SCOとEAEUにおけるイラン・ロシア間協力の深化:国際体制の多極化に向けた一歩
https://parstoday.ir/ja/news/iran-i130524-scoとeaeuにおけるイラン_ロシア間協力の深化_国際体制の多極化に向けた一歩
アーレフ・イラン第1副大統領がロシア首都モスクワ訪問中に同国のミスシュチン首相と会談し、二国間協力の拡大について協議しました。
(last modified 2025-11-30T12:40:34+00:00 )
11月 18, 2025 18:47 Asia/Tokyo
  • アーレフ・イラン第1副大統領がロシア首相と会談
    アーレフ・イラン第1副大統領がロシア首相と会談

アーレフ・イラン第1副大統領がロシア首都モスクワ訪問中に同国のミスシュチン首相と会談し、二国間協力の拡大について協議しました。

第24回SCO上海協力機構加盟国首相級会合に出席するためモスクワを訪問したモハンマド・レザー・アーレフ副大統領は、今回の訪問の最初のプログラムとしてロシアのミハイル・ミシュスチン首相と会談しました。

イラン商鉱工業大臣を含む政治経済代表団を率いてモスクワを訪問したアーレフ副大統領は、ミスシュチン首相との会談において、イランがロシアとの関係強化に意欲的であることを強調しました。また、BRICS新興経済国グループ、SCO、EAEUユーラシア経済連合といった地域・国際的な組織やメカニズムにおけるイランとロシアの加盟と共同協力に言及し、「これらの組織は並外れた可能性を秘めており、両国はこの枠組みの中での協力により、各種協力にさらに可動性を持たせることができる」と語っています。

これに対し、ミスシュチン首相もユーラシア地域の戦略的ルートとしての南北回廊に言及し、物資輸送の強化と必要なインフラ整備を強調しました。また「ロシアは近隣関係の原則に基づきイランとの関係強化を目指している」とし、両国間の包括的戦略条約の署名に触れるとともに、この文書の枠組みの中における合意実施の重要性を強調しています。

第24回SCO首相級会合は18日火曜、モスクワで開催されています。なお、この地域的組織にはイラン、ロシア、ベラルーシ、中国、インド、カザフスタン、キルギス、パキスタン、タジキスタン、ウズベキスタンが加盟しています。

SCO、BRICS、EAEUの枠組みにおけるイランとロシア協力拡大は、地域バランスの変化、制裁圧力の緩和、そして南北回廊などの輸送ルートの強化につながる可能性があります。またこのプロセスは、両国の経済的潜在力の活性化に加えて、国際体制の多極化にも寄与するものと思われます。

SCOは、人口と地理的面積の点で最大の地域的組織の一つとされています。イランはロシアや中国とともにこの組織に加盟しており、これにより安全保障、経済、エネルギーの分野でより積極的な役割を果たすことが可能です。

イランがロシア、中国、インドとともにBRICSに加盟していることは、西側諸国を介さない独立諸国間の貿易が強化され、ドルへの依存度が低下すると見られます。そして、このことは西側諸国による制裁の圧力を軽減し、新たな投資・貿易の道を開く可能性もあります。特に自由貿易と関税削減の分野におけるEAEUとのイランの協力は、イラン製品を地域市場に輸出する新たな機会を創出することも考えられます。

イランはその地理的位置からして、ペルシャ湾とロシア、そしてヨーロッパを結ぶ重要な拠点となると思われます。これは第3国経由でのトランジット輸送を通じたイランの収入を増加させるとともに、地域情勢におけるイランの地政学的地位を強化することにもつながります。南北回廊はイランとロシア、中央アジア、そしてヨーロッパを結ぶルートであり、従来の世界貿易ルートに代わる、あるいは補完する存在となることが期待されます。

イランとロシアはまた、世界のエネルギー市場における二大大国とされ、ガス・石油の輸出分野における協力は、新たな市場を創出する可能性があります。SCOにおけるイランとロシアの協力は経済的繁栄に加え、安全保障の側面も持ち、テロや麻薬密輸といった共通の脅威への対処にも奏功することが考えられます。

SCO、BRICS、EAEUという枠組みでのイランとロシアの協力拡大、そして南北回廊の発展により、イランは米国と西側諸国による制裁に直面しながらも地政学的立場を強化し、多極化した世界秩序においてより積極的な役割を果たせるものと思われます。そして、この協力は両国だけでなくユーラシア地域全体の経済と安全保障の安定にプラスに作用すると考えられるのです。

 

 


ラジオ日本語のソーシャルメディアもご覧ください。

Instagram Twitter