西アジアにおけるアメリカ|レバノンに前代未聞の圧力行使、対イスラエル交渉を迫るロードマップ
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外交筋が、レバノンに対する米国の前代未聞の圧力強化を明らかにしました。その主な目的は「シオニスト政権イスラエルとの直接交渉」および「レバノンのイスラム抵抗組織ヒズボッラーに対する包括的制裁」の2つだとされています。
(last modified 2025-11-11T11:57:18+00:00 )
11月 11, 2025 20:01 Asia/Tokyo
  • 米はレバノンに対イスラエル交渉を迫ろうと工作
    米はレバノンに対イスラエル交渉を迫ろうと工作

外交筋が、レバノンに対する米国の前代未聞の圧力強化を明らかにしました。その主な目的は「シオニスト政権イスラエルとの直接交渉」および「レバノンのイスラム抵抗組織ヒズボッラーに対する包括的制裁」の2つだとされています。

西アジア地域は政治と安全保障をめぐる情勢変化において、新たな、そして極めて重要な局面を迎えようとしています。一方、情勢変化の重要な中心地の一つであるレバノンは、米国から前代未聞の強い圧力にさらされています。外交筋によれば、米国は経済、金融、外交のあらゆる手段を用いて、レバノンの内政および地域情勢をイスラエルにとって有利になるよう転換させようとしています。

この記事では、こうした圧力の様々な側面および、シリア、パレスチナ、イラクなど他国で同時に起こっている情勢変化との関連性を検証していきます。

米国の対レバノン全面攻撃

エジプトの新聞「アル・ジュムフリーヤ」によりますと、レバノンは近い将来、特に米国から前例のない圧力の波にさらされるということです。この圧力の主な目的は二つあり、1つ目は差バノン政府にイスラエルとの直接交渉のテーブルに着くよう迫ること、2つ目は、ヒズボッラーとその同盟者に対する広範な経済・金融・外交封鎖を課すことです。アメリカ政府は、地域における米国特使の外交活動と並行して作成された、レバノンの個人および機関に対する包括的な制裁リストを近日中に公表するとみられます。こうした状況を受け、米国財務省レバノン首都ベイルートを訪れ、同国のジョセフ・アウン大統領と会談しました。

米国の地域戦略:対シリア制裁の停止

アメリカはレバノンへの圧力強化の一方で、地域の他の戦線にも積極的に介入しています。米国財務省は最近、「シーザー法」に基づく残りの対シリア制裁措置を180日間停止すると発表したものの、シリアが「テロ支援国」リストに引き続き残ることを強調しました。この動きは、米国がシリアとの関係を再構築しようとする試みを反映したもので、シリア暫定政権のシャラア大統領(通称ジャウラニ氏)がホワイトハウスを訪問し、ドナルド・トランプ大統領と非公開会談を行った時期と重なっています。

パレスチナ戦線では、米国西アジア担当特別代表のスティーブ・ウィトコフ氏が「パレスチナ・イスラム抵抗運動ハマス幹部が去る10月の停戦交渉で、ハマスの武装解除に同意した」と主張しています。この主張は、ハマス幹部がパレスチナ占領の終結まで完全な武装解除は「不可能」だと繰り返し否定している中でのことです。ウィトコフ代表はまた「米国は、ガザ地区南部ラファのトンネルに駐留するハマス部隊が武器を引き渡す代わりに全面的な恩赦を与えるようイスラエル側に圧力をかけている」と主張しました。

イラク:戦略的存続に向けた駐留の再定義

こうした情勢変化と並行して、イラクに対するアメリカのアプローチも根本的に変貌しました。米国務省は、イラクからの軍事撤退ではなく、同国との「安全保障と外交の分野におけるより伝統的な二国間関係」へと移行する意向を明確に表明しています。これらの立場は、米国のアプローチが、テロ組織ISISへの対抗を目的とした国際有志連合軍の枠組みにおける駐留から「長期的な安全保障パートナーシップ」へと転換していることを意味します。この新たなイラク戦略は、異なる手段とより低い政治的コストで、地域におけるアメリカの影響力維持を目指すものです。

レバノン、シリア、パレスチナ、そしてイラクの諸問題で同時に起こっていることは、アメリカからの相互に関連した共通のロードマップを物語っています。この戦略の核心は、ガザ紛争後の情勢を背景に、地域情勢をイスラエルにとって有利になるよう再編し、抵抗の枢軸を弱体化させることにあります。この枠組みにおいて、レバノンに圧力をかけ関係正常化を迫ること、シリアをアメリカの政策の軌道に引き込むために対シリア制裁の停止を主張すること、ハマスの武装解除を主張して同組織の政治的武器を廃棄させること、そして最後に恒久的駐在に向けた在イラク駐留の再定義、これらはすべて大きなパズルの一部だといえます。そしてその最終的な目標は、アメリカとその同盟国が中心的役割を果たし、抵抗戦線を脇に追いやるための新たな安全保障体制を地域に構築することなのです。

 

 


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