イスラエル・ワイツマン研究所所長、イランのミサイル攻撃による被害認める
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イスラエルのワイツマン研究所の所長が、6月に同研究所が受けたイランによるミサイル攻撃で、甚大な被害を被ったことを認めました。
(last modified 2025-08-02T06:17:02+00:00 )
7月 31, 2025 14:56 Asia/Tokyo
  • イスラエルのワイツマン研究所
    イスラエルのワイツマン研究所

イスラエルのワイツマン研究所の所長が、6月に同研究所が受けたイランによるミサイル攻撃で、甚大な被害を被ったことを認めました。

【ParsToday西アジア】「今も焼けた火薬の臭いが残っている。長年の研究が一夜にして灰になった。ここは単なる研究所ではなく、イスラエルの技術の鼓動そのものだった」

これは、ワイツマン研究所のアロン・チェン所長がイスラエル・12チャンネルのドキュメンタリー番組で述べた言葉です。同氏はこの中で、「イランのワイツマン研究所へのミサイル攻撃は、非常に大きな損害と破壊をもたらした。イスラエルの科学者たちの努力がすべて焼け落ち、崩れた。長年の研究が無駄になり、絶望と悲しみ、涙があふれている」と心情を吐露しました。

チェン氏の言葉と廃墟と化した研究所の姿は、イスラエルの科学と安全保障体制に対する深刻なショックを如実に表しています。氏が語った言葉、「イランはイスラエルの科学の灯台を破壊した」は、単なる感情的な告白ではなく、地域におけるイスラエルの安全保障の戦略的な柱の一つが崩壊したという苦い告白でもあるのです。

ワイツマン研究所は、表向きにはイスラエルの科学的進歩の象徴として宣伝されていましたが、実際にはイスラエルのハードパワーとソフトパワーの生産網と不可分な一部であり、それは生物兵器、サイバー攻撃、軍・民二重用途技術(デュアル・ユース)に至るまで、軍事産業や情報機関(例:イスラエル軍8200部隊)に大きく関与していました。

イスラエル安全保障研究所(INSS)の研究者であるヨエル・ゴザンスキー氏は、ワイツマン研究所は単なる科学機関にとどまらず、「イスラエルの未来の戦争における質的優位の戦略的拠点」と見なされていたと述べています。イランによるこの研究所への精密なピンポイント攻撃は、感情的または見せかけの報復ではありませんでした。この攻撃は、イランの認知的抑止戦略の枠組みの中での慎重かつ賢明な行動でした。この戦略によれば、外見上非軍事的なインフラが、戦争や占領の計画、開発、支援において役割を果たしている場合、それらは攻撃の正当な目標となります。

ワイツマン研究所への攻撃は、イスラエルが何十年もかけて西側の科学・技術ネットワークを活用して、技術的優位性を安全保障および地域の脅威に対する防御の盾としてきた物語の崩壊を象徴しています。一部の西側メディアはこの変化を明確に指摘しています。

ユーロニュースは分析記事の中で、ワイツマン研究所を「イスラエルの二重用途技術の柱」と表現し、この研究所が科学的成果を軍事的・情報的プロジェクトに提供する重要な役割を果たしていることを強調しました。また、英ガーディアン紙も、イスラエルの抑止戦略が崩壊したことを指摘し、イランの攻撃を「イスラエルのソフトインフラの安全神話の崩壊」としました。他にも、米ニューヨーカー誌やAP通信も、イスラエルが史上初めて戦略的な打撃を受け、単に軍事インフラに対する被害を受けたばかりでなく、そのソフトパワーの知的支柱までも揺るがしたことを認めました。

米ブルッキングス研究所は、「イスラエルのソフトパワーの崩壊:テルアビブの科学資本に対するイランの精密攻撃」という分析報告の中で、この攻撃が単なる研究機関への打撃にとどまらず、イスラエルのソフトパワーの中心に打撃を与えたことを強調しています。

イスラエルのソフトパワーは、科学的革新、技術外交、そして欧州・アメリカとの学術協力などのプロジェクトを通じて築かれてきたものです。ブルッキングス研究所はさらに、「イスラエルが『影の戦争』において、もはや科学的・非軍事的な安全地帯に頼ることができなくなる段階に突入した」とも指摘しました。

米RAND研究所も、ワイツマン研究所がイスラエルの軍需産業と広範囲にわたる協力関係を持っていたことに触れ、この精密攻撃を「イランの新たな抑止戦略の模範」と分析しました。この攻撃は、軍事インフラに限らず、イスラエルの侵略・ハイブリッド戦争に寄与するあらゆる拠点を正当なターゲットに変えるものとされています。ランド研究所はこの攻撃を、「イスラエルの正当性の柱に対するイランの認知的および心理的戦争の一環」と評価し、この戦争が現実的で具体的な作戦段階に突入したことを示唆しています。

また、ワシントン研究所も、この攻撃をイランの地域戦略における重要な転換点として評価し、最近の報告書で「イランはイスラエルの重要なインフラに対する攻撃に対して、単に対称的な軍事的反応を示すだけでなく、長期的かつ深刻な戦略的コストをイスラエルに課すことができることを明確に示した。これらを再建するには数年の時間がかかるだろう」と記述しました。

これらの分析の総括は、今起こりつつある変革の明確な姿を示しています。それは、イスラエルの技術・科学的優位と呼ばれるものが虚構に過ぎず、イランの報復が単なる軍事的なものにとどまらず、さらに広範な意味を持つようになったことを意味しています。

 


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