解説 |イエメンからホルモズまで:アメリカの軍事力だけでは勝利に不十分な理由とは?
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アメリカ・シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授は「アメリカにはイランやイエメンのイスラム抵抗組織アンサーロッラーに対抗する戦略が欠如している」と語っています。
(last modified 2026-10-11T20:35:59+00:00 )
10月 12, 2026 05:26 Asia/Tokyo
  • 米シカゴ大学のミアシャイマー教授
    米シカゴ大学のミアシャイマー教授

アメリカ・シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授は「アメリカにはイランやイエメンのイスラム抵抗組織アンサーロッラーに対抗する戦略が欠如している」と語っています。

【ParsToday国際】著名な国際関係学者である彼は、アメリカが現在陥っている行き詰まりを「軍事力と政治的目標達成能力の間の格差の結果」と見なしています。アメリカは依然として大規模な軍事力を持ってはいるものの、さらなる攻撃が相手側を降伏させる保証はありません。現在アメリカが抱える主な課題は、明確な勝利戦略がない戦争をどう終結させるかということです。

この事実が明らかになったのは、2025年春の米国とアンサーロッラーの対決の経験でした。ドナルド・トランプ米政権はイエメン軍を打倒するとの約束の下に大規模な軍事作戦を開始しましたが、これは結局、約7週間も経ってから攻撃を停止し、オマーンの仲介でようやく合意が成立しました。トランプ氏はこの動きをアメリカの勝利と表現しましたが、アンサーロッラーはイエメン問題や紅海の安全保障において依然として影響力ある存在であり続けています。ミアシャイマー教授が批判している主な論点は、勝利の主張と作戦の実際の結果との格差にあります。制空権だけでは相手の政治的意志を打ち砕くことはできず、軍事目標の破壊は必ずしも降伏にはつながりません。アメリカはイエメンでこの現実を経験し、今やイランに対してより大きな課題に直面しています。

イエメン戦線の再開は米軍の軍事費を増やすことになります。対イラン戦争はアメリカの武器備蓄をじわじわとひっ迫しています。巡航ミサイル、精密兵器、高度な迎撃機は決して無制限の資源ではなく、交換には多大な時間と費用を要します。決定的な勝利の見込みなしにアンサーロッラーとの消耗戦に突入することは、米軍が他の戦線で必要とする兵器の消費をを意味しています。ミアシャイマー氏はまさにこの同じ視点から問題を捉えているのです。作戦コストが上昇しても具体的な政治的成果が得られない場合、軍事力は危機の解決策ではなく、逆に侵食の要因となります。この構図をさらに複雑化しているのが、イエメンの地理的位置です。紅海とアデン湾をつなぐバブエル・マンデブ海峡は、世界貿易とエネルギー移送の重要な回廊の一つです。サウジアラビアの船舶や重要インフラを脅かす能力を持つアンサーロッラーは、紛争のコストをイエメン国境外に移動させることが可能です。紅海の治安の悪化とホルモズ海峡危機が同時に進む中、エネルギー市場と世界貿易は益々ひっ迫しています。戦争が拡大すればするほど、米国の同盟国の海上航路やエネルギー施設の保護コストも嵩むことになります。このような状況下で、アメリカは深刻な逆説に直面しています。それは、同盟国の安全確保のために戦争に介入すれば、その軍事介入により同盟国の安全がより脆弱化するという皮肉です。

そして、さらに大きな危険は、イエメン戦線がアメリカの対イラン戦争と結びつくことです。ミアシャイマー氏は、アンサーロッラーに対する大規模攻撃がイランを自らの同盟国に対するより積極的な支援へと駆り立てる可能性を警告しています。この場合、アメリカは危機の範囲を封じ込めるのではなく逆に拡大することになります。開戦当初の軍事的成功は決して、最終的な勝利を保証するものではなく、戦争の結果は被害の程度だけに左右されるのでもありません。相手方の抵抗継続力、費用強制力も決定的なものです。この事実から、軍事的メリットによる兵器面でのアメリカの優位性は十分な勝利保証要因ではなくなります。

今や、アメリカの行き詰まりはこれまで以上に明白です。戦争拡大により武器備蓄はさらに減少し、地域の同盟国の安全が脅かされ、経済的コストが増大します。一方で、撤退すれば、勝利の約束を掲げて戦争を始めた政府にとって政治的な代償が付随してきます。しかし、達成可能な目標なしで戦争を続行すれば、撤退のコストはさらに重大なものになります。新たな戦線が出現すれば、アメリカは結末が不確かな危機という泥沼に益々深く陥りかねません。

これらのことから、ミアシャイマー教授の警告はアメリカの戦略の根本的な弱点を指摘しています。その理由として彼は、アメリカが今や、明確な勝利戦略のない戦争からどう抜け出すかという根本的な問いに直面している現実を挙げています。

 


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