週刊イラン
この1週間にイランで起こった主な出来事です。
イランイスラム共和国の創始者ホメイニー師の命日の追悼式典が開催されました。
この命日に、イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が演説を行いました。
世界ゴッツの日の行進が行われました。
先週、イランのイスラム教徒は、ラマザーン月の、恩恵に溢れたガドルの夜の特別な儀式を行いました。
この時期は、ちょうど、イランイスラム共和国の創始者、ホメイニー師の命日と重なり、また、シーア派初代イマーム・アリーの殉教日の追悼儀式も行われました。
ホメイニー師の29回目の命日の追悼式典が、4日月曜に行われ、イランの多数の国民、体制責任者、他国の代表や大使が出席しました。
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、この式典で演説し、ホメイニー師は革命の象徴だとしました。
ハーメネイー師は、ホメイニー師は、2000年に渡って引き継がれた独裁体制を倒し、アメリカを敗北させ、“革命とイスラム体制を根絶させる”というイラン・イラク戦争の計画者の目的を失敗させた、力のある人物だったとしました。
イスラム体制は、ホメイニー師の生前、多くの困難を乗り越え、自負心によって、大きな発展を遂げました。現在も、イスラム体制は、さらなる向上と偉大さを目指して歩んでおり、敵に対して消極的になることはなく、常に、力強く抵抗しています。イラン国民は、ホメイニー師の道を継承し、その道を続ける中で、いかなるときも、弱くなったり、消極的になったりすることはなく、敵の理不尽な要求に抵抗してきました。
ホメイニー師の命日にハーメネイー師が行った表明は、実際、アメリカを筆頭にした、イラン国民の敵の陰謀に対する正確なロードマップです。彼らはイラン国民の力を弱めようとしています。ハーメネイー師は、このような動きに触れ、次のように語りました。
「敵は、この計画の中で、イスラム体制の強みと国力の要素を、問題を作り出す弱点にし、イラン国民がこの強みに対して希望を失い、悪いイメージを抱くように仕向けようとしている」
ハーメネイー師は、「ミサイル能力」を、イランの強みであり、安全保障の下地であるとし、次のように語りました。
「イランイラク戦争時代、我々は防衛のための武器やミサイル能力を持っていなかったため、国境都市からテヘランに至るまで、日夜、ミサイルの攻撃に晒された。しかし現在、若い専門家の努力により、我々は地域で最も優れたミサイル能力を持つ国になっている。敵は、もしミサイルを1発発射すれば、イランの10発のミサイルを受けることを知っている」
アメリカは、イラン恐怖症を広め、イランの核、ミサイル、人権、抵抗勢力への支援といった問題を提起し、イランの抑止的な軍事力の保有を阻止しようとしています。
イランのイスラム体制は、イスラム革命の理念から生まれた体制であり、敵の脅迫や理不尽な要求に屈したことはありません。イランは、安全保障、宗教的な価値観、虐げられた人々、特にパレスチナ人を支持するという革命の理念の点から、それらを守る必要が出た場合、力強く覇権主義者に対抗してきました。これについて、ハーメネイー師は、イランの別の強みとして、虐げられた人々への支援と世界の公正追求に触れ、次のように語りました。
「パレスチナや抵抗勢力をシオニスト政権イスラエルに対して擁護し、地域諸国の領土と独立を守ることは、イランにとって栄誉の源である。敵は、それを地域へのイランの干渉と題して、問題を作り出す事柄にしようとしている」
ハーメネイー師は、重要な場面への国民の参加は非常に重要だとし、ラマザーン月最後の金曜日に行われる世界ゴッツの日の行進に触れ、「神の恩恵と国民の大々的な参加により、今年の世界ゴッツの日は、例年以上に盛大に開催されるだろう」と語りました。
ハーメネイー師が、ホメイニー師の命日に行った演説の中で、重要なこのほかの点は、核合意の問題と、イラン国民の権利維持の必要性です。ハーメネイー師はこれについて、ヨーロッパの関係者の発言に触れ、次のように語りました。
「ヨーロッパの政府は、イラン国民に制裁を行使し、イランの将来に不可欠な核活動を停止させ、イランに対する制限も受け入れさせようとしているが、それは実現不可能な夢であることを知るべきだ」
ハーメネイー師は、「イランの政府と国民は、制裁を加えられながら、核活動も制限される、という状況に耐えることはない」と強調しました。また、イラン原子力庁の関係者に対し、核合意に沿って、ウラン濃縮能力を19万SWUに拡大するのに必要な準備を、迅速に整えるよう義務付けました。
この指示を受け、イラン原子力庁は、IAEA国際原子力機関に書簡を送り、「イランは、四フッ化ウランと六フッ化ウランの製造、遠心分離機のローターの製造と組み立てに必要な可能性を拡大するプロセスを開始する」と発表しました。イランの核技術は、多くの妨害や制裁にも関わらず、現在、国産の技術になっており、イランの核科学者によって実現された大きな歩みとなっています。
今年の世界ゴッツの日の行進は、地域の情勢により、これまで以上に重要なものとなりました。イスラム共和国の創始者、ホメイニー師は、聖地ベイトルモガッダス・エルサレムの解放とパレスチナ人の圧制や占領からの救済の実現を目指し、パレスチナの理想に忠誠を誓う日として、世界ゴッツの日を定めました。
ホメイニー師は、ラマザーン月最後の金曜日を世界ゴッツの日に制定したとき、実際、イスラム世界における新たな思想の誕生を追い求めていました。その思想の最も重要な柱となるのは、イスラム共同体の統一です。この思想は大きく広まっています。現在、パレスチナ人の闘争と抵抗は、パレスチナ人の将来に対する、その影響力を示しています。
1967年、シオニスト政権は、パレスチナ領土のおよそ2万1000平方キロメートルを占領しました。この面積は、後に、およそ9万平方キロメートルに拡大しました。このような流れが示しているのは、イスラエルの地域における行動は、占領を広げるためのものであり、シオニストは、アメリカの完全な支援を受けているということです。
この占領の拡大と同時に、アメリカは、シオニスト政権への支援を拡大しています。パレスチナ被占領地における入植地の建設の問題は、国連人権理事会や国連総会の議題にのぼるものの、毎回、アメリカの干渉により、この問題に関する国際的な非難にいたることはありません。残念ながら、サウジアラビアをはじめとする一部の地域諸国は、地域の情勢をシオニスト政権の利益になるように変えようとしており、これは、地域やイスラム世界の安全保障にとって、深刻な脅威となっています。
アラブ問題のアナリストであるルイヴァラーン氏は、次のように語っています。
「現在、地域で起こっているのは、世界ゴッツの日とは反対の事柄である。サウジアラビアは、トランプ大統領の訪問と同時に、リヤドの会合に世界54カ国を招待した。その目的は、イランへの敵対である。このプロジェクトで、シオニスト政権は同盟国として紹介されており、レバノンのシーア派組織ヒズボッラーとパレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスは、敵として紹介されている」
アメリカは、この問題に対処する中で、その影響力をシオニスト政権の利益になるように利用しています。
第二次世界大戦後、アメリカは、シオニスト政権に対して最大の軍事支援を行ってきました。アメリカ議会の研究センターの報告によれば、シオニスト政権が誕生した1949年以来、この政権にアメリカが行ってきた支援は、総額1240億ドルにのぼります。そのうちおよそ4分の3は、アメリカ企業からの軍備の購入に投じられ、残りも、パレスチナ被占領地にある企業からの軍備の購入に費やされました。
世界ゴッツの日の行進など、大きな集会の開催は、明らかに、パレスチナの虐げられた人々のメッセージを伝えるうえで効果的です。しかし、パレスチナ人をシオニスト政権から救うためには、抵抗運動に関する特別なモデルが必要なのです。