極寒、洪水、そして母親としての苦悩:ガザのパレスチナ人女性の証言
(last modified Sun, 12 Jan 2025 10:06:34 GMT )
1月 12, 2025 19:06 Asia/Tokyo
  • 7人の子を持つパレスチナ人女性フィダさん:家族の生存のために戦い、ガザで支援活動家としても活躍
    7人の子を持つパレスチナ人女性フィダさん:家族の生存のために戦い、ガザで支援活動家としても活躍

ガザのパレスチナ人女性、フィダ・ソボさん(39)にとって、現在置かれた状況で最も辛いのは彼女の子供たちに及ぼす影響です。彼女は「最大の問題は子供たちの健康維持。酷寒と湿気のせいで病気にかかりやすくなっており、しかも適切な医療を受けられる機会は非常に限られている」と語ります。

【ParsToday西アジア】現在、ガザが厳しい冬を迎えている中、数え切れないほどの家族が必死に生き延びようとしています。NPO団体のミドル・イースト・モニターによると、そうした家族の1人に、応急的なテントで7人の子供を抱えて暮らす母親、フィダ・ソボさんがいます。ガザ・ザフラ市出身のフィダさんは、ガザ難民が直面する想像を絶する困難を物語っています。ガザの脆弱な避難所では、大雨や凍えるような寒さから身を守ることはできません。

フィダさんは次のように語ります。

「私たちのテントは生地が薄いので常に問題を抱えている。どれだけ着込んでも、毛布があっても、雨からは逃れられない。雨はテントに入り込んできて寝床や服が濡れてしまう。食事を作ることは難しく、3食のほとんどは冷たいまま食べている。子どもたちは勉強しようとしているが、明かりと暖房が不足しているため、ほとんど不可能だ。寒さと湿気は子供たちの健康に影響を与えており、彼らを暖かく、乾燥した、安全な状態に保つために私たちは毎日努力しなければならない」

しかし、彼女はこうした困難を抱えながらも自分の家族のみならず、地域社会で同様の問題に直面している他の人々にも援助と救援を提供すべく懸命に働いています。フィダさんは個人的な経験と他者を助けたいという決意から、想像を絶する困難に直面しても粘り強く抵抗する象徴となりました。

フィダさんは、ガザ全体の避難民190万人のうち、テントや仮設住宅で暮らす160万人の一人です。こうした避難場所は多くの場合、簡素なプラスチック製で、すでに広範囲にわたる洪水を引き起こしている寒さと雨に対する最低限の保護機能しか備えていません。ここ数日、数百もの仮設住宅が洪水で浸水し、多数の家族が以前よりもさらに絶望的な状況に陥っています。

 

 

7人の子の母親で支援活動家としても活動するフィダさん


フィダさんにとって、 現在置かれた状況で最も辛いのは彼女の子供たちに及ぼす影響です。 彼女は次のように語っています。

「 最大の問題は子供たちの健康維持。酷寒と湿気のせいで病気にかかりやすくなっており、しかも適切な医療を受けられる機会は非常に限られている 特に洪水は大きな問題であり、私たちの全財産を破壊し、安全でない不衛生な環境を生み出す。子供たちの苦しむ様子を目の前にしながら、より良い環境を整えられないという精神的負担が最も辛い。次の嵐で生き残れるかどうかが心配でならない」

 

夫を亡くしたフィダさんの苦悩

昨年、フィダさんはイスラエル軍の攻撃によって夫を失いました。

「夫を失ったことで、精神的にも身体的にも空っぽになってしまった。彼は私たちの生活の大黒柱であり、安定と支えを作ってくれていた。主人がいないため、私は父・母2つの役割を果たさねばならなくなり、それは非常に困難だった。経済的に私たちは大きな困難に巻き込まれた。特に、色々なものが限られている現在はなおさらだ」

フィダさんはそれでも「私の気持ちは抵抗と、そしていつか尊厳と平和のある生活を築けるようになるという希望が組み合わさったものだ」と語りました。

ガザではこの冬、すでに約10人の乳児が凍死しており、緊急援助が届かない場合はさらに増えると予想されています。

 

フィダさんから世界へのメッセージ

フィダさんは最後に、次のように語りました。「私たちパレスチナ人は単なる統計上の存在ではないということを人々に理解してもらいたい。私たちは夢と家族、そして未来への希望を持つ生身の人間だ。酷寒、洪水、避難は一時的な問題ではなく、私たちの尊厳と安全を喪失させる恒常的な問題である。世界に私たちを見てもらい、私たちの人間性を正式に認め、私たちの生活再建を手伝ってほしい」

 

 


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