週刊イラン
この1週間の主な出来事です。 イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、シリアのイスラム法学者らと会談しました。 アメリカとイギリスによる、国連安保理でイランを非難するプロジェクトが失敗に終わりました。 イランの法務大臣が、スイス・ジュネーブで開催された国連人権理事会の会合で演説しました。
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、先週木曜、シリアのアブドゥルサッタールサイード・ワクフ大臣やイスラム法学者らと会談し、イスラムの共通点を強調する必要性に触れ、次のように強調しました。
「我々皆が、いつの日か、あなた方が聖地ベイトルモガッダスで集団礼拝を行う日を目にできるよう望んでいる。その日はそれほど先ではなく、我々が生きていても、またいなくなったとしても、まもなくやってくるだろう」
ハーメネイー師は、これについて重要な点に触れ、次のように強調しました。
「数年前、シオニスト政権は、イランを25年後までにこのようにする、あのようにする、などと言っていたが、私はそのときに、あなた方が25年後を理解することはないと言った」
ハーメネイー師はさらに、一部の国の人々の屈辱は、その指導者の卑しさからくるものだとしました。
パレスチナ領土は、イスラム世界の戦略の中核でありながら、70年近くもの間、シオニスト政権によって占領されてきました。明らかに、パレスチナの人々の状況は、歴史に刻まれてきた数々の陰謀の古傷によるものです。アメリカは、シオニスト政権の最大の支援者として、常に、イスラエルを強化し、その安全を保障しようとしてきました。
ハーメネイー師は、この会談の前に、イスラムラジオ・テレビ連盟とアフルルバイト世界連合のメンバーと会談し、アメリカの陰謀を説明するとともに、アメリカの目的は、地域諸国の間に対立を作り出す政策、イスラム諸国の政治、経済、文化への影響力の行使、イスラム教徒の間に対立を引き起こす政策の3つの流れの中にあるとしました。
現在、この流れの中で、アメリカは、聖地ベイトルモガッダス・エルサレムをシオニスト政権の首都と宣言し、地域で新たな挑発行為を行っています。
とはいえ、この流れの形成には多くの要素が関係しています。これについて、地域問題において妥協を見せること、占領者との和解、偽りの約束への信頼、イスラム世界の可能性の無視といった事柄が、アメリカ、シオニスト政権、サウジアラビアの政府高官のパレスチナ問題に対する敵対を拡大させています。そのため、ハーメネイー師は、シリアのアサド大統領を賞賛し、次のように語りました。
「シリアは現在、抵抗の前線にいる。そのため、我々の責務は、シリアの抵抗を支持することだ。とはいえ、アサド大統領は偉大な闘争家となっており、ためらわずに堂々と抵抗している。これは一国の国民にとって非常に重要なことだ」
先週月曜夜、イギリスが国連安保理に決議案を提出しました。この決議案は、イエメン危機へのサウジアラビアやアラブ首長国連邦の関与については触れずに、この危機へのイランの役割に懸念を示しました。こうした中、ロシアとその他の3カ国は、この決議案はイランへの圧力を目的に作成された一方的なものであり、イエメンの衝突へのイランの役割を証明する証拠は存在しないと強調し、それに反対しました。
イギリスの決議案は、ロシアの拒否権行使によって却下されました。
この1年、アメリカ政府は何度か、国連安保理で再びイランの問題を提起しようとしましたが、そのたびに失敗しました。これは、国際分野におけるアメリカの孤立とイランの力を示す、新たな例となっています。
サウジアラビアが主導する連合軍は、常に、イランがイエメンの義勇軍に武器やミサイルを供与していると主張しています。
しかし、イエメン当局は、イエメン軍の防衛力は完全に国産のものであり、全方面からサウジアラビアに封鎖されているにも拘わらず、その力は日々、拡大していると強調しています。
イエメンの国際研究所のラジェハ所長は、このシナリオについて分析する中で、次のように語っています。
「アメリカは、この見世物の中で、3つの目的を追求している。アメリカは、サウジアラビアのムハンマド皇太子による挑発的な政策の真の支援者であるように見せようとしており、それによって、サウジアラビアとさらなる武器の契約を締結しようとしている。二つ目の目的は、イランに圧力をかけることである。アメリカ政府は、国内に対立を抱え、EUの同調がえられなかったため、批判の対象を核合意からイランのミサイル計画に変えようとしている。三つ目の目的は、イエメンにおける人道危機の問題である。アメリカはサウジアラビアと共にこの危機を作り出した。そのため、今回のような見世物により、サウジアラビアのイエメンへの攻撃と封鎖を正当化しようとしている」
ただいまお聞きいただいたのは、アメリカのイエメン戦争を巡る反イランのシナリオについて、イエメンの国際研究所のラジェハ所長が行った分析でした。
イランの国連代表部は、この動きに対して声明を発表し、改めて、イエメンへの3年に及ぶ爆撃は、人道的な悲劇を生んでいると強調しました。この声明には次のようにあります。
「イエメンの人々は、病気、飢餓、戦争に直面している。この戦争は、アメリカとイギリスの武器を使ったサウジアラビアの攻撃によって行われ、情勢不安を引き起こしている」
ワシントンポストは、これについて次のように報道しています。
「アメリカは、数千発のミサイルや武器をサウジアラビアに供与し、イエメンをはじめとする地域全体に混乱をもたらしている一方で、イランが地域に情勢不安を引き起こしていると非難している」
イランのローハーニー大統領は、先週、イラン南部バンダルアッバースの人々を前に、国連安保理でのロシアの立場を賞賛すると共に、アメリカとイギリスの行動を非難し、次のように語りました。
「先週月曜、アメリカは、イエメン問題に関する安保理の会合でイランを非難しようとしたが、今回も失敗した」
ローハーニー大統領は、世界の人々に向け、「もしイエメンの人々のことを考えているのなら、破壊的な爆弾をサウジアラビアに供与するのではなく、イエメンの人々に食料や医薬品が届くよう、サウジアラビアに圧力をかけるべきだ」と呼びかけました。
国連人権理事会の会合が、先週、ジュネーブで開幕しました。
この会合の始まりと同時に、国連のグテーレス事務総長が、イランの人権状況に関して利己的な報告を発表しました。この報告でも、以前の現実に反した報告と同様に、イランの人権状況に関して、不確かな情報が使用されており、イランにおける人権状況の進歩やこの問題を巡る措置には触れられていません。イラン外務省のガーセミー報道官は、この報告を否定し、次のように語りました。
「各国の人権問題を政治化したり、複数の基準を用いたりすることにより、国際社会はますます国連に不信感を抱くことになる」
西側は、人権を、覇権主義体制に反対する国々に圧力をかけるための道具にしています。イラン代表として、この国連人権理事会の会合に出席したイランのアーヴァーイー法務大臣は、人権に関する事実や問題に触れ、次のように語りました。
「一部の国は、異なる政治、文化、慣習を持つ国々に差別的に対応し、国連の人権に関する政策を問題に直面させている」
テヘラン大学の政治学の研究者であるアスギャルハーニー氏は、西側の人権に関するダブルスタンダードや現実について、次のように語っています。
「アメリカは、世界最大の人権侵害国であり、その一例として、各国で何十というクーデターを直接、企てていることを挙げることができる。残念ながら、国連人権理事会は、一部の国の干渉、特にアメリカの影響力により、過ちを犯している」
イランのザリーフ外相は、先週、政治・経済代表団を率い、東ヨーロッパやバルカン諸国の政府高官と会談するため、セルビア、ブルガリア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナを訪問しました。
ザリーフ外相のバルカン諸国訪問における会談の主な議題は、地域・国際機関やEUという枠組みにおける協力の強化、地域問題、特にシリアとイエメンの問題に関する協議、世界の共通の脅威であるテロや過激派との戦いの必要性となっています。
イランは、地域における戦略的な地位により、さまざまな分野における関係の拡大に向け、政治的、経済的に重要なポテンシャルを有しており、バルカン諸国も、ヨーロッパの一部として、イランとの協力の拡大に大きな関心を寄せています。
セルビアの観光・貿易大臣は次のように語っています。
「すべてのバルカン諸国の目的は、イランの8000万人の市場に参入することだ。我々は、ベオグラードを、バルカン諸国とイランの協力の中心地にしたいと考えている」
ザリーフ外相の東ヨーロッパ・バルカン4カ国の訪問の中では、貿易関係や経済、農業、産業協力の拡大が強調されました。