イラン外相のバルカン諸国訪問、新たな協力の機会
イランのザリーフ外務大臣が、東ヨーロッパとバルカン諸国への訪問を開始し、26日月曜、セルビアの首都ベオグラードを訪れました。
ザリーフ外相はこの訪問で、セルビア、ブルガリア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナを訪問し、これらの国の高官と話し合いを行うことになっています。この訪問には、政府・民間部門の経済関係者など、経済・政治分野の代表団が同行しています。
バルカン半島には、EU加盟国やEUのパートナー国が存在しています。
ワルシャワ大学東ヨーロッパ研究所のカーゼムザーデ研究員は、次のように語っています。
「これらの国は、歴史的な協力、経済的な地位、EUとの関係により、イランの外交において、戦略的な地位を有することができる」
イランとバルカン諸国のこれまでの関係を見ると、関係を拡大し、協力の機会を利用するための土台が整いつつあることが分かります。核合意の実施後にバルカン諸国で初めてイランを訪問した大統領は、セルビアのニコリッチ大統領でした。ニコリッチ大統領は、2017年4月、テヘラン訪問の中で、「あらゆる分野でイランとの関係を拡大する用意がある」と語りました。その1ヵ月後、クロアチアのキタロヴィッチ大統領がテヘランを訪問しました。
キタロヴィッチ大統領は、次のように語っています。
「2017年7月、ブルガリアのボリソフ首相がテヘラン入りしたとき、ほぼすべてのメディアが、“イラン訪問は非常に重要な歴史的訪問だ”と強調した」
昨年11月にも、ボスニアヘルツェゴビナの大統領評議会のイゼトベゴヴィッチ議長が、閣僚の代表団を伴い、テヘランとイスファハーンを訪問しました。また、昨年12月には、スロベニアのパホル大統領がテヘランを訪問しました。さらに、セルビアのリャイッチ副首相兼貿易・観光・通信大臣もイランを訪問する予定でした。これらは皆、バルカン諸国が、イランとの関係を拡大しようとしていることの表れです。
バルカン問題の専門家、ヴァヒード・パラストターシュ氏は、イランの外交政策におけるバルカン諸国の地位の重要性に触れ、次のように語っています。
「バルカン地域は、木材や石炭、鉱物などの豊かな天然資源に恵まれており、安価な労働力も存在する。そのため、イランにとって、EUに近い経済パートナーとして、非常に重要な役割を果たすことができる」
現在、イランとバルカン諸国の間には、経済、学術、文化、国際面での協力を拡大する上で、良好な環境が生まれています。ザリーフ外相のバルカン諸国訪問は、この関係を拡大するための機会となりうるでしょう。