7月 02, 2018 19:23 Asia/Tokyo

「8000万人が心をひとつに」 これは、サッカーのワールドカップ・ロシア大会のイラン代表のスローガンでした。

このチームは今回のワールドカップでダークホースとなりました。この時間は、ワールドカップでのイランの4つの歩みについてお話ししましょう。

 

第1歩:夢を持つこと

希望を持つことは、一つの責務です。希望を持つこととは、夢を持つことではなく、その夢をかなえることです。実際、私たちの望みは、燃料としての機能を果たし、私たちを新たな地平線へと導きます。目標もなくただ努力するだけでは、私たちは停滞に陥り、望みを持つことだけに満足してしまいます。なぜなら、その後に何をすべきかわからなくなるからです。

 

私たちが、明確な目標を実現するために努力するとき、実際、私たちの行動や選択は、新しいテーマをもとに形作られます。

 

目標を作ることは、私たちが追い求める確信や自信の助けになります。目標を実現するために行動するとき、その一歩一歩が、それを続けるための動機となります。目標を定める中で、私たちは未来を作ります。理性や感覚によって目標を選んだとき、それは、目標を実現するための第一歩になります。それを続ける中で必要になるのは、ただ、障害を乗り越え、意志を貫くことです。

 

第2歩:障害を克服すること

サッカーのイラン代表は、2大会連続5度目のワールドカップ出場を果たしました。2011年、ケイロス監督がイランの代表監督に就任したとき、イランはアジアで7位、世界ランキングでは50位までに入っていませんでした。しかし、それから7年後、イランはワールドカップという世界で最も重要な大会で最高の成績を収めることになりました。

 

サッカーイラン代表

 

ケイロス監督が、大会に向けて準備を進める中で最も頭を悩ませたのは、親善試合が中止されたことでした。ケイロス監督の計画とサッカー連盟の発表によれば、イランはワールドカップに向けて8つの親善試合を行う予定でした。しかし、この8試合のうち、リビア、シリア、ギリシャ、コソボとの試合が中止されました。

 

FIFA国際サッカー連盟などの国際的な決定といったスポーツにおける力の手段は、世界の大国の手の中にあり、これらすべての政策は、同じ方針にのっとっています。

 

代表チームへの圧力や、他国と平等の条件がそろわないという状況は、なおも続きました。韓国の平昌冬季オリンピックでは、サムスン電子が、国際的な制裁を理由にイラン代表選手に特製携帯電話を支給せず、大きな反対とサムスン電子の非買運動に発展しましたが、その後、ナイキが、差別的な行動の中で、ワールドカップに出場するすべてのチームに支給されたナイキのシューズを、イランには支給しないと発表しました。

 

NIKE社

 

このようなナイキの行動は、イランの国民的な誇りと代表チームのアイデンティティを傷つけるもので、イランの選手に技術的な問題を作り出す可能性があったこととは別に、アメリカはあらゆる分野で、イランに敵対しようとしていることを示しました。彼らはスポーツの分野をも戦場と考え、あらゆる手段を駆使しています。

 

ナイキは、これまでイランにも支店を持ち、イランでも売り上げをあげています。しかし、ワールドカップを前にして、突然、政治的な圧力や制裁のことを思い出したのでしょうか。とはいえ、今回の行動は、イランの若者やサッカーファンの強い反発に直面し、ナイキ製品のボイコット運動が始まっています。

 

第3歩:希望の勝利、夢の実現

 

イラン代表は、今回のワールドカップで、あと一歩のところで決勝トーナメントへの進出を逃し、歴史を作ることはできませんでした。1次予選の最後の試合は、2016年のヨーロッパの王者であるポルトガルに1対1で引き分けました。

 

強豪チームがそろったグループでの、決勝トーナメント進出まであと一歩という、イランの素晴らしい活躍は、世界のメディアの注目を集めました。ESPNは、「ロナウドとポルトガルは、イランの恐怖を無事に逃れた」というタイトルで、次のように記しました。

 

「試合はロナウドのゲームでも、ポルトガルのゲームでもなかった。スタジアムがゆっくりと、奇跡を待っているイランの多くのファンの方へと傾いていきそうだった。しかしその奇跡は起こらなかった。少し遅いドラマが、イランのPKとアンサーリーファルド選手のゴールによって起こったが、非情にも試合終了のホイッスルが鳴り、すべての選手がピッチに倒れこんだ。白のユニフォームの選手たちは悲嘆にくれ、赤のユニフォームの選手たちは安どのため息をついた」

 

スペインのメディアのMARCAも、イラン対ポルトガルの試合の結果に触れ、イランの結果に感謝を述べ、次のように記しました。

 

「イランの引き分けはスペインに有利になった。ポルトガルがずっとグループの首位を保っていたが、イランとの最終戦によって2位になった。イランは、最後のターレミー選手のゴールが決まっていたら、ポルトガルを敗退させる可能性もあった。この試合では、ロナウド選手が退場処分になる可能性もあった。ケイロス監督は、スペインとの試合で見せたチームとは全く異なるチームをピッチに送り出した。イランの選手たちは果敢にゴールを狙い、前回とは全く違う試合運びだった。イランはロナウド選手をしっかりと抑え、夢をかなえる寸前だった。イランの選手は決勝トーナメントに進出する最初のアジアのチームになれるところだったが、ゴールは生まれなかった。イランは堂々と戦い、ワールドカップに別れを告げた」

 

最後のチャンスでゴールを外し、涙するターレミー選手

 

MARCAはさらに、ロナウド選手に対し、イランとの試合は忘れるようにと伝えています。

 

イエローカードを受けるロナウド選手

 

このように、イラン代表は、ヨーロッパの多くのメディアの注目を集め、一部のメディアは、イランの選手を称賛しています。キーパーのベイラーンヴァンド選手は、ロナウド選手のPKを仕留め、最高得点を獲得しました。

WhoScored(フースコアード)というデータサイトは、ベイラーンヴァンド選手に7.5ポイントを与えました。このポイントは、イランの選手の中では最高得点であり、ポルトガルのディフェンダー、ペペ選手の次に高い点となっています。

 

ロナウド選手のPKを仕留めたベイラーンヴァンド選手

 

テレビ番組でワールドカップの解説者を務める、オランダの元代表選手のルート・フリット氏は、イランはポルトガルを相手に勇敢に戦ったとし、「もう少し注意深く戦っていたら、決勝トーナメントに進出するチャンスもあった。イランはヨーロッパの王者に果敢に挑み、心から勝ちたいという気迫でプレーしていた」と語りました。

 

スプートニクは、ワールドカップに関する記事の中で、イランはワールドカップで最高のディフェンスラインを誇るとしています。

 

第4歩:誇りを伴った帰国

 

イラン代表は6月27日の早朝に帰国しました。大勢のファンや関係者が彼らを出迎えたこと、これはスポーツの分野における代表選手への感謝と人々の連帯を示す出来事でした。

 

イランの応援団

 

この中で、選手たちを喜ばせたのは、最高指導者のハーメネイー師によるメッセージでした。ハーメネイー師はイラン対ポルトガルの試合の後、スポーツ・青少年省を通じ、代表選手に次のようなメッセージを送りました。

 

「イラン代表選手に伝えたい。あなた方は堂々と試合を終えた。素晴らしかった。今後の活躍を祈る」

 

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