9月 05, 2021 15:54 Asia/Tokyo
  • 2001年の9・11米同時多発テロ事件
    2001年の9・11米同時多発テロ事件

バイデン米大統領が、2001年の9・11米同時多発テロ事件に関する文書・書類の機密扱い解除検討を命じました。

バイデン大統領のこの命令により、ガーランド米司法長官には、今後6ヶ月間の間に機密扱いを解除される一連の文書を公開する義務が生じます。

9・11テロの犠牲者の遺族らはこれまで長い間、この事件への様々な因子、特にサウジアラビア政府関係者の関与を明らかにすべく、この事件の関連文書の完全な公開を求めてきています。

バイデン大統領のこの命令は、9.11テロ発生記念日を目前に出された形となりました。そして当然ながら、この期間中においては、9.11テロ記念日が近づいていたことから、この問題に関する要求や圧力が高まっていました。

一方で、バイデン大統領はこの大統領令を出すことで、特に米軍の無様なアフガン撤退に関する国内外の批判を軽減させ、この撤退以降、自らの就任以来最低水準に落ち込んでいた現政権の支持率を再び上げて、アメリカ世論の支持を回復する思惑があったように思われます。

9・11テロの犠牲者の遺族らは先月、バイデン大統領に対し、このテロ攻撃とサウジアラビアの関連性を裏付けることのできる公的な証拠を公開しない限り、近く行われる予定の第20回9・11テロ犠牲者追悼式への同大統領の出席を歓迎しないであろうことを通告していました。

9・11テロ攻撃20周年記念日が近づくにつれ、この事件の犠牲者の遺族らは米司法府に対し、このテロ攻撃へのサウジ政府の関与をめぐる不透明な点を明らかにするよう迫りました。こうした一連の訴訟の1つにあたるある裁判は今年に入ってから大幅に進行し、その法廷では元サウジ当局者が証言しています。

サウジ政権は常に、9・11テロ攻撃への関与や実行役であったハイジャック犯との共謀を否定してきましたが、これは米ニューヨークの裁判所における遺族の訴訟の主な焦点となっています。犠牲者の遺族とその弁護士らは、「米国歴代政権は、サウジとテロ実行犯との関連性を示す一連の文書の公開を何年も阻止している」と主張してきました。

トランプ前政権やその前のオバマ政権を含む以前の米国の歴代政権は、西アジアでのアメリカの主要な同盟国としてのサウジアラビアに対する政治的、経済的、地政学面での考慮から、常に9.11攻撃におけるサウジの政権とその高官の関与について隠蔽工作に努めてきました。

特に、トランプ前政権の政策は常にサウジ政権支持を機軸とし、対サウジ関係のレベルダウンや緊張の発生を望まないものでした。トランプ政権時代、9・11テロの犠牲者の遺族はこの問題のさらなる追跡を約束されたものの、実際には何の措置も講じられないままでした。

2016年7月に公開された9.11テロに関する米国議会の報告書は、このテロ攻撃に関与した19人のハイジャック犯のうち15人がサウジアラビア国籍者である、と断言しています。

このことは、米国議会でのテロ支援者制裁法・JASTA( Justice Against Sponsors of Terrorism Act )の可決につながりました。これは、テロリズムのスポンサーに対して正義を求める法であり、米同時多発テロの被害者及びその遺族にサウジからの金銭的補償を求める権利を与える法律です。これにより、犠牲者の遺族らは9.11の実行犯への支援を理由にサウジ政府と当局を相手に訴訟を起こせるようになります。

実際、この法律の成立により、米国議会はサウジ政権がこのテロ実施を後押ししていたという否定できない事実を確認しました。今こそ、これまで機密扱いとされてきた文書の公開により、9・11テロ事件へのサウジ政府高官の関与の新しい側面が白日の下にさらされることが期待されています。

しかし、発生から20年後も未だ9.11事件問題が解決していない主な理由が、この事件においてサウジと米国の政府高官が幅を利かせていることにあるという事実を忘れてはなりません。しかも、バイデン大統領の在任中は、彼の最近の大統領命令にもかかわらず、この点に関して効果的な行動は取られず、このプロセスは同じように続くものと思われます。

 

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