3月 26, 2023 17:42 Asia/Tokyo

毎年春、日本人が桜の季節を祝うと同様に、メキシコでも人々が日本というアジアの国の造園家が残した100年前の遺産のおかげで、自らが大切にする伝統の独自バージョンを楽しんでいます。

しかし、メキシコの首都メキシコシティを一面のスミレの海に転換するのは桜ではなくジャカランダの花です。

メキシコでは、パスクアル・オルティスルビオ大統領(1930年−32年の任期)が両国の友好の証として、市内の主要大通り沿いへの桜の木の寄贈を日本政府に要請した経緯があります。

当時、日本国外務省は、既にメキシコに定住していた日本人移住者松本辰五郎氏に、その街の気候で桜は育つのか否かについて意見を求めました。造園に精通していた辰五郎は、メキシコシティーの冬と春の寒暖差があまりにも少ないので、桜が育ち花が咲く可能性は低いと両政府に伝えました。その結果、このすばらしいイニシアチブは実現することはありませんでした。

多くの日本人がメキシコ南部のグアテマラ国境に近いチアパス州に入植したのは1897年ですが、辰五郎はその一年前にパイオニア的な存在として、既にメキシコに入国していました。彼はメキシコへ来る前にはペルーにも数年間滞在しており、中南米全土の先駆者の一人とも言えるかも知れません。

メキシコの歴史家セルヒオ・エルナンデス氏によりますと、1920年代に日系移民の松本辰五郎がメキシコシティの大通りにジャカランダの木を植えて以来、花を愛でることは同市の毎年恒例のイベントと化しています。

エルナンデス氏は、「花見とはそもそもは日本の桜祭りであるが、我々にも花見がある。その花とはジャカランダである」と語りました。

 


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