火力発電所を稼働させているものの、発電量の大半を水力(45%)と原子力(30%)、風力(17%)で賄っています。
ロシアは、ウクライナ危機勃発後に西側の制裁への対抗措置として欧州へのガスの供給を削減しました
このことから、ウクライナでの特殊軍事作戦実施を理由に対ロシア制裁を行使した西側諸国は、この冬はエネルギー不足に直面することは必至であり、自縄自縛、因果応報という結果を見ることになりそうです。