日本閣僚の靖国参拝に、近隣諸国が「失望と遺憾」
日本の閣僚が靖国神社を参拝、あるいは玉串料を奉納したことに対して、中国や韓国など近隣諸国が深い失望と遺憾を表明しました。
韓国外務省は15日月曜、「日本の過去の侵略戦争を美化し、戦争犯罪者を合祀した靖国神社に、日本政府と議会の責任ある指導者がまたも供物を奉納したり参拝を繰り返したりしたことに深い失望と遺憾の意を表する」とする報道官論評を出しています。
また、「韓国政府は日本の責任ある人々が歴史を直視し、過去の歴史に対する謙虚な省察と真の反省を行動で示すことを促す」と強調しました。
さらに在日中国大使館も15日、岸田首相が靖国神社に玉串料を奉納し、閣僚も相次ぎ参拝したことを受けて「強い不満と断固とした反対」を表明、抗議のため日靖国本側に厳正な申し入れをしたことを明らかにしています。
同大使館はまた報道官談話で「靖国神社は日本の軍国主義による侵略戦争の象徴」と指摘。「侵略戦争を美化し、歴史認識をねじ曲げる行為をやめる」よう日本側に求めました。
日中関係は、特にナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問後、中国が島周辺で前例のない訓練を行った後、大きな軋轢が生じています。
特にこの軍事演習で今月4日に中国が発射した弾道ミサイルのうち、5発が日本のEEZ排他的経済水域に落下しました。
高市早苗経済安全保障担当相と秋葉賢也復興相は15日月曜、東京・九段北の靖国神社を参拝しました。閣僚による終戦記念日の靖国参拝は3年連続のことです。
なお、岸田首相は今回は参拝しなかったものの、事務所を通じて私費で玉串料を収めています。
これより前、小泉進次郎元環境相と萩生田光一自民党政調会長が1945年8月15日の終戦記念日にあたり靖国神社を参拝したことが報道されました。
毎年行われている日本の公人、政治家らの靖国神社の公式参拝はアジア諸国にとっては軍国主義の表れと受け止められ、この神社は物議を醸しています。
特に中国、韓国、その他のアジア諸国は、この神社を第二次世界大戦前および大戦中の日本の暴力の象徴と見なしています。
靖国には様々な戦争で命を落とした250万人の日本兵、将校らが祀られ、これには第2次世界大戦後、裁かれた14人の戦犯も含まれています。
さらに、岸田首相は15日の全国戦没者追悼式の式辞で、「戦争の惨禍を二度と繰り返さない」との歴代首相の「誓い」を踏襲し、「歴史の教訓を深く胸に刻み、世界の平和と繁栄に力を尽くしてきた」と述べました。
また、「歴史の教訓」については、「戦後、我が国は一貫して平和国家としてその歩みを進めてきた」と述べたうえで触れ、「積極的平和主義の旗の下、国際社会と力を合わせながら、世界が直面するさまざまな課題の解決に全力で取り組む」との方針を強調しました。
その一方で、アジア諸国への加害責任や「反省」には触れていません。