視点;米国大統領選前夜の北朝鮮の権力誇示
北朝鮮は、与党朝鮮労働党の創設75周年記念パレードで、自国最大のICBM大陸間弾道ミサイルを発表しました。
北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長はこの式典で、北朝鮮は防衛抑止力を強化するつもりである、と述べました。
与党朝鮮労働党の創設記念日のパレードの開催は、これまで同様、毎年恒例のイベントと見なされていますが、国内のミサイルの中では最大となるICBM大陸間弾道ミサイルの発表というこれまでになかった異例の措置は大きな反響を呼びました。
韓国国防部の報道官が北朝鮮の新しい兵器の発表に懸念を表明する一方で、米国の複数のメディアによりますと、米国大統領も北朝鮮による新しいICBMの発表の報告に接し、非常に憤慨した、と報じています。
ここで、「なぜトランプ大統領は、北朝鮮の指導者と3回会合したにもかかわらず、同国の防衛装備の発表に腹を立てているのか?」「 北朝鮮の新しい防衛装備の発表は、米国当局にどのようなメッセージを与えるものなのか?」という疑問が生じます。
多くの専門家は、朝鮮労働党の創設記念日を記念するパレードで、北朝鮮最大の新しいICBMが発表されたことは、米国大統領選挙前夜における北朝鮮の権力の誇示であると見ています。
これらの専門家の視点では、北朝鮮が軍事パレードで発表した新しい巨大ミサイルは、米国にとっての明らかな脅威であり、現在および将来の米国大統領にとって明確な問題とされています。 韓国のある政治研究所の上級研究員は、これについて「このミサイルの発表は、トランプ米大統領に対し、もし再選された場合、北朝鮮との交渉を再開すべきであるとする警告であると同時に、今回の選挙の民主党候補であるバイデン氏に向けては、北朝鮮問題は米国の外交および国際的な政策の最優先事項であるべきだとのメッセージでもある」と述べています。
北朝鮮のこの政治的メッセージに加え、北朝鮮の防衛能力は専門家が強調するもう一つの問題です。かつてCIA米中央情報局で北朝鮮分析担当だった、米国の保守系シンクタンク・ヘリテージ財団のブルース・クリングナー(Bruce Klingner)上級研究員は、これに関し、「北朝鮮は、新しいミサイルを発射するために、より大きな発射台を構築する能力があることを示した。これにより同国が、一次および二次的な報復攻撃のためにより多くのICBMや核兵器の配備が可能になるだろう」と語っています。
このことに加え、一部の専門家の見解によりますと、北朝鮮の防衛用装備の発表は、将来の交渉での交渉力をもたらします。 米・カーネギー財団のスーザン・ディマジオ氏は、これに関して「ICBMは、北朝鮮が外交過程で自国の兵器庫の拡張を続け、北朝鮮に対する交渉復帰要求をより重視したことを示す証拠だった」と語っています。
政治専門家によるこのような分析の一方で、トランプ大統領は、大統領職にあったほとんどの時間を北朝鮮のキム・ジョンウン委員長との口頭での戦争に費やしたにもかかわらず、過去2年間に3回、キム委員長と会談しただけです。
もちろん、トランプ大統領が全力をかけてやろうとしたことは、朝鮮半島の非核化と引き換えの対北朝鮮制裁の解除でしたが、これらの会談も、米国当局が約束を果たさなかったため、行き詰まったままです。もちろん、トランプ大統領はその任期の最後の数か月間で北朝鮮というカードを使えると期待していました。それゆえ、トランプ大統領は北朝鮮の防衛装備の発表に憤慨しているのです。実際、北朝鮮最大のICBMの発表は、過去2年間のトランプ大統領のすべての工作への最後のとどめを意味します。
以上のことから、核抑止力の維持と開発が北朝鮮の最も主要な防衛戦略であり、北朝鮮当局はいかなる状況においてもその開発を怠ることはないことは明らかです。さらに、北朝鮮の防御力の誇示は、ホワイトハウス当局者に明確なメッセージを送ることになり、それは交渉こそ北朝鮮に対する米国の唯一の選択肢であり、北朝鮮の抑止力を考えると軍事的選択肢は費用面で割に合わない、というものです。そして最後の点は、北朝鮮の新しい軍備の発表は、北朝鮮は米国との交渉の準備が整えば、豊富な選択肢を持った状態で交渉のテーブルに着けることを意味している、ということです。
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