ウクライナ戦争終結への協力の用意を表明したイラン
(last modified Thu, 10 Nov 2022 06:51:39 GMT )
11月 10, 2022 15:51 Asia/Tokyo
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ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記は9日水曜、テヘランでイランのシャムハーニー国家安全保障最高評議会書記と会談しました。

シャムハーニー国家安全保障最高評議会書記

 

この会談でシャムハーニー氏は、「イランは、ロシアとウクライナの対話による停戦・和平のため、あらゆる努力を支持し、停戦のために建設的な役割を果たす用意がある」と語りました。

また、地域・世界情勢に触れ、危機や困難から抜け出る方法は地域および国際的な対話と協力であるとしました。

一方のパトルシェフ氏は、ウクライナ戦争について、「西側の巨大メディアは、当初から事実を正反対に伝え、ウクライナ戦争の開戦経緯や現在の戦況について世論をミスリードするため大々的に画策している」としました。

 

アミールアブドッラーヒヤーン外相などイラン政府高官は、甚大な物的・人的被害が出ているウクライナ戦争終結のためロシア・ウクライナ間の調停をする用意があると繰り返し強調してきました。ウクライナ戦争に対するイランの姿勢は、停戦とロシア・ウクライナ双方の協議への復帰です。

イランはウクライナ戦争開戦当初から、ロシア・ウクライナ双方が対立解消と対話のため政治的解決法に訴える必要性を強調してきました。そしてもちろん、それに向けて実際の行動にも踏み出しています。

これに関連してアミールアブドッラーヒヤーン外相は8月31日にロシア・モスクワを訪問し、ラブロフ外相をはじめとしたロシア政府高官とウクライナ戦争やイランによる仲介について話し合いました。当時、アミールアブドッラーヒヤーン外相はこの訪問の目的について、「イラン側からの要請に基づくウクライナ危機打開に向けた努力」とし、「一部の西側諸国は、イランがこの問題について積極的な役割を果たすことを希望している」と語っています。

このことはイランにとって外交上の得点であり、国際水準でのイランの重要性を示すものです。これ以前にも、イラン大統領府の政治担当副長官のモハンマド・ジャムシーディー氏が、ある欧州の高官がイランのライースィー大統領がロシアとウクライナの仲介をすることを望んでいると明かしていました。ジャムシーディー氏は、ツイッターでこのことに触れた際、イランからロシア側に「重要なメッセージとともに平和へのイニシアチブが送られた」と投稿しました。この投稿の後、ライースィー大統領に仲介を要請したのがマクロン仏大統領であることが明らかになりました。

国際政治学者のハサン・ベヘシュティープール氏は、イランの仲介が影響を及ぼす可能性があるかどうかという問いについて、「合意成立のためには、戦争の両当事国が仲介を受け入れる必要がある。もしこれが実現すれば、イランにとってよいことだ。なぜなら、世界の平和や安全に貢献した国は国際社会でよい印象を得られるからだ」と述べました。

イランが善意でウクライナ戦争終結のため努力しているにもかかわらず、西側諸国は、欧米寄りのウクライナ政府とともに反イランのプロパガンダを拡散し、イランからロシアに大量の無人機が提供されていると主張しています。ウクライナ政府も、イラン大使の国外退去やイラン大使館の職員削減などを要求するなど、非友好的な措置をとっています。

イランのアミールアブドッラーヒヤーン外相は最近の立場表明の中で、ウクライナ戦争以前にごく限られた数の無人機がイランからロシア側に提供されたことを認めた上で、イランがロシアに有利になるようウクライナ戦争に介入したことは決してないと否定しました。そして、イランとウクライナが、両国の専門家がこの問題について検討することで合意したにもかかわらず、アメリカをはじめとする欧米諸国がこれを妨害していると述べました。

 


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