駐日米大使、長野で遭難のイスラエル人救助で米軍に待機指示か
(last modified Tue, 07 Jan 2025 11:45:52 GMT )
1月 07, 2025 20:45 Asia/Tokyo
  • 救助されたイスラエル人男性3人(中央右は在日イスラエル大使館領事)
    救助されたイスラエル人男性3人(中央右は在日イスラエル大使館領事)

長野県小谷村の山中でスキーをしていたイスラエル人男性3人が遭難・救助された事故で、イスラエルメディアは、コーヘン駐日大使がエマニュエル駐日米大使に連絡し、エマニュエル氏が在日米軍に待機指示を出したと報じました。事実であれば、日本の頭越しに第三国が在日米軍の出動をはたらきかけたことになります。

【ParsToday日本】このイスラエル人男性3人は6日午後3時半ごろ、小谷村の山中でスキーをしていたところ遭難。7日午前11時過ぎに長野県警の山岳遭難救助隊などにより発見・救助されました。3人の命に別状はありませんでした。

この出来事について、コーヘン駐日イスラエル大使はXへの投稿で、救助隊や日本側関係者と併せて在日米国大使館への謝意も表明しました。

駐日米大使、長野で遭難のイスラエル人救助で米軍に待機指示か

イスラエル紙「エルサレム・ポスト」の電子版は7日付の記事(https://www.jpost.com/breaking-news/article-836350)で、3人の遭難を受けてコーヘン氏がエマニュエル駐日米国大使と連絡をとり、エマニュエル氏が在日米軍に出動待機を指示したと報じました。

コーヘン氏自らが米軍出動を要請したのかは明らかではありません。

エマニュエル氏や在日米国大使館はこの件についてコメントしていませんが、報道が事実であれば、日本の頭越しに第三国が在日米軍の出動をはたらきかけたことになり、日米安保条約から逸脱するおそれがあります。

日米安保条約は言うまでもなく日米間の条約であり、主に日本が武力攻撃を受けた際に米軍が出動する事態が想定されています。近年では、武力攻撃以外にも日本国内で起きた自然災害に対処するため、各自治体が独自に米軍と協定などを結ぶケースも増えていますが、いずれの場合でも日本側からの要請があることが米軍出動のための条件となります。

また、米側も統合参謀本部が策定した「Joint Publication3-29 Foreign Humanitarian Assistance」という文書で、米国外で起きた自然災害に米軍が対処する際の手続きを定めています。この文書でも米軍出動の条件として「被災国からの支援要請あるいは支援受け入れ意思があること」が第一に定められています。

今回のケースは上記のいずれにも該当せず、第三国である駐日イスラエル大使が地元自治体や日本政府の頭越しに駐日米大使と接触し、結果的に米軍に待機指示が出されることになり、日米安保条約との整合性や日本の主権侵害が大きく疑われる事案です。

仮に支援要請を出すとしても、地元自治体や日本政府を通じて自衛隊派遣を要請するのが筋であり、いきなり米国にコンタクトをとった今回の駐日イスラエル大使の行動は、米・イスラエル関係の歪んだ共依存を如実に示していると言えます。

 


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