視点(エマーディー解説員)
米英によるイエメン攻撃継続の目的
-
米英によるイエメン攻撃
米英はここ2週間で5回目、規模としてはこの期間中で最大規模となるイエメン攻撃を行いました。
あるイエメン政府高官はカタール衛星通信アルジャジーラに対して、「23日火曜夜に行われた攻撃は、イエメン首都サヌアに対するものとしては、米英による攻撃の開始以来最大規模だった」と語りました。
ここで重要な疑問は、米英による攻撃がなぜ激化したのかということです。
第1の理由は、シオニスト政権イスラエルによるガザ攻撃を支持し続けていることです。ガザ戦争は勃発から110日が経過しましたが、イスラエルは依然として攻撃を続けています。一部には、戦争続行をめぐりアメリカとイスラエルの間に対立が生じているとする報道もありますが、米政府はなおも対イスラエル支持を続けています。これに関して、イエメン高等政治評議会のムハンマドアリー・フーシー氏は、米英による新たな対イエメン攻撃を「イエメンのガザ支持を抑止するための新たな試み」だとしています。
第2の理由は、イエメンが紅海を通過してイスラエルに向かう船舶を攻撃していることで、米英が経済的懸念を深めていることです。イタリアのタヤーニ外相は、同国のGDPの4割以上が輸出によるものだとし、「紅海の情勢不安が原因で、自国の経済が脅かされることを許してはならない」と述べました。しかし、こうした主張の一方で、イエメンはイスラエル占領地向け以外の船舶には何の行動も起こしていません。つまり、経済上の懸念などというものは対イスラエル支持を続けるための口実に過ぎないのです。
第3の理由は、アメリカが各国の団結を図るべく自らの権力を誇示を狙っていることです。これについて、米紙ワシントン・ポストは米政府関係筋の話として「バイデン政権が今回のイエメン攻撃を決断した主要な起爆剤は、経済的理由ではなくイデオロギーである。バイデン氏は、アメリカが他国から必要とされる国として、1つの共通の目的のために各国を束ねる強力な軍隊でもって行動しなければならないと信じている」と報じました。
現在の米英によるイエメン攻撃の一方で、イスラエルのガザ攻撃を停止させる努力は一切なされていません。そのため一部のアナリストは、米英は対イエメン攻撃、さらにはいつ何時他の西アジア地域に波及する可能性のある戦争の範囲の拡大ではなく、イスラエルに対する自らの影響力をガザでの攻撃や爆撃停止に向け利用すべきだと考えています。