イラン大統領のパキスタン訪問が地域の地政学的均衡において特に重要な理由とは?
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シャリフ・パキスタン首相の歓迎を受けるペゼシュキヤーン・イラン大統領
ペゼシュキヤーン・イラン大統領のパキスタン訪問はイランの積極的な外交の象徴であるだけでなく、地域の地政学的情勢におけるイランの役割を示している可能性があります。
【ParsTodayイラン国際】ペゼシュキヤーン大統領はイランの政治・経済高等代表団を率いてパキスタン首都イスラマバードに到着し、同国のシャリフ首相の公式歓迎を受けました。シャリフ首相とイスラマバード駐在イラン大使のレザー・アミーリーモガッダム氏はイラン高官級代表団の到着に際し、ペゼシュキヤーン大統領とその随行代表団を歓迎しました。ペゼシュキヤーン大統領のパキスタン公式訪問は、長年にわたる両国の関係における転換点とみなされています。
今回の訪問中、イランとパキスタンの首脳は経済・貿易関係の再構築、地域的協力の強化、安全保障・政治分野における相乗効果の強化を目的とした会談を行うことになっています。
ペゼシュキヤーン大統領は今月2日土曜にパキスタン・ラホールに到着し、イランとパキスタンの文化協力の象徴であり続けてきた故アッラーマ・ムハンマド・イクバル・ラホーリー氏の墓を参拝した後、イスラマバードに向かいました。ペゼシュキヤーン大統領によるラホーリー氏の墓参は、政治・経済での両国関係の深化に向けたプラットフォームとしての文化外交を明白に示した形となっています。
今回、ペゼシュキヤーン大統領とパキスタン当局者の間ではガザ、西アジア、そしてシオニスト政権イスラエルによる侵略の影響を含めた現在の地域情勢に関する意見交換がなされる見込みです。さらに、イラン・パキスタン経済合同委員会のテヘランでの開催計画も議題に上がっています。
ペゼシュキヤーン大統領今回の訪問は、シャリフ・パキスタン首相と同国軍司令官のテヘラン訪問からわずか2か月後に行われた形となり、両国首脳による公式会談は過去1年間で5回目となります。ペゼシュキヤーン大統領とシャリフ首相が過去数ヶ月にわたって継続的に電話会談を行ってきたことは、二国間協力の深化を目指す両国の強い意志を示しています。今回の訪問は、イランとパキスタンの外交日程のみならず、地域の地政学的情勢においても特別な意味を持つと見られます。
イラン大統領による今回のパキスタン公式訪問は同国政府高官から温かく歓迎され、特に経済、安全保障、地域問題の各分野における両国の関係強化への転換点とみなされています。またこの訪問は近隣外交の強化および、地域的関係の発展・拡大というイランの第14期政権の政策の枠組みで行われており、二国間関係に大きな成果をもたらすと思われます。
ペゼシュキヤーン大統領のパキスタン訪問は、共通の脅威に立ち向かうイスラム諸国の結束および、共通の地域的枠組み構築に向けた努力の象徴に他なりません。イランとパキスタンの関係強化は、両国の安定のみならず、地域全体の平和と安全保障にも寄与すると考えられます。アメリカの干渉的政策によって地域情勢が不安定化している現状において、人口密度が高く長い国境線を共有するイランとパキスタンという2つのイスラム諸国の協力は、イスラム世界における効果的かつ建設的な相互作用のモデルとなり得ます。
ペゼシュキヤーン大統領とパキスタン高官らは、経済・貿易関係の再構築、地域協力の強化、安全保障・政治分野における相乗効果の強化を目指して会談を行う見込みです。イランとパキスタンは間もなく外交関係樹立78周年を迎えようとしており、今回の訪問は両国関係の深化に向けた重要な節目と位置付けられています。二国間貿易額を100億ドルに拡大するという目標は、経済協力拡大に向けた両国の真剣な意志を物語っています。
イランとパキスタンの地域協力の重要性は現在の地政学的状況において二国間関係にとどまらず、地域における安定、発展、そして共通の脅威への対抗に向けた戦略的支柱となり得るものです。パキスタンは地域の平和を確立させるべく、イランとの恒久的なパートナーシップの構築を目指しており、両国間の防衛・安全保障協力を重視しています。両国は、テロ、密輸、国境地帯の不安定といった共通の脅威に対し、共通の安全保障戦略を追求しています。
イランとパキスタンは、ガザ地区の情勢変化とシオニスト政権イスラエルによる侵略に関して、ガザ支持という共通の立場を表明しており、これは政治的・イデオロギー面での両国の見解の一致を示しています。イランとパキスタンの地域協力は両国の利益のみならず、地域全体の利益にもかなうものです。またこの協力はイスラムをベースとした同調、地域を越えた脅威への対処、そして持続可能な開発への道の開拓のモデルおよび、地域諸国にとっての模範となりえるのです。