宋元時代にゴルフが流行か、中国河南省で「捶丸」の球を大量に発見
中国河南省平頂山市の大学、平頂山学院の陶磁工芸技術陳列館でこのほど行われた所蔵陶磁器標本の整理作業で、陶器と磁器の球が大量に発見されました。
中国・新華社通信が1日火曜、報じたところによりますと、成形の型や焼成中にくっついてしまった数十点の半製品もあり、専門家はこれらが中国古代の球技「捶丸(すいがん)」で使われたものとの見方を示しています。
捶丸の起源は唐代の「歩打球」にあり、宋代から金元代にかけて流行したもので、杖で球を打ち、穴に入れるルールが現代のゴルフによく似ているとされています。
今回見つかった陶磁球は、大小さまざまだが多くは直径5センチほどで、材質は陶器と磁器に分かれており、球体は中実(中身が詰まった状態)で、しっかりと焼成されているが跳力を持っています。一部の表面には絵画や丸文、花卉文、渦巻文などの装飾が施され、異なる土を用いる「絞胎(こうたい)」や釉薬の重ね掛けなど特殊な技法を用いたものもあったほか、無数の丸いくぼみを施したものもあり、現代のゴルフボールに酷似しています。
鉱物に蓄積された自然放射線量を調べる熱ルミネッセンス年代測定の結果、陶磁球の年代は唐代~清代の幅広い時代に及ぶことが分り、うち唐、宋、元のものだけで1800点以上あったということです。
これについて鄭州大学の崔楽泉特任教授は「捶丸など球技用の球がこれほど大規模に見つかった例はなく、捶丸の起源や発展を探る上で重要な参考資料となる」と語りました。
崔氏によりますと、元代に書かれた捶丸に関する専門書「丸経」には競技のルールや形式が詳しく記されており「専用の競技場に異なる地形、さらには障害物を作り、ボールを乗せる台(ティー)や穴(ホール)、ホールの位置を示す旗竿(ピン)を置く。杖で球を打ち、穴に入れた方が勝ち」などの記載があるということです。同書に記された捶丸の競技ルールや競技施設、使用道具などは現代のゴルフとよく似ていますが、捶丸とゴルフが誕生した時期を考えると、中国の捶丸とゴルフの原型となるスポーツが接点を持ち、互いに影響を与えていた可能性も否定できないことから、「今回の発見は世界のゴルフの歴史を研究する上でも重要な意義を持つ」との見解を示しました。
崔氏はまた「捶丸は宋元時代に老若男女が興じるスポーツだった。球の需要も大きかったに違いない」と指摘し平頂山地域で当時、製磁手工業が盛んだったことや、洛陽、開封の二大都市の間に位置するという特殊な立地条件を考えると、ここが捶丸用の球の一大産地だった可能性が高いとの見方を示しています。