7月 22, 2022 04:39 Asia/Tokyo

イランの広大な大地は、多くの自然や観光名所を有し、エコツーリズムの可能性という点で、世界のトップ5に名を連ねています。このシリーズでは、イランの自然の恵みをご紹介して参りましょう。

イラン野生動物自然博物館は、テヘラン北東部のダーラーバードという地区にあります。ダーラーバードは、イランを東西に走るアルボルズ山脈のすそのにあり、爽やかな気候と美しい自然を有しています。この博物館では、世界にある野生動物公園や自然史博物館で見られる動物や展示品が並んでおり、中東地域でも珍しい博物館となっています。この博物館は、1993年、1万2000平方メートルの敷地に建てられました。博物館の建物は、2階建てで非常に美しく、面積は2500平方メートルで、テヘランの大部分を見渡すことができます。

 

この博物館は、1997年、国際的なレベルで、博物館および博物館専門職のプロモーションと発展に向けて活動を行う国際博物館会議、及び、国際自然保護連合の教育コミュニケーション委員会に加盟しました。博物館は、様々なセクションやホールに分かれており、動物の剥製が、単独で、あるいはコレクションの形で展示されているホールもあれば、生きた動物を見学できる場所もあります。生きた動物を見学できるホールは、哺乳類、鳥類、魚類、爬虫類、昆虫類の5つのセクションに分かれています。博物館の1階には、数多くのホールがあり、中央にある円形のホールでは、美しくさえずる様々な種類の鳥が、人々の目をひきつけています。これらの鳥たちは、本来の生息場所と同じ環境の中に置かれています。

 

博物館のホールはそれぞれ別のホールとつながっており、動物たちを見学しやすいように設計されています。ヒョウがカモシカの群れを襲ったり、フラミンゴが、羽をはばたかせたりする様子が見られたかと思えば、別の場所では、オオカミが獲物を狙っていたり、また別の場所では、巨大な熊が立ちはだかっていたりします。また、博物館のいたるところには、アフリカの馬、ヤギ、カモシカ、鹿など、珍しい動物の頭の剥製が展示されています。このほか、色とりどりの蝶やとんぼなど、昆虫の標本も飾られています。

 

博物館のもうひとつの見所は、廊下の両側にあるアクアリウムです。ここでは、淡水や塩水に生息する各種の魚を目にすることができます。河川や池、沼地、浅い湖などの淡水に生息する魚も見られ、その中には、世界でも珍しい貴重な種類の魚も含まれています。塩水で生息する魚は、すべてイランを原産地としており、ペルシャ湾やオマーン湾から運ばれてきました。これらの魚の色の多様性や美しい動きは、創造の神秘を感じさせるものです。

 

爬虫類のセクションでは、亀、サンショウウオ、とかげ、へび、かえるなどの両生類や爬虫類を見ることができます。博物館の中でも最も重要なのは、古生物学のセクションです。ここには、様々な地質時代の様子が、立体模型の形で展示され、この学問の発展に貢献しています。この他、聖典コーランの節が引用されていることも、このセクションの魅力になっています。このセクションに展示されている化石の中には、10億年以上前のものもあります。ここには、恐竜をはじめ、海や陸の絶滅した生物など、有史以前の巨大生物の姿が再現され、展示されています。さらに、様々な地質時代を示すために、それぞれの時代に生えていた植物、化石、岩、気候なども再現されています。

 

この他、博物館には、動物の剥製を作る工房があります。この工房では、世界の最新の確かな技術を用いて、動物の剥製が作られています。この工房は、その過程を見学できるようなつくりになっており、一般に開放されています。この博物館に展示されている動物の剥製の半分以上は、自然愛好家や猟師によって寄贈されたもので、送り主の名で保管されています。イラン野生動物自然博物館は、科学・教育活動を行っている他、文化出版コーナー、専用図書館にくわえ、野外映画館や円形劇場もあり、野生動物に関する映画などを見ることができます。

 

博物館にある伝統的なつくりの喫茶店は、テヘラン北部の爽やかな気候に包まれながら、疲れを癒すのに最適の場所となっています。さらに、緑豊かな美しい庭園からのテヘランの眺望も、博物館を訪れる人々の心を癒してくれるものです。実際、この博物館は、見学や散策のための場所であるだけでなく、完全かつ包括的な教育センターとしての役割も果たしています。概して、博物館の運営に携わる人々の努力により、ここ訪れる人々は、芸術と技術の融合によって、楽しく実り多いひとときを過ごし、尽きることのない壮大な想像の世界を垣間見ることができるのです。

 

イラン野生動物自然博物館には、イラン国内だけでなく、海外からも、多くの観光客が訪れています。今夜は、実際にこの場所を訪れた人々のお話をご紹介しましょう。フランスの新聞記者は、次のように語っています。「この文化施設の興味深いところは、それが、自然の中にあるということだ。博物館を見学して、イランで見られる動植物の魅力を、思う存分、味わうことができた」

 

もうひとりのフランスの新聞記者は、このように語っています。「私はこれまで、世界中の多くの博物館を目にしてきたが、これほど展示品の数が多く、多岐に渡る博物館は、他に見たことがない。この博物館では、動物の剥製のほか、鳥類、魚類、爬虫類など、生きた動物を、それらが実際に生息している環境の中で見ることができる」

 


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