2月 22, 2022 16:34 Asia/Tokyo

東京電力福島第1原発が保管する処理水の海洋放出について、「安全な状態で処分される」などと紹介する政府発行のチラシが、昨年末から全国の学校に届き、各地で波紋を広げています。

問題のチラシは、経済産業省資源エネルギー庁の「復興のあと押しはまず知ることから」と、復興庁の「ALPS(アルプス)処理水について知ってほしい3つのこと」という内容のものです。

これらは文部科学省が毎年、全国の小中高校1年生に配布する放射線副読本と共に、昨年12月ごろから約230万枚が配布されていました。

この2種類のチラシでは、放射性物質トリチウムが含まれる処理水を大幅に薄めて海に流すと説明され、「トリチウムの健康への影響は心配ありません」「世界でも既に海に流しています」などとして、安全性をしきりにアピールした形となっています。

東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県内の市町村教育委員会によりますと、多数の学校が相次いで児童生徒への配布を見合わせたほか、一部の学校は一度配布したチラシを回収したということです。

政府が市町村教委に周知せず、学校に直接こうしたチラシを送付したことは、強く疑問視されており、「安全性を一方的に押しつけている」との批判が上がっています。

特に、宮城県議会野党会派の議員ら14名は、21日月曜に県に対し、このチラシを児童生徒に配布しないよう求めました。

これらの議員は今後、各政党を通じてこの問題に関し、政府に説明を求める意向です。

政府は2021年4月、2年後をめどに処理水の海洋放出を決定し、同12月に策定した風評被害対策の中長期的な行動計画に、チラシの配布を盛り込んでいました。

資源エネルギー庁の福田光紀原子力発電所事故収束対応室長は「海洋放出の風評被害が懸念されている。処理水の安全性に関して児童生徒の理解醸成が必要だと考えて配布した。今後も丁寧に伝えていく」と理解を求めています。

 


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