イランにある世界最古のジッグラトの建築に秘められた8つの驚異的な特徴【写真あり】
イラン南西部シュ―シュ(スーサ)にある神秘的な古代の礼拝所は、チョガーザンビールのジッグラト(古代メソポタミアにおいて、日干煉瓦で築かれた階段ピラミッド状の聖塔もしくは神殿)として知られ、3000 年以上前に建てられました。
チョガーザンビルのジッグラトは、3つの単語から構成されています。ジッグラトとは「空に向かって上る」ことを意味しています。古代文明では神に祈る場所が建設されていましたが、そのうち最も重要で価値のあるものがジッグラトと呼ばれていました。
また、チョガーザンビールという言葉は、丘を意味する「チョガ―」と、かごを意味する「ザンビール」の2つの言葉を組み合わせたものです。礼拝所が発掘される前、この丘の遺跡はひっくり返したかごのような状態だったと考えられています。
ここでは、イラン人の古代集落と建築の大きな見どころであるチョガーザンビールのジッグラトに関する8つの驚くべき点について見ていくことにしましょう。
1.3000年以上の歴史
紀元前1250年、エラム王国の有名な王の一人ウンタッシュ・ガールはイラン南西部を流れるデズ川と古代都市スーサの近くにドゥ―ルウッシュと呼ばれる宗教都市かつ王宮の都の建設を命じました。
チョガーザンビールは紀元前640年、エラム王国最後の王フンバン・ハルタシュとの戦争で、アッシリア王アッシュール・バニパルの命令により破壊されました。
ある碑文には、「朕はラピスラズリの石で艶出しされたレンガでできたスーサのジッグラトを壊した…朕はエラム王朝の神殿を破壊した…朕はスーサを廃墟とせしめた…そこからは人の声と朕の手による喜びの雄叫びが立ち上った…」と刻まれています。
2.世界最大の総面積を有するジッグラト
チョガーザンビールは世界最大のジッグラトで、1979年にはユネスコ世界遺産に登録されており、古代エラム時代から現在まで残っている最大かつ最も重要な建造物です。
3.他に類を見ない建築様式
このジッグラトは一辺が105×105メートル、当初は地面からの高さがおよそ53メートルある建物でした。しかし、現在はその25メートルだけが残っており、レンガでできた3つの入り組んだ柵で構成されています。最初の周囲壁の間には、ジッグラトと呼ばれる本堂が立っています。2番目の囲い壁の内部には小さな宮殿と祭壇があり、3番目の囲い壁の内部にはチョガーザンビール浄水場、王宮、王宮用地下墓があります。
4.世界最古の化粧タイル
チョガーザンビールの古代ジッグラト建設には、主に粘土と泥が使われています。また、建物に使用されているレンガの浸食を防ぐためにコーティングが多用されており、またこれに使用されている約6500個のレンガにはエラム文字が一つ一つ手書きで記されています。
さらに、この建造物に使用されているレンガには、釉薬がかけられているものもあれば、世界最古の化粧タイルの一つである鋲のような装飾が施されているものもあります。
5.耐震技術
このジッグラトは、イラン建築上の奇跡の1つと考えられています。ジッグラトの建設は2段階にわたって行われました。まず、この巨大な神殿を建てるための非常に大きな基礎が考案され、それからその上に複数の階が建てられています。この建造物は、3000年以上が経過した現在も残存しています。このレンガ造りの建物には日本製の耐震油圧ジャッキなどの現代式の耐震装置こそ使われていませんが、数百回もの大地震に瀕しているにもかかわらず、深刻な被害を免れています。この点は、このジッグラトに秘められた摩訶不思議な建築工学上の秘密の1つと考えられています。
6.世界最古の浄水場の1つ
チョガーザンビールにある浄水場は世界最古の浄水場の1つと考えられており、当時としてはこの種の浄水場は他に例がありません。
デズ川は祭壇からわずか3キロという距離にありましたが、エラム人の技術者たちはキャルヘ川からチョガーザンビールの北西、かつ都市の3番目の囲い壁の外にある大きな貯水槽まで50キロにわたって開水路を掘り、レンガとモルタル、そして石灰を使って350立方メートルの容量を持つ浄水場を建設しました。
そして、大型の貯水槽に端壁ぎりぎりまで水を入れ、泥が沈殿した後、水は浄化されて前述の開口部から囲い壁内の池に注がれたのです。
7.水害・浸水防止技術
このジッグラトにおいては、たまった雨水が水平および垂直のレンガ製水路によって屋外に誘導される仕組みになっています。
これらの水路は深さ85センチで垂直に下り、その底部で屋根付きの水平アーチ型水路に、さらに下の階の床で開放水路と合流する仕組みになっていました。
また、水の垂直落下及び、レンガやレンガ階段の浸食を防ぐため、角度が変わる場所には水路が設けられています。
ジッグラトの地上階(1階)の四方にはそれぞれ5つの側溝があり、そのうち4つは床の水を集め、5番目の側溝は階段の水を集め、これにより浸水を防いでいたのです。
8.レンガによる太陽時計
このジッグラトの主要エリアには、円形をなすレンガ造りの建造物が3棟あり、現存する情報からはそれらが日時計に類似したものであることが判明しています。
これらの建物は相互に1つの複合・集合施設を形成しており、実際には、年と暦の計算や暦の抽出、季節の初日と中間日の判断・決定のための天文台または太陽暦だったということです。