週刊イラン
この1週間に起こった主な出来事です。 イラン大統領の指名閣僚リストが国会に提出されました。 サウジアラビアがイランに対して敵対的な政策を続けています。 アメリカによる核合意違反を受け、イランが立場や決定を明らかにしました。 イランのアラーグチー外務次官が日本を訪問しました。

イランのローハーニー大統領の就任式が行われ、新政権の発足の第一歩として、大統領が指名する閣僚のリストが国会に提出されました。
国会の専門委員会では、指名された一部の閣僚が出席する中で、それぞれの指名閣僚に関する検討が開始されており、15日火曜も国会で議論が続けられています。イランのファラーハトピーシェ国会議員は次のように語っています。
「これまでの経験と共に、活力や能力を備えているかや学術的な資格といった要素が、国会の考える閣僚にふさわしい最も重要な基準となる」
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、大統領の就任認証式で演説した際、「政府は、イランに悪意を抱く者たちの口実探しや陰謀に対抗するため、イスラム的、革命的なアイデンティティを維持し、経済、文化、防衛の面で計画的かつ献身的で強力な活動を行う必要がある」と語りました。ハーメネイー師はこれについて、抵抗経済の目標に基づいた経済インフラの強化を強調しました。
大統領が国会に提出した閣僚リストでは、外務大臣にザリーフ氏、国防軍需大臣にハータミー師、石油大臣にザンゲネ氏、内務大臣にラフマーニーファズリー氏、情報大臣にアラヴィー氏が指名されています。
このリストでは、3人の閣僚が引き続き同じポストに指名されており、7人は、国会の信任を得た場合、初めてに閣僚入りとなります。現在、イランには18の省庁が存在します。大統領が指名した閣僚が国会の信任を得るか否かが注目されています。

先週火曜、イラン国会・国家安全保障外交政策委員会の会合で、アメリカの地域におけるテロや挑発行為への対抗に関する法案について話し合いが行われました。ここからは、この法案について見ていきましょう。
イランの外相と国会・国家安全保障外交政策委員会の議員による会合で、ザリーフ外相は、アメリカとの緊張を緩和、管理することを、次期政権の外務省の最も重要な責務として挙げました。
「イランは緊張を追求していないどころか、各国の間の平穏を求めている。イランは国益を守る決意であり、アメリカは、核合意の停止の責任をイランに強いることはできない。アメリカが核合意を停止しようとすれば、その責任を受け入れるべきだ」
これについて、先週、イラン国会・国家安全保障外交政策委員会で、アメリカの地域におけるテロや挑発行為への対抗に関する法案がまとめられました。この法案は、アメリカのテロ支援、人権侵害、アメリカの経済制裁への対抗措置、イラン人の保護など、全部で27項目となっています。アメリカの地域におけるテロや挑発行為への対抗に関する法案は、13日日曜、国会に提出されました。
アメリカ上院は、6月15日、イランに対する敵対政策を続ける中、包括的な対イラン制裁法案を可決しました。この法案は、武器制裁やテロ関連の制裁、ミサイルに関する制裁を含んでいます。イランのサーレヒー原子力庁長官は、マシュレグニュースのインタビューで、西側、特にアメリカの、核合意の実施における妨害や約束不履行に対するイランの反応について、次のように強調しました。
「イランは技術的な点から、元の状態に戻る準備ができており、相手側を驚かせる可能性もある。だが、それが起こるのを望んでいない。イランの核産業は力強く前進しており、核合意に盛り込まれた義務や可能性に注目し、核技術の分野で長期的な計画を立てることができている」
世界の多くの国や人物が、核合意の内容に対するアメリカの約束不履行をはっきりと認めています。IAEA国際原子力機関の数々の報告は、イランが核合意に対する取り決めのすべてを履行していることを示していますが、一方でアメリカは、これまで、核合意に対する取り決めを履行していません。アメリカは、核合意により、制裁を復活させたり、再び行使したりしてはならないことになっていますが、常にそれを破り、核合意に違反しています。

イラン外務省のタフテラヴァーンチー欧米担当次官は、IP通信のインタビューで、イランから核合意に違反することはないとし、次のように語りました。
「ヨーロッパやイランとの核合意の形成に関わった国々は皆、イランがこの合意の内容を守っていることを表明しており、アメリカと一部の国のみが、これに関して妨害を行っている。アメリカが核合意に違反すれば、イランはそれに対して断固とした回答を与えるだろう」

アフガニスタンの首都カーブルにあるサウジアラビア大使館は、先週、「イランはアフガニスタンの武装グループを支援している」と主張しました。在アフガニスタン・イラン大使館は、声明を発表し、この主張を否定すると共に、「地域のテロの波や過激派がどこから生まれたのか、このような思想の支援者の誤った政策が、地域をどのような問題や困難に直面させているのかは、誰の目にも明らかだ」としました。この声明では、アフガニスタンの平和と安定を支持するイランの原則的な政策が強調されています。
1998年8月8日、アフガニスタン北部のマザリシャリフで、アフガニスタンに駐在するイラン人外交官とイルナー通信の記者を合わせた数人が殉教しました。今月8日はその事件から19年となりました。このテロ攻撃で、外交官9人と記者1人が、タリバンによるマザリシャリフ占領後に殉教しました。
明らかに、イランは、テロによる損害を受けた国の治安の回復と、集団の安全保障を実現するため、あらゆる可能性や手段を利用する意向です。この中で、先週、イラン国家安全保障最高評議会のシャムハーニー書記は、アフガニスタンの安全保障関係者にメッセージを送り、アフガニスタンの一部地域の罪のない人々へのテロ攻撃を強く非難すると共に、テロに対抗する上で統一を維持する必要性を強調しました。この地域では、テロ組織の攻撃により、女性や子供を含む50人以上の民間人が殺害されました。

イランのアラーグチー外務次官は、笹川平和財団の会合に出席するために東京を訪問しました。この訪問により、両国の高官が、二国間関係の拡大に関して話し合うための機会が生まれました。この中で、アラーグチー次官は、河野外務大臣と会談しました。河野外相はこの会談で、イラン訪問に関心を示し、次のように強調しました。
「日本のイラン政策は、地域問題に関する協議の拡大と全面的な関係の推進の上に成り立っている」
イランは、アジア重視の政策の中で、アジア諸国との関係の拡大を特に重要視しています。この中で、国会は先週、東南アジア友好協力条約へのイランの加盟に同意し、この条約の批准は、イランと東南アジア諸国の協力に向けた新たな道だとしました。インド、日本、韓国、ニュージーランド、中国、EUも、この条約に加盟しています。

イランと日本の関係を見ると、両国は、協力や投資に向けた多様な機会が整っているにも拘わらず、日本がアメリカの一極主義的な政策の影響を受けているために、それほど好ましい成長を遂げていないことが分かります。一方で、イランと他のアジアの経済大国との関係は拡大しており、その例が、イランと中国の協力です。JETRO日本貿易振興機構の石毛理事長は、昨年12月にイランのザリーフ外相と東京で会談した際、次のように語りました。
「制裁の解除により、日本企業のイランでの活動や投資を拡大する土台が整った」
また、現在も日本の世耕経済産業大臣は、これについて次のように語っています。
「日本は、イランとの経済協力の拡大と向上に取り組んでおり、これ関して必要な支援を行う」
日本は、イラン市場への進出に関して、他のアジアやヨーロッパ諸国よりも遅れを取っています。日本経済新聞は、少し前、次のように報じました。
「日本の政府関係者には、これ以上、イランへの進出に関してアジアやヨーロッパのライバル国に後れを取らないよう、イラン訪問を提案する声がかかっている」
自動車産業やナレッジベース企業など、産業や石油に関する大企業が、急速にイランの巨大な経済市場に参入しようとしており、この中で、日本の進出が少ないように思われます。アラーグチー次官の今回の日本訪問は、再び、イランと日本の関係拡大に沿った政治的、経済的な対話を復活させるための機会となっています。このような協力が、できるだけ早く実現することが期待されています。