12月 06, 2016 18:59 Asia/Tokyo

今回は、イラン南部ホルモズガーン州の湿原、シュール・シーリーン・ミーナーブ川湿原をご紹介することにいたしましょう。この湿原は、湿地の保存に関するラムサール条約に登録されています。

ペルシャ湾はイラン南部にあり、オマーン海の延長上、イランとアラビア半島の間に位置する水域です。面積は23万7473平方キロメートルで、メキシコ湾とハドソン湾に次ぎ、世界で3番目に大きな湾です。

 

ペルシャ湾は、多くの魅力を有しています。海底に眠る石油や天然ガスの備蓄、豊富な海産物の存在に加え、希少な動植物の生地となっています。また、ペルシャ湾に浮かぶハールク島では、動物と石油施設が共存し、多くの船舶が往来していることも、この地域の人々がこの海を利用するための可能性の一部となっています。砂浜や岩礁の存在も、美しい景観を作り出しているほか、この海をマリンスポーツの中心地にしています。

 

こうした美しさと共に、イランの南部では、湿原などの自然の魅力を目にすることができます。これらの湿原の一つに、シュール・シーリーン・ミーナーブ川湿原があり、ホルモズガーン州に位置しています。ラムサール条約に登録されているホルモズガーン州の湿地は5つあり、この湿地はその一つです。この湿地はホルモズ海峡の北岸にあるバンダルアッバースの東10キロから70キロのところに位置しており、面積は4万5千ヘクタール、海抜は0メートルとなっています。

 

シュール・シーリーン・ミーナーブ川湿原は、沿岸湿地であり、引き潮と満ち潮による海岸線、マングローブ、砂浜を含みます。また周辺を流れる6つの河川のうち、シュール川、シーリーン川、ミーナーブ川の三つの河川が交わる河口に位置し、1976年に国際湿地としてラムサール条約に登録されました。

 

この湿原は、ホルモズ海峡の北岸、バンダルアッバースからザラーニー川まで東西70キロに渡って広がっています。これらの河川の水は年間の大半は枯渇しているか、冬に降雨量が増加した後にわずかに現れるのみです。この地域の気候は、熱帯、あるいは亜熱帯で、夏には気温が45度にまで達します。年間の降水量は100ミリから300ミリで、10月半ばから4月半ばにかけて雨が降ります。

 

河口と潮の満ち引きが見られる付近には、マングローブがありますが、水底は泥で、ほぼ植物は存在しません。近隣の沿岸の一部にはナツメヤシなどの森林が散在し、砂浜には植物は見られません。

 

シュール、シーリーン、ミーナーブ川の河口は、水鳥にとっての重要な越冬地となっています。またこの場所はサギ科の鳥の産卵地にもなっているようです。

さらに、マングローブや浅瀬の海岸は、魚介類の産卵地として適切な場所になっており、これらの水生生物の一部は漁業において非常に重要となっています。

 

これまでこの湿原では14種類の鳥類が確認されており、一種類を除き、あとは全て渡り鳥となっています。

シュール・シーリーン・ミーナーブ川湿原には、ヒルギダマシのマングローブ原生林が存在します。アカシアやギョリュウ、ナツメ、プロソピスも周辺で見られ、ナツメヤシも存在します。

 

この湿原は、ラムサール条約によって国際的に重要な湿地、また鳥類に関する国際機関によって鳥類の重要な生息地として認知されています。

この湿原は漁業においても多くの重要性を有しています。この地域には広大なエビの養殖場が作られており、経済やエコツーリズムにおいて高い可能性を有しています。

 

シュール・シーリーン・ミーナーブ川の保護区も、イランの南部において最も重要なマングローブ原生林の一つを有しており、このため、地域の環境保護局によって管理されています。

ヒルギダマシのマングローブ原生林は観光においても多くの魅力と価値を有しており、マングローブの中をボートで巡ることができます。この他、この地域の観光活動としては、バードウォッチングを挙げることができます。