サッカー・ワールドカップ・ロシア大会(音声)
6月14日から、サッカーのワールドカップ・ロシア大会が開催されています。
この時間は、この4年に一度のスポーツの祭典についてお話ししましょう。
この数日、いつも以上に、サッカーやワールドカップという言葉が聞かれています。FIFA国際サッカー連盟によるワールドカップは、1930年以来、4年に一度、開催されています。ただし、1942年と46年は、第二次世界大戦のために開催されませんでした。
前回の2014年のブラジル大会では、ドイツが優勝しました。今年のロシア大会には32か国が出場し、1か月に渡って開催されます。出場国は、およそ3年前から行われた予選を勝ち抜き、この大きな大会のために集結しています。
イランは、アジア最強のチームと見なされ、1968年、72年、76年と、これまでに3回、アジア選手権で優勝しています。また、アジア競技大会では、1974年のテヘラン大会、1990年の北京大会、1998年のバンコク大会で金メダルを獲得しました。
サッカーのイラン代表は、今回を合わせて5回、ワールドカップに出場しています。1978年のアルゼンチン大会、1998年のフランス大会、2006年のドイツ大会、2014年のブラジル大会、そして、今回のロシア大会です。
イラン代表は、2015年春からアジア予選を勝ち抜き、1敗もせずに本大会出場を決めました。2大会連続でワールドカップに出場するのは、今回が初めてです。
イランは、昨年12月に行われたワールドカップの組み合わせ抽選会で、スペイン、ポルトガル、モロッコと同じグループBに入りました。そして15日金曜、サンクトペテルブルクのクレストフスキースタジアムで、アフリカのモロッコと対戦しました。
この試合は初めからモロッコの猛攻に遭い、一時、ボールの支配率はモロッコが82%、イランが18%と圧倒されていました。しかし、それに耐えたイランは少しずつリズムを取り戻し、同点で迎えたアディショナルタイムに、セットプレーから相手のオウンゴールを誘い、1-0の劇的な勝利を収めました。
この試合から5日後の20日水曜には、イランはカザンでスペインと対戦します。そして25日月曜には、サランスクで、ヨーロッパ王者のポルトガルと対戦します。
イラン代表は、2014年のブラジル大会で初めて、ユニフォームにシンボルを使用しました。このシンボルは、現在、イランでしか見られないとされるアジアチーターです。
ロシアのイタルタス通信は、サッカーのイラン代表について、「イランの選手は、非常にいい雰囲気の中で練習に励んでいる」と伝えました。それから、イランのサポーターの話として次のように続けています。
「私は今回のワールドカップで、ロシアとイランを応援しています。イランの試合をスタジアムで観戦したいと思っています。イランがロシア大会に出場し、彼らを応援することができて本当にうれしいです。きっといい試合をしてくれると思います」
またイランの別のサポーターも、イタルタス通信にこのように話しています。「テヘランからやって来て、2週間、ロシアに滞在します。イランのグループ予選のチケットは、3試合とも手に入りました」
イラン代表のケイロス監督は、2011年からイラン代表を率いています。ケイロス監督は、彼の以前からの夢、そして毎日願うことは、イランが発展を遂げることだとし、イラン代表は今回のワールドカップでサプライズを引き起こすことができると信じていると語っています。
ケイロス監督は、ワールドカップの開幕前、「決して変わることのない問題は、勝利だ。最後まで戦い抜くこと、チームを信じることも、決して変わらないことだ」と語りました。
このところ、テレビ、ラジオ、インターネットサイト、ソーシャルメディアは、ワールドカップの話題で持ち切りです。ところで、なぜ、サッカーの試合とその観戦がこれほど盛り上がり、現在の世界において、サッカーがこれほど人気のスポーツになったのでしょうか。
サッカーは、日々、その人気を高めているだけでなく、政界の要人でさえも、試合を観戦するために会議を中止したり、遅らせたりするほどです。また、勝利のあかつきには凱旋パレードが行われ、政治的、社会的な危機や問題をカバーすることさえあります。
サッカーは、現代の世界において、国際的な言語になっています。サッカーは、国際的な共通語と同じように、共通の文法や単語、規則を有しており、その実践方法は共通のものになっています。そして、現代の世界の最も重要な文化の柱を担っています。しかし同時に、このスポーツは、地域に根差したものでもあります。なぜなら、それぞれの国の政治、経済、社会、文化に関する多くの政策は、サッカーの影響を受けているからです。
サッカーは、小説にも似ています。その中では喜びと悲しみ、勝利と敗北、競争と信頼、プライドと共感に関するさまざまな物語が見られます。サッカーは、社会的な現象にも似ており、サッカーは社会的な構造に影響を及ぼすと言うことができるでしょう。
サッカーは、国際的なスポーツとして、社会に連帯や団結、喜びや活力を生む上で大きな役割を果たしています。サッカーは人々を元気にします。また、さまざまな目標をもたらすこともあります。
現代の社会は、さまざまな価値観をもたらしており、サッカーは、現代の社会とは切り離せないスポーツです。一部の統計によれば、6億人から7億人が、サッカーに関わっているということです。
この統計と、サッカー界に存在する莫大な資金は、このスポーツが大きな産業になっていることを示しています。サッカーの試合が放送されるだけで、何十億というという利益が生まれます。
FIFAの発表によれば、2014年ブラジル大会は10億人以上によって視聴されました。そのうちおよそ7億人はテレビで観戦しました。今回のロシア大会では、テレビの視聴者の数が新記録を樹立すると見られています。
社会学者は、サッカーは現在、生活の一部になっており、サッカーのない生活はありえないとも言えると話しています。このスポーツは、経済や社会の発展に大きく関わっており、文化を象徴するものだとも言えます。そのため、サッカーのワールドカップは、このスポーツによる外交を利用し、自分たちの文化や価値観を世界に広げるためのよい機会だと言えるでしょう。
サッカーは、選手や観客が、日々のストレスから解放されるための役割も果たしています。サッカーの試合中にはさまざまなドラマが生まれます。それは終わるまで、誰も予想できなかったような出来事なのです。
ワールドカップ・ロシア大会でのイランの活躍と、この1か月、世界の人々がワールドカップを楽しめることを願っています。