イラン国内の暴徒支援に米が熱を上げる理由
(last modified Sun, 16 Oct 2022 12:40:45 GMT )
10月 16, 2022 21:40 Asia/Tokyo

米ホワイトハウスのジャンピエール報道官が、わが国はイラン国内の騒乱に的を絞っていることを明らかにし、「バイデン米政権は、外交が核兵器の取得を防ぐ最善の方法であると考えているが、わが国の焦点は現在、騒乱を支援することにある」と語りました。

イランのいくつかの州ではこの1ヶ月間において、暴動・騒乱が発生しています。アメリカの当局者は、イランの騒乱に対する支持を明確に宣言しました。ホワイトハウス報道官に加えて、米国務省のネッド・プライス報道官も、バイデン政権がイランでの騒乱に焦点を当てていることを認め、核合意の準備ができていないとしてイランを非難しています。バイデン米大統領もまた、イランでの暴動の継続を支持し、「我々は勇敢なイランの市民と女性たちとともにある」と主張しました。

そもそもに基本的な問題は、なぜアメリカがイランでの騒乱や暴徒らを公然と支持するのか、ということです。

アメリカがイランでの騒乱を公然と支持する第一の理由は、どうやらイランの現政治体制を打倒しようとするアメリカのこれまでの工作が成功していないことだと思われます。トランプ前政権の最大限の圧力政策は、イランのイスラム共和制打倒の目的で追求され、ジョン・ボルトン元米国家安全保障担当大統領補佐官でさえ、イラン現体制は40歳の誕生日を迎えることはない、と主張していました。

最大限の圧力行使という政策の失敗により、アメリカはイランにおける市民の不満の増加と情勢不安の扇動に計算していました。現在、アメリカは、今回の騒乱がイランの政権転覆につながらず、イランが以前に経験した騒乱の規模とは比較にならないことを熟知しています。しかし、米は暴動の収束を防ぎ、暴動の長期化の下地を整えるために今回の暴動を支持しているのです。アメリカの解釈では、暴動の継続はイランの弱体化をさそい、同国を国内問題に専念させることができる、というものです。イランイスラム革命最高指導者ハーメネイー師も最近の演説で述べたように、敵の思惑はイランの政府や体制責任者らの視線を国内問題だけに向けさせることにあります。

 

アメリカがイラン国内の暴動を支持する第2の理由は、シオニスト政権イスラエルおよびサウジアラビア政権の満足を得ることにあります。イスラエルおよびサウジは、アメリカ新政府は、トランプ前政権ほどイランに圧力をかけていない、と考えています。米民主党政権は現在、サウジとイスラエルも支持しているイラン国内の騒乱を支援することで、民主党に対する外国からの支持を増やそうとしています。

 

そして第3の、しかも最も重要な理由は核協議に関するものです。IAEA国際原子力機関での保障措置の問題の終結と恒久的保証を含んだイランの要求に対するアメリカの反対により、核交渉は去る9月初旬から中止されています。過去数週間において、イランが自らの要求確保の必要性を主張した後、合意が近づいている兆候が見られたものの、最近の一連の騒乱により、アメリカにとっては新たな制裁行使や暴徒の支援により、イランの要求を縮小させるための下地ができる、という希望が生まれました。制裁政策の立案者の1人、リチャード・ネフューのような人々が自白しているように、制裁は西側の関係国により交渉での駆け引きの切り札として使用されるためには、大衆の不満の扇動や打倒の示唆により、イラン政府高官の公算を変えさせ、彼らに対し利権の供与を迫るものである必要があります。実際に、アメリカは暴動への支持や社会的圧力の継続により、イラン政府関係者に、保障措置問題の解決なしでの核合意を受諾させようとしていると言えるでしょう。

 


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