視点
イスラエル・メディア「イラン国内での大規模なリチウム鉱山発見により、地域のパワーバランスが変化」
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イラン国内での大規模なリチウム鉱山発見
シオニスト政権イスラエルの報道各社が、イラン国内で大規模なリチウム鉱山が発見されたという報道に触れ、この発見を西アジア地域におけるパワーバランスの変化の要因および、イラン経済にとっての機会だと報じました。
イラン西部ハメダーン州にて最近、埋蔵量850万トン相当のリチウム鉱山が発見されました。
リチウムは、世界で最も希少かつ、最も軽量な金属の1つであり、電池、電気自動車、ノートパソコン、携帯電話、太陽パネルの生産などに利用されています。
イラン国内でのリチウム鉱山の発見は、同国の鉱産資源採掘面での重要な成果とみなされており、対イラン制裁により多くの分野で生じている技術的な問題を解消・克服しうることによります。
世界で発見されたリチウム埋蔵量を国別に見ると、イランはボリビア2,100万トン、アルゼンチン1,930万トン、チリ790万トンに次いで、この戦略的な希少金属を保有する世界第4位の国ということになります。

英ロンドンに拠点を置くアラブメディア「ライ・アルヨウム」はこれについて、イスラエル占領地でのある地政学専門家とシオニスト紙マアリブとのインタビューを論拠として、「イラン国内でのリチウム鉱山の発見は、地域でのパワーバランスの変化につながる可能性がある」と報じました。
イランの軍事力は、同国とアラブ諸国、特にサウジアラビア、UAEアラブ首長国連邦、バーレーン、エジプトとの関係再開、そしてインド・パキスタンとの合同軍事演習の実施とともに、イスラエルにとっての懸念材料となっていますが、その一方で同国のロシアとの戦略的関係の強化に加え、世界最大のイスラム教国であるインドネシアとのイランが非常に良好な関係にあることも、イランにとっての更なる強みとなっています。
長期的には、イランにおける今回のリチウム鉱山の発見は世界の経済と政治に変化をもたらし、西アジアの重心・中核ととなると見られます。
イラン商鉱工業省のある高官の1人は、同国で今回発見された鉱山が南米以外では最大のリチウム鉱山である(アルゼンチン、ボリビア、チリが世界のリチウム資源の58%を保有)と述べました。
世界規模での気候変動危機を考慮すると、リチウム採掘は、原子力を含む他のエネルギー源と同様に、政治、経済、エネルギー分野におけるイランの影響力を強化する要因と考えられています。
この解釈・分析によれば、この発見はイランの広範な影響力につながるだけでなく、この国をサウジアラビアやアラブ首長国連邦を含むペルシャ湾の他の石油資源国よりも優位にすることになるだろう。
このため、この鉱山の発見は地域のパワーバランスをイランに有利に変えるだろうと言わなければなりません。
またこのような出来事は、同盟結成や経済・金融協定を含む様々な交渉におけるイランの立場を強め、西アジア地域における同国の重要性を高めるとともに、イランが石油市場から白金市場やリチウム市場へと軸足を移す要因にもなると見られます。
またもう一つのポイントとして、この鉱山の長期的な経済的利益があげられています。その理由として、リチウム電池の世界的な需要の増加により、世界市場におけるリチウムの価格が上昇傾向をたどると予想されており、その結果、イラン経済が富裕国の経済となりえることが指摘できます。
さらに、今回の発見はアメリカおよび、イスラエルやそのほかのアメリカ同盟国に対する一種の勝利であり、イランと中国、そして西アジア、アジア、東南アジア諸国、特にインドネシアとの関係をさらに強化する可能性があります。
イラン政府の見解からすれば、この発見はさまざまな国家間でのイランの行動力を高め、欧米諸国に対するイランの依存を減らすことになるだろうと思われます。
前出のイスラエルの専門家とマアリブ紙とのインタビューの終わりに、イランは核保有国となりつつある国として、勇気、発展、意欲とともに、この発見を足がかりとして政治・経済、エネルギー面での強国になるであろうと言われていることから、今回のリチウム鉱山発見はイスラエルにとって非常に大きな危険因子となる可能性があります。