イランの難病患者、西側の制裁の犠牲者
(last modified Sun, 09 Oct 2022 14:30:19 GMT )
10月 09, 2022 23:30 Asia/Tokyo
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バハードリージャフロミー・イラン政府報道官が、「西側諸国は、医療患者を虐殺することでイランに復讐している」と語りました。

バハードリージャフロミー報道官はツイッターで、「2018年には70人、2019年には90人、2020年には140人、そして2021年には180人の遺伝性サラセミア貧血(地中海貧血)症患者が、制裁により命を落としている」と述べています。

イラン政府報道官のこの声明は、イランの保健衛生と医療患者に対する西側、特に米国の違法で一方的な制裁の直接的な影響を示しています。こうした中、西側諸国は、医薬品が制裁対象となったことは一度もないと主張していますが、実際には、銀行・金融制裁と送金時に生じる問題により、特殊な難病に苦しんでいる人々の医薬品入手が困難、場合によっては不可能になっています。これらの制裁の結果、サラセミア、癌、表皮水泡症(EB)の患者を含む数万人もの患者の命が脅かされています。

 

実際、医薬品および医療機器は制裁の対象外だと米国が主張しているにもかかわらず、多くの銀行、機関、企業は、処罰の可能性を恐れてイランとの取引に非医薬品重です。その例として、スウェーデンの医薬品企業メンリッケは、米国の制裁により、イランのEB患者に医療用包帯の提供を拒否しました。その一方で、イランの約1200人のEB患者がこれらの医療用包帯を緊急に必要としているのです。

制裁の影響はEB患者だけでなく、サラセミアやその他の特殊な疾患を持つ人々の命も危険にさらしています。イラン・サラセミア協会役員理事会のユーネス・アラブ会長は、サラセミア患者用の医薬品確保の現状に触れるとともに、「複数の調査の結果、サラセミア患者の10%から35%は、医薬品の種類によってはイラン国内産の薬を服用できないことが分かっている」と強調し、「イランに対する残酷な制裁と、それによるサラセミア患者向けの医薬品の輸入不可で、サラセミア患者に一種のジェノサイドが発生する可能性がある。制裁によって8000人のサラセミア患者が被害を受け、多くの死者が出たことに留意すべきだ」と語りました。

イランに対する米国の一方的な制裁は、他国を脅かし、サービスの提供、保健医療機関の設備、緊急・特殊医薬品の販売、および実験機材の移送の支障などにまで及んでいます。その結果人々の健康に悪影響が及び、多くの患者の死を招きました。これは、米国とその同盟国による人権侵害と反人権行動の明確な例に他なりません。

これまでのところ、国連特別報告者からは、西側諸国のこうした人権に反する行動を示す複数の報告が公表されています。国連人権理事会の下で実態調査や報告に当たる特別報告者アリーナ・ドゥハン氏は、制裁の悪影響の調査を目的としたイラン訪問に関する質疑において、「制裁は医療制度に大きな影響を与える。私が非常に衝撃を受けたのは、医療制度に対する制裁の影響であった。私は救急患者や遺伝病や癌に苦しむ人々と話をしたが、その結果、適切な薬が利用できなくなっていることが分かった」と述べています。

人権活動家や健康分野の専門家は、アメリカ政府の一方的かつ違法な制裁を、特に医療分野で近年意図的に継続しているイラン国民に対する潜在的な犯罪であると考えています。まさにこの理由から、イラン政府報道官も、「西側諸国は医療患者の集団殺戮によってイラン国民に復讐している」と強調しているのです。

 


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