視点
フォルド施設での60%濃縮ウランの製造開始、西側の敵対行為への対抗措置
IAEA国際原子力機関理事会で最近、対イラン決議が採択されたことを受けて、イラン原子力庁は、テヘラン南部にあるフォルド核施設での濃度60%の濃縮ウランの生産開始を発表しました。イラン原子力庁は、濃縮ウラン生産のために フォルド施設とスペースを最大限に活用しようとしています。
報道各社は21日月曜に、イラン原子力庁がさらに同国中部ナタンズの核施設にあるIR2M型およびIR4型の遠心分離機の2つのカスケードへのガス注入を行ったと報じました。キャンアーニー・イラン外務省報道官は、「英独仏の欧州3カ国と米国が最近、IAEA理事会で対イラン決議を採択したことへの対応として、わが国の原子力庁はいくつかの措置に着手することになった」と発表しました。
また、「それらの一連の措置は、ナタンズおよびフォルドのウラン濃縮施設にてIAEA査察官の面前で実施されている」としています。
イラン原子力庁のエスラーミー長官は22日火曜、フォルド核施設にて60%濃度でのウラン濃縮が実施されたことを確認し、「最近、我々は対イラン決議採択を目の当たりにした。これは我々の側からの対抗措置に直面しており、最近ではフォルド核施設にて60% 濃度による 六フッ化ウラン(UF6)の生産が開始された」と述べています。
IAEA理事会は今月17日、米国と英独仏が提案した対イラン決議案を承認・採択しました。この決議案では、イランとIAEAの間の協力が不十分であると非難されています。IAEA理事会がこの問題に関する決議を出したのは、去る6月に続いて今年で 2 回目となります。
過去数年間、IAEAはイランの核計画に関するシオニスト政権イスラエルの主張の一部に注意を払い、イランに、事実無根のこうした主張に対する返答を要求してきました。
イランは2015年、核合意の枠組みの中で、PMD・「軍事的側面の可能性」の枠組みの中でIAEAの質問と疑惑に答え、この問題は解決されました。しかし現在、IAEAはイスラエルの主張に基づいて、複数の施設の査察を要求しています。.
この点で、最近のIAEA理事会の決議において、イランは、疑わしいとされる西部マリーヴァーン、テヘラン南部ヴァラーミーン及びトルグザーバード両郡の各施設に関して当局に協力するよう求められました。
イランはこれらの主張を虚偽と見なし、否定しています。エスラーミー・イラン原子力庁長官は最近、「わが国はIAEAによって提起された質問に詳細な回答を示した。しかし、IAEAはイランの敵からの情報に基づいて報告書を作成している」と語っています。
ナズィーリーアスル・イランIAEA大使は、IAEA理事会の対イラン決議を拒否し、「この決議の起草者の政治的目標は実現されないものの、その承認・採択はわが国とIAEAの建設的な協力のプロセスに影響を与える可能性がある」と述べました。
西側の敵対的行動への対応と考えられる、60%ウランの増産というイランの断固たる行動は、西側からの否定的な反応に遭遇しました。英独仏は、イランの核開発を非難する共同声明を発表し、「イランの核計画の拡大・加速に対処するための最善の方法について、国際的なパートナーと引き続き協議していく意向である」と強調しています。
実際、IAEA理事会で米英独仏による新決議の採択は、西側の対イラン圧力の強化工作だといえます。彼らはイラン国内での現在の騒乱や暴動発生及び、制裁解除を目指すオーストリア・ウィーン交渉の行き詰まり、そして制裁解除やセーフガード問題の終結に関するイラン側の正当な要求の拒否というアメリカの固執により、政治的圧力行使をもってイランに非論理的で強制的な要求を呑ませ、またはイランに自らの正当かつ法的な要求を断念させられる、という空想をめぐらしています。
一方、ウラン濃縮の加速・増長というイランの断固たる反応は、同国が西側諸国の圧力に決して屈しないことを示しているのです。