イラン周遊への招待:タフテ・ソレイマーン遺跡/3000年の歴史を誇る複合施設に見られるソレイマーン王の玉座、悪魔の牢獄、アーナーヒーター神殿、史跡外の「ドラゴンストーン」壁
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イラン北西部・西アーザルバーイジャーン州南部タカーブ郡にあるタフテ・ソレイマーン複合史跡群
3000年以上の歴史を誇るタフテ・ソレイマーン史跡群は、イランで最も重要な古代遺跡の1つと考えられています。
【ParsTodayイラン】、イラン北西部・西アーゼルバーイジャーン南部タカーブ郡の北東45キロにあるタフテ・ソレイマーン複合史跡群は、同国の重要な史跡・名所の一つであり、ゾロアスター教聖地の跡としてユネスコ世界遺産にも登録されています。この史跡群は緑豊かな渓谷に位置し、多くの史料文献では「シャフレ・ギャンジャク」と呼ばれており、タカーブ郡で最も見学者が多い場所の1つです。

ペルシャ語で「ソロモンの玉座」を意味するタフテ・ソレイマーン史跡群の歴史は3000年前に遡り、人間的な創意工夫と創造性の傑作であるとともに、人間的価値観の交換・やり取りを示すものです。この複合史跡は、3世紀から7世紀に栄えたサーサーン朝時代には最大規模の教育訓練の中心拠点の一つとされていました。

この遺跡は、イラン南部ファールス州にある紀元前の遺跡・ペルセポリス、南西部フーゼスターン州のチョガ・ザンビール、中部イスファハーン市のナクシェ・ジャハーン広場に続き、イランの史跡としては4番目にユネスコ世界遺産に登録されました。
様々な跡が存在するタフテ・ソレイマーン遺跡この複合遺跡内の最大の見どころには、タフテ・ソレイマーン監獄および、同名の湖が挙げられます。数千年の歴史を持つタフト・ソレイマーン湖の水は、地中120メートルの深さにある泉から湧き出ており、訪れる人の心身を精錬し、和ませてくれます。

一部で信じられているところによれば、ソレイマーン監獄は預言者ソレイマーンの悪魔が投獄された場所と考えられています。周囲の地面からの高さが97〜107メートルに達するこの円錐形の山は、1000年以上前に湖水からの鉱物の沈殿によって形成され、その中央には深さ80メートルの穴があります。

さらに、この史跡群の外の南西部地区には、「ドラゴン・ストーン」として知られる高さ約1.5〜2メートル、長さ250メートルにも及ぶ、竜のような形状の石壁が連なっています。また、タフテ・ソレイマーン史跡群内のそのほかの見どころとしてはゾロアスター教のアーナーヒーター神殿、タフテ・ソレイマーンの回廊、南門、八角形と十二角形の建造物、シェカール(狩猟)宮殿、評議会広間、モスク、浴場、作業用工房、円柱上の広間を含むイルハン朝時代の建物などが挙げられます。

タフテ・ソレイマーン史跡群を訪れるベストシーズンは?
この遺跡群は、一年を通してどの季節でも独自の美的効果を誇っています。ですが、ここを訪れる観光客が比較的多いのは、イランの春の新年ノウルーズのシーズンおよび初夏となっています。今年は、国内外から約7万人の観光客がここを訪れています。なお、西アーゼルバーイジャーン州には、国の文化遺産・記念物リストに登録されている史跡が1600以上も存在しており、そのうち世界遺産に登録されているのはここでご紹介したタフテ・ソレイマーン史跡群のほか、州内チャールドラーン郡にあるアルメニア修道院建築群「カラ・ケリサ(黒い教会)」の2つです。