週刊イラン
(last modified Tue, 02 Jan 2018 12:59:26 GMT )
1月 02, 2018 21:59 Asia/Tokyo

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、12月30日に当たるイラン暦デイ月9日の英雄伝の記念日に当たって演説を行いました。

2009年12月30日、イランの数百万人の人々は、大統領選挙を口実にした扇動者に対する断固とした回答を示しました。

デイ月9日の英雄伝の記念日の行進

 

イランが地域的な外交を継続する中、同国の国会が、聖地ベイトルモガッダスを支持し、これをパレスチナの恒久的な首都として宣言しました。

イランのラーリージャーニー国会議長が、パキスタンを訪問し、同国の首都イスラマバードで開催されたテロ対策関連の会合に出席しました。

イランの防衛面での可能性について考えてまいります。

 

最近、イランの一部の都市で経済問題に抗議する集会が開催されています。

 

ハーメネイー師

 

アメリカの覇権主義的な体質は、これまでに何度もイラン国民に証明されています。2009年にも、不正行為を口実とした、第10期イラン大統領選挙後の騒乱や扇動行為において、イランのイスラム共和制に対する武器を用いないアメリカの戦争の新たな側面が浮き彫りになりました。

イラン・イスラム革命最高指導者のハーメネイー師は先週、イラン暦デイ月9日の英雄伝の記念日を前に、扇動行為を非難するとともに、アメリカの本来の体質に関して重要なポイントを指摘しました。

ハーメネイー師は先月27日、イラン全国のイスラム広報連携評議会のメンバーや責任者らと会談し、アメリカが常にイラン国民から自尊心や希望を剥奪し、疑惑を広めるための工作を行っていることを指摘し、次のように述べました。

「我々は、宗教の恩恵により、また国民の抵抗や賢明さをよりどころとして、これまで通り敵の鼻をへし折り、国民の生活経済の問題の解決に向けた体制責任者の努力を倍増させることで、今後も名誉と発展の道を力強く歩み続ける」

2009年大統領選挙後の暴動

 

2009年12月30日、イラン国民が大統領選挙後の扇動行為に断固たる回答を示すため、自ら街頭に繰り出し、抗議行進を行いました。この出来事は、イラン国民の運命を決定付けた重要な日の1つとなりました。

イランではこの日、歴史に残る偉大な出来事が発生し、これは後に英雄伝として語り継がれることとなりました。歴史に残るこの日、イラン国民は数百万人規模の抗議行進を実施し、社会構造を破壊しようとする勢力に従わない意思を表明し、第10期イラン大統領選挙での不正行為を口実に、邪道に外れようとする扇動因子に、厳しい回答を突きつけました。

第10期イラン大統領選挙後の騒乱を客観的に分析すると、次のような2つのポイントが指摘できます。1つは、1979年の国民によるイスラム革命の最も重要な成果として成立した、イスラム共和制の栄誉や有効性を防衛したことであり、これは暴動や騒乱による最大の攻撃の焦点となりました。2つ目の点は、選挙の正当性や健全性を歪めようとした動きに、人々が反発したことです。

この選挙に有権者全体の85%が参加したという事実を歪曲することは、決してささいなどうでもよい出来事として軽視できるものではありません。

こうした扇動的な動きは、この選挙で敗北した候補者への支援を口実とした、利己的な一部の因子の介入により、またイスラム最大の追悼行事アーシュラーのシーズンであるイスラム暦モハッラム月のさなかに、アーシュラーの価値観やシンボルへの侮辱が加わり、宗教に反する様相を帯びました。このことから、デイ月9日の出来事を根底から分析するには、これにかかわった全ての因子や背景に注目する必要があります。

ハーメネイー師

 

イランの最高指導者ハーメネイー師による先週の表明は実際に、地域・国際レベルでのアメリカの目的を多面的に物語るとともに、世界の諸国民が抱える問題の根本的な原因を明らかにするものです。

疑うまでもなく、ハーメネイー師が述べているように、アメリカはイラン国内で政治、宗教、民族、言語の違いを理由とした対立を引き起こすために巨額を投じ、複雑な計画を仕組んでいますが、それはまったく無意味であり、すでに失敗しています。そして、アメリカの現政権時代においても、イランは進歩発展の道を力強く歩み続けるに違いありません。

昨年発生した地域的、国際的な出来事や地域諸国がたどった足跡を吟味すると、2018年が幕を明けた現在、イランは仮に中東情勢で長期的な勝利を収める事はできなかったとしても、イランの内部対立を狙うライバルやアメリカ、そのほかの敵が想像さえしていなかった場面の多くにおいて、イランは西アジア地域における輝かしいスターとなった、と言ってもよいと思われます。

言うまでもなく、イランは近年において地域に影響を及ぼす存在であったと同時に、このことは想定外の進展を見せました。これについてはおそらく、イラクとシリアにおけるテロ組織ISISの殲滅に当たって、イランがこれほど大きな役割を果たす事は、ほとんど予測されていなかったと言えるでしょう。

イラン経済

 

最近は、これまでのどの時期にもまして、民間や政府系の経済活動家が、国家経済の現状を憂えています。最近の物価高に加えて、金融機関に預貯金を預けた人々にとっても、先行き不透明な状態が続いていることから、数ヶ月前からイランの複数の都市では抗議集会などか実施されています。

 

こうした抗議行動に続いて、先月28日と29日にもイランの一部の都市では、物価高や生活苦にあえぐさまざまな階層の人々、さらには預貯金を預けた先の金融機関が倒産し、元手を失った人々などによる抗議集会が実施されました。

こうした抗議集会は北東部マシュハド、中部イスファハーン、西部ケルマーンシャー、北部ラシュトなどで行われましたが、その目的に直線関係ないスローガンによりこれらの抗議行動は本筋を外れてしまいました。

国民には不服を申し立て、自分たちが問題を抱えている事を公に表明する権利がある事に疑いの余地はなく、またそうした行動は、社会の躍動性を示すものです。不満を表明するための自由なメディア空間や合法的な集会の開催も、社会の基本的な権利の1つです。しかし、ここで考えるべき事は、こうした抗議行動に対する外部からの視線です。イランの反体制派テロ組織モナーフェギンをはじめとするイラン国民の敵は、こうした抗議行動やアメリカ政府の声明を歓迎しており、このことはこうした干渉行為の様々な側面を明らかにしました。

アメリカ共和党のトム・コットン上院議員は、対イラン制裁案の支持派の1人であり、アメリカ議会において、イランでのこうした動きに触れ、アメリカの政府関係者に対し、イランでの騒乱を支持するよう呼びかけました。さらに、アメリカ政府の一部の関係者は、他国に対しイランでのこの動きを支持し、イランへの制裁や圧力を強化するよう求めました。

外国のメディアも、イランでのこうした抗議行動の要求内容が政治的な本質を持ち、現体制そのものを標的にしたものであると吹聴しようとしました。

BBC

 

もっとも、経済問題はイランだけに限られたものではないという事にも注目する必要があります。実際に、欧米諸国の多くが大きな経済問題に直面しており、自国の経済に明るい見通しをもてないのが現状です。

明らかに、経済問題の解決には、計画性と実践的な行動が必要です。イランの最高指導者ハーメネイー師は昨年、イランの大統領や政府閣僚との会談において、経済や生活水準をはじめとする重要なポイントについて述べました。

ハーメネイー師は、問題の幅広さや多様性、数多くの期待、さらに様々な問題が存在する事から、行政手段による国家の運営は極めて難しいとの見方を示し、次のように述べました。

「政府は決して、今後の選挙の問題だけにとらわれてはならず、その最後の業務日まで業務や努力、問題の解決に向けた計画を立案すべきである。そして、業務のトップに立つ政府にとって、最高の宣伝手段は、政府としての行動や措置である」

 

今から40年ほど前、イランではアメリカの傀儡政権だった王政に対する革命が勝利を収め、イスラム共和制が成立しました。そして、このことから、中東地域で自らの覇権を拡大しようという、アメリカの野望に満ちた計画は大きな打撃を受けました。このため、アメリカは常に、全力をあげてこの失敗を取り返そうとしてきました。アメリカとシオニスト政権イスラエルは現在、変化を起こし、イランを地域のバランスから取り除こうとしています。

2017年は、アメリカでトランプ政権が成立し、シオニスト政権イスラエルをはじめとする地域の一部の政権にとっては、イランの地域的な影響力やミサイル防衛能力を脅威とすることで、イランへの圧力を強化するチャンスが生まれたといえます。

イランのミサイル

 

イランのハータミー国防軍需大臣は先週、1980年代のイランイラク戦争により、イスラム革命にとっての敵と味方がはっきりしたとし、「イランへの敵対行為の奥の深さからして、イランでは戦略に対する長期的な捉え方が生まれ、これによりイランは防衛力を獲得することになった」と語りました。

しかし、地域の安全や安定を壊す要因とイランのミサイル能力とを関係付けることは、地域の情勢不安への懸念によるものではなく、地域での覇権主義的な目的を推進するための世論操作でしかありません。それは、地域の諸国民の運命の決定に対する外国の内政干渉や覇権主義に、イランが反対していることからも明らかです。

現在、シオニスト政権イスラエルに核兵器や最新鋭の兵器が存在していることは、地域の平和と安全を脅かす主な要因となっています。さらに、サウジアラビアがアメリカとの間で、1100億ドル相当の兵器購入契約を結んだ事をはじめとし、一部のペルシャ湾岸諸国が、武器の購入に巨額の軍事予算を当てていることも、地域の平和と安定をますます脅かしています。

ハーメネイー師は最近、この点について欧米諸国がミサイル防衛計画に関するイランへの圧力行使に向け、足並みをそろえている事を批判し、次のように述べています。

「ヨーロッパ諸国は、イランの防衛力や地域での存在といった問題において、アメリカに迎合してはならない。我々は、ヨーロッパがアメリカの不遜なやり方に歩調を合わせることを認めない」

 

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