イラン南西部フーゼスターン州をぜひ訪れるべき理由とは?
(last modified Mon, 02 Jun 2025 08:05:33 GMT )
6月 02, 2025 17:05 Asia/Tokyo
  • フーゼスターン州シューシュ(スーサ)の史跡
    フーゼスターン州シューシュ(スーサ)の史跡

イラン南西部フーゼスターン州は悠久の歴史、豊かな文化、古代遺跡を擁し、観光客にとって魅力的な目的地となっています。

フーゼスターン州は南はペルシャ湾、西はイラク、北はロレスターン州及びイーラーム州、東はチャハールマハール=バフティヤーリー州、コフギールーイェ・ブーイェルアフマド州と接しており、中心都市はアフヴァーズです。

【ParsTodayイラン】この記事では、フーゼスターン州の観光名所をご紹介するとともに、それらの名所旧跡を訪れる価値について述べていきます。

 

州の歴史

フーゼスターン州はイラン最古の地域の一つで、ここに人が住み始めた時期は紀元前5000年紀にまで遡ります。古代、この地域はエラム文明の中心地として知られ、その首都スーサはフーゼスターン州に置かれていました。アリー・アクバル・デホダーが著したイラン最大のペルシャ語辞典「ロガトナーメ」によれば、フーゼスターンとは「食糧に恵まれた州」を意味します。またロシアのアジア学者・イラン学者のウラジーミル・フョードロヴィチ・ミノルスキーは、フーゼスターンという地名はエラム人の子孫であるフージ族に由来する、と考えています。

 

州都アフヴァーズにある第七橋人工滝は西アジア最長の人工滝として有名

 

歴史、自然、文化の融合の地

フーゼスターン州は歴史、自然、文化が融合した地であり、国内の熱帯地域の一つとされています。風光明媚な州は悠久の歴史を誇り、絶大な人気を博しているとともに、世界初の文明発祥地域の一つとされています。

 

州内アンディーカ郡クーシュク島

 

チョガーザンビールの神殿塔・ジッグラト

フーゼスターン州スーサ近郊には、イランで最も重要な古代遺跡の1つが存在しています。それはユネスコ世界遺産にも登録されている、段状の神殿塔・ジッグラトで、その歴史は3000年以上前に遡ります。特に「籠型の丘」を意味するチョガー・ザンビールと呼ばれる遺跡は世界最大級のジッグラトの一つで、エラム時代に神々を崇拝するために建てられました。高くそびえる巨大な塔は、砂漠とヤシの木立に囲まれ、その独特の厳粛な雰囲気は訪れる人々にとって不思議な感覚を与えるものです。このチョガー・ザンビールのジッグラトの見学は、訪れる人々を歴史の旅に招待してくれます。

 

ユネスコ世界遺産にも登録されているチョガーザンビールのジッグラト

 

シューシュタル水利設備群

フーゼスターン州内の見どころとして忘れてならないもう1つの史跡は、シューシュタルにある水利設備群です。これは、サーサーン朝時代(西暦224~651年)に遡る灌漑システムと水車群のユニークな集合設備で、ここにある一部の運河、橋、水車、人工滝は数千年を経た現在も機能しています。この設備群は農業や日常生活向けの用水設備として非常に精巧に設計されており、この種の設備としては他に類を見ない驚異的な存在となっています。この集合施設がフーゼスターン州の大自然の中に位置していることから、この名所を訪れることでイランの工学技術の歴史を学ぶとともに絶景を堪能することもできます。なお、この設備群は2009年にユネスコ世界遺産に登録されたもう1つの物件となっています。

 

ユネスコ世界遺産に登録されているシューシュタル水利設備群

 

預言者ダーニヤールの墓廟

フーゼスターン州内にあるもう1つの史跡として、イスラエルの民の預言者の一人ダーニヤール(ダニエル)の墓廟があり、これもユネスコ世界遺産に登録されています。この建物は壮麗で独特な装飾とタイル細工が施されていることから、イラン人だけでなく、ここを訪れる多くの外国人観光客を惹きつけています。この墓廟を訪れると、高さ10メートルにも及ぶ尖塔ミナレットがまず観光客の注目を引きます。

 

預言者ダーニヤールの墓廟

 

スーサ遺跡

さらにこの州内で見逃せない史跡として、イランおよび世界最古の集落の1つとされるスーサ遺跡が挙げられます。この都市の歴史は紀元前4000年頃に遡りますが、この地域には紀元前7000年頃から人が住んでいた証拠が残っています。この遺跡はキャルへ川とデズ川の間に位置し、総面積は約400ヘクタールにも及びます。ここにある史跡にはアーパーダーナー宮殿、シャーヴール宮殿、東門、ハディーシュ宮殿、第15都市、アケメネス朝の村、スーサの大モスク、イスラム時代の建造物、アクロポリスの丘などがあります。

 

紀元前の歴史を誇るスーサ古代史跡群

 

フーロル・アズィーム(ハウズィーイェ)湿原

イラン・イラク国境にあるハウズィーイェ湿原はフーロルハヴィーゼとも呼ばれ、イラン最大級の湿原の一つであるとともに、多くの渡り鳥の主要な飛来・生息地となっています。この湿原は特に春と秋に色彩豊かな様相を呈し生命力に溢れ、小型ボートで湿原を巡り、独特で心安らぐ絶景をめでることができます。また、穏やかな空気と湿度、そして生い茂る植物や樹木や木立は、この湿原に特別な美しさを醸し出しています。この湿原は国立公園でもあり、自然愛好家にもプロの写真家にとっても絶好のスポットとされています。

 

イランのブラジル・アーバーダーン

フーゼスターン州の主要都市の1つ・アーバーダーン市は、イランのブラジルとして知られています。この都市はザグロス山脈の南斜面に位置し、面積は1万2000平方キロメートル超にも及びます。非常に古い歴史を持つアーバーダーンはかつては特に重要な都市であり、他諸都市や周辺諸国との通商・交易の中心地とされていました。そしてこの都市のもう1つの特徴としては、地元市民らが特に熱心なサッカーファンであり、これにちなんで「イランのブラジル」と呼ばれていることが挙げられます。なお、ここの地元チームはアーバーダーンの石油産業を意味する「サンアト・ナフト・アーバーダーンFC」と呼ばれており、このチームのユニフォームはブラジル代表サッカーチームと同じ黄色を基調としています。また、サポーターらはブラジル国旗を掲げてスタジアムに足を運び、このチームを応援します。

 

ブラジル国旗を掲げるサンアト・ナフト・アーバーダーンFCのサポーター

 

 


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