週刊イラン
この1週間に起こった主な出来事です。 犠牲祭の特別な儀式が行われ、メッカ巡礼者の多神教徒に嫌悪を示す儀式が、最高指導者のメッセージと共に実施されました。 イラン政府週間に入り、大統領と政府閣僚が最高指導者と会談しました。 シリアのテロとの戦いで殉教したホジャジー氏の遺体が帰国しました。 また、IAEA国際原子力機関がイランに関する最新の報告を発表しました。
多神教徒に嫌悪をあらわす儀式は、イスラム暦ゼルハッジャ月9日、イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師のメッセージと共に、サウジアラビアの聖地メッカ近くのアラファトで実施されました。

この儀式は、ハッジ・メッカ巡礼の政治的に重要な側面のひとつです。コーランの節は、メッカ巡礼の政治的な側面にも言及しています。例えば、コーラン第5章アル・マーイダ章食卓、第97節には次のようにあります。エ「神は、人々の問題を整え、確かなものにするための手段としてカアバを据えられた」
最高指導者のハーメネイー師は、神の家の巡礼者にメッセージを寄せ、イスラム教徒の間に対立を生じさせるための覇権主義体制の政策に触れ、イスラム教徒の社会は、メッカ巡礼という類まれなる宗教義務の政治と精神、個人と社会のどちらの側面も必要としているとしました。そして、「最新の手段を利用した物質主義の魔法が、堕落を誘っている一方で、イスラム教徒の間に対立を生じさせようとする覇権主義体制の政策は、イスラム諸国を、対立と情勢不安の地獄に変えている」と語りました。また、「メッカ巡礼は、イスラム共同体が抱えているこのどちらの問題も解消できる。心から錆を落として敬虔さと神への知識の光で照らし、イスラム世界の苦い出来事に対して目を見開かせ、それに対抗するための意志を確かなものにし、歩みを固め、手や心を準備させる」と強調しました。
メッカ巡礼儀式は、この何百万人による集会の目的が、イスラム共同体の運命に注目したものでなければならなということを物語っています。ハーメネイー師のメッセージにあったように、シオニストの敵が、イスラム世界の中心で混乱を煽っている中で、我々は、パレスチナの救済という絶対的な責務を怠り、シリア、イラク、イエメン、リビア、バーレーンの内戦、アフガニスタンやパキスタンなどでのテロとの戦いに明け暮れているのです。
メッカ巡礼は、悪魔の力を否定する象徴であり、敬虔な人間とは、不信心者には厳しく接し、仲間に対しては寛容であるということを意味します。また、多神教徒に対する嫌悪を示し、イスラムの真の力を反映します。このことから、イスラムの敵に嫌悪を示す儀式は、メッカ巡礼の政治的な側面を映し出したものと見なすべきでしょう。
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テロとの戦いで殉教したホジャジー氏の遺体が、2日土曜、彼の生まれ故郷であるイラン中部イスファハーンのナジャフアーバード行政区に移送され、埋葬されました。ホジャジー氏は、先月9日、シリアとイラクの国境で、テロ組織ISISに拘束された後、殉教しました。

ホジャジー氏の遺体は、レバノンのシーア派組織ヒズボッラーとISISの間の合意により、ヒズボッラーに引き渡され、そこからダマスカス、そしてイランに移送されました。ホジャジー氏は、他の勇敢な戦士たちと共にISISに立ち向かいました。イランは現在、シリアとイラクで、ISISなどのテロとの戦いの最前線におり、革命の精神によって、この困難な道を歩み続けています。
イラン国民は、テロの犠牲者です。1979年のイスラム革命勝利後、政府関係者や市民など、1万7000人以上が、イランの反体制派テロ組織モナーフェギンのテロによって殉教しました。
今から36年前の8月30日、イラン首相府でモナーフェギンが起こした爆弾テロにより、当時のラジャーイー大統領とバーホナル首相が殉教しました。この日はイランの暦で、テロとの闘争の日とされています。

実際、西側は、自分たちの利益に基づいて、テロをよいテロと悪いテロの2つに分類し、自分たちの目的にしたがって行動しようとしています。アメリカは、9.11同時多発テロ事件による波に乗り、アルカイダやISISといった現象を作り出し、テロとの戦いを、自分たちの目的のための口実にしています。アメリカのアナリスト、レイノルズ氏は、これについて次のように語っています。
「ISISなどのテロ組織は、西アジアへの西側の干渉と、サウジアラビアなどの地域諸国の影響力によって支援を受けた」
今年の政府週間は、新政権の発足と重なりました。最高指導者のハーメネイー師は、この日に際し、大統領、および、閣僚と会談し、幾つかの重要な点を勧告しました。
ハーメネイー師は、神の道における努力の精神と、見返りを求めない倍の努力の必要性を強調し、「政府閣僚は、政府の決定において共通の責務を有するだけでなく、互いに協力し、チームとして行動すべきだ」と語りました。
現在、今期政権は、短期的、長期的な目標や計画にそって活動を開始しました。国家の行政関係者は、今後4年間、最高指導者の戦略的な勧告により、その目標の実現に向けて、あらゆる可能性を活用する必要があるのです。
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ここからは、IAEAのイランに関する最新の報告についてみていきましょう。

IAEAのイランに関する定例報告が、先週木曜、発表され、IAEA理事国に配布されました。IAEAはこの報告の中で、「イランは、核合意の全ての取り決めを守っている」と強調しました。IAEAは、イランの核活動の実態調査を行っています。しかし、アメリカは、IAEAに大きな圧力をかけ、イランが核合意に違反しているように見せ、それによって、核合意を停止し、その責任をイランになすりつけようとしています。
アメリカのヘイリー国連大使は、先週、オーストリアのウィーンを訪れ、IAEAの天野事務局長と会談し、イランの軍事施設での一部の核活動に関して疑いを抱かせようとしました。
イランのローハーニー大統領は、先週、テレビのインタビューで、アメリカは、反イランの風潮を作ることに関して、歴史上最も厳しい状況にあるとし、次のように語りました。
「世界の人々のイランに対する見方は変化している。アメリカはもしかしたら、別の見方を持っているかもしれないが、決して、制裁は過去のような状況にはならないだろう」
ロシアと中国、ヨーロッパの多くは、トランプ大統領の核合意に反する政策に反対しています。フランスのマクロン大統領は、「核合意に代替案はなく、フランス政府は、核合意の実施について断固とした立場を取る」と語っています。