大統領選挙後のアメリカ
アメリカは民主党と共和党の候補による激しい選挙戦を経て、8日月曜、投票日を迎えています。
アボルファトフ解説員
今年のアメリカの大統領選挙は、この100年で最も費用が高く、粗野で、汚れた、予想の出来ない選挙といわれています。この選挙でどちらかの候補が選挙人投票で過半数の270をとれば、9日の未明に開票は終わるでしょう。こうした中、アメリカでの権力闘争の影響が大統領が決定してからすぐに消えるようには思えません。
今年の選挙は世論、特にアメリカ国外の人々にとって、アメリカについて言われてこなかったこと、見えなかったことの多くが明らかになりました。この選挙は、アメリカの人々が共和党と民主党のどちらの政党に対しても不満を感じていることを示しました。
今もアメリカの社会は2007年と2008年の経済問題から立ち直ることができていません。この国の雇用状況は懸念すべき状況にあります。かつてアメリカンドリームといわれてきたものは失われているようです。貧困、不正、混乱、犯罪、不法移民の存在は、アメリカの候補者や一般人が注目を寄せている問題です。
こうした包括的な不満により、アメリカの今年の選挙では、派閥による争いが見られました。トランプ氏は選挙で勝利するため、アメリカでの変革を求めました。現在、そして選挙戦の最後で、何よりも、「選挙結果の発表後、こうした波は収まるのだろうか、という疑問がわいています。
この問いに答えるのは、二つの政党間の敵対、二極化が拡大する中である程度難しいでしょう。
トランプ氏とその支持者は望むと望まざるとにかかわらず、長年、アメリカの少数独裁政治による裏の共謀により、無視されてきた要求を提示しています。言い換えれば、現在、魔法のランプから魔人が出てきている状態です。この魔人を元の場所に戻すのは非常に難しいでしょう。
とくにもし今回の選挙でクリントン氏が勝利し、トランプ氏が選挙結果を受け入れなかった場合には、街頭での抗議、あるいは社会的な暴動に発展する可能性も否めません。数日前から、一部の擬似軍事組織がトランプ氏が敗北すればアメリカを占拠すると脅迫しているという報道が出ています。
このような脅迫がある程度まで実現可能であることはさておき、選挙結果が短期、中期的に懸念すべき結果の始まりになることは間違いありません。こうした結果は、民間の抗議運動から暴動まで幅広い可能性を含んでいるのです。