イラン最高指導者「イランの原子力産業はイランのもの」「米国に指図されるいわれはない」
(last modified Thu, 05 Jun 2025 09:10:31 GMT )
6月 05, 2025 18:10 Asia/Tokyo
  • イラン最高指導者のハーメネイー師
    イラン最高指導者のハーメネイー師

イラン最高指導者のハーメネイー師は初代最高指導者のホメイニー師の命日である4日、関連式典で演説し、同国のウラン濃縮について「国民と若い世代の科学者らが『我々はできる』と信じた結果だ」と述べました。

【ParsTodayイラン】ハーメネイー師は演説の中で、原子力産業が他の科学や産業の進歩に与える重要な影響に言及し、アメリカがイランに提示した核計画は「我々はできる」という基本原則に完全に反するものであると指摘しました。そして、巨大な原子力産業はウラン濃縮なしには実現できないと強調し、アメリカとイスラエルに対して、イランの原子力産業・核施設を完全に取り除くという彼らの主要な目標は絶対に実現できないと警告しました。

ハーメネイー師は、「イランは若者の知恵と科学者たちの努力のおかげで完全なウラン濃縮サイクルを実現したが、この能力を持つ国は世界でも非常に限られている」と明言しました。

そして、原子力産業によってもたらされるメリットはクリーンで安価な電力生産だけにとどまらず、基礎科学や工学の多様な分野において母体となる重要なものであると述べました。専門家や科学者の報告によれば、核物理学、エネルギー工学、材料工学、さらに医療機器、航空宇宙、精密電子センサー技術なども原子力産業に依存または影響を受けています。

ハーメネイー師の演説に訪れた大勢の市民ら

 

ハメネイー師はまた、原子力産業の医療や医薬分野における難病の診断や治療への貢献、農業や環境関連産業にもたらす利点も指摘しました。そして、原子力産業においてウラン濃縮は最も重要で基本的なポイントであり、「敵もそこを狙っている」と述べました。

ハーメネイー師は「ウラン濃縮能力なしには、発電所の燃料を確保するために燃料保有国に頼らざるを得ず、これはまるで原油を持っていながら製油所の建設やガソリン生産の権利を認められず、他国の意向に従ってガソリンを購入しなければならないのと同じだ」と例えました。

ハーメネイー師の演説に訪れた大勢の市民ら

 

その上で、「濃縮と核燃料製造能力がなければ、たとえ100基の原子力発電所を持っていても無意味であり、燃料調達のためにアメリカに頭を下げなければならず、アメリカは数多くの条件を課す可能性がある」と警告し、実際に2000年代に20%濃縮燃料の供給でその経験があったと述べました。

そして、アメリカの最重要かつ一貫した要求は、イランを原子力産業とその多様な利益から完全に排除し、多くの若い研究者や科学者を失望させることだと述べ、傲慢で無礼なアメリカの支配者たちがこの要求を繰り返していると非難しました。

そして、アメリカの横暴な要求の真実はイラン国民の進歩と自立への反対であり、この事実を国民に伝え、政府ももっと説明すべきだと強調しました。

ハーメネイー師の演説に訪れた女性ら

 

また、アメリカ政府の過去の無力さを示す例として、かつての大統領が「イランの原子力産業のボルトを外せたらよかった」と嘆いたことを挙げ、今日のイランの原子力産業はさらに強固であり、かつてできなかったことは今も不可能だと述べました。

ハーメネイー師の演説に訪れた大勢の市民ら

 

そして、イランの原子力産業に反対するアメリカや他国への最初の反論として、彼らの主張の法的根拠を問いただし、「イラン国民の権利は国民自身が決めることであり、あなたたちは何者で、どの法的立場で干渉するのか?」と語りました。

ハーメネイー師の演説に訪れた大勢の市民ら

 

さらに、イラン・イスラム革命の世界的な影響に触れ、「革命の偉大な指導者であったホメイニー師が信仰に基づく理性で『国家の独立』という基本概念のもとで革命と国家の力強い持続を確立した。そして、イランがこの原則のもとで発展、公共の福祉、安全保障、国際的地位の向上、明るい未来を手に入れる」と強調しました。

ハーメネイー師の演説に訪れた大勢の市民ら

 

ハーメネイー師は最後に、ガザにおけるイスラエルの驚くべき残虐行為に言及し、食料配給所を作りながら市民を銃撃するなど、その残酷さは信じがたいほどであると非難しました。

ハーメネイー師の演説に出席した外国の駐在武官ら

 

そして、アメリカをイスラエルの共犯者とし、だからこそアメリカはこの地域から撤退すべきだと主張しました。

ハーメネイー師はまた、イスラム諸国の政府に対して、「今は配慮や中立、沈黙の時ではない。イスラム国家がどのような理由であれ、イスラエルとの関係正常化を目指したり、パレスチナ支援の妨害をしたりするなら、その国は永遠に汚名を負うことになる」と厳しく警告しました。

 


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