ドキュメンタリー・イラン(8)ーヤズド州アバルクーのイトスギ(日本語のナレーション付)
(last modified Sat, 31 Aug 2019 05:10:00 GMT )
8月 31, 2019 14:10 Asia/Tokyo
  • ヤズド州アブルクーのイトスギ
    ヤズド州アブルクーのイトスギ

今回は、イラン中部ヤズド州内アバルクーにある、樹齢の高いイトスギをご紹介してまいりましょう。

 

この樹齢の高いイトスギは、がっしりとした常緑樹であり、アバルクーと呼ばれています。アバルクーとは、ヤズド州内のある町の名称では、かつてはシルクロードに位置し、数多くの旅人や貿易商人らの通過点となっていました。アバルクーの町に残っている建物や史跡は、この町の悠久の歴史を物語っています。高さが25メートルあるこのイトスギをはじめ、これらの史跡などは常に地元民にとって聖なる場所とされてきました。

学者らの間では、このイトスギの樹齢は4000年以上と推定されており、また様々な伝説においては、このイトスギが預言者ゾロアスターによって植樹されたといわれています。イタリアの著名な旅行家マルコ・ポーロは、旅行記「東方見聞録」において、このイトスギについて述べています。

このイトスギのそばにある旧家の1つに、アーガーザーデ邸宅があります。この邸宅は、ガージャール朝時代に建設され、この町の大富豪の1人セイエド・ホセイン・アーバルクーのものでした。また、その伝統的な建築様式や美しさから常に注目され、年間を通して多くの観光客がここを訪れています。

この邸宅の建設に使われた資材は、日干し煉瓦とレンガです。敷地内の中央部にある中庭と大きな石造りの池は、この邸宅の美しさをさらに引き立たせています。

アーガーザーデ邸宅は、3つの方向にまたがって建築されており、季節や気候の移り変わりに合わせて住人が快適な生活を営めるよう設計されています。高さのある窓には、色鮮やかなガラスが使用され、この邸宅の美しさに花を添えています。天井は、芸術性に富んだ漆喰細工が施されるとともに、小さな尖った窪みが層を成して繰り返すムカルナス構造と呼ばれる装飾が施されており、これは見る者をうならせるものです。

さらに、この建物の窓はアルスィーと呼ばれる独自の構造を誇っており、この地域に見られる厳しい暑さや灼熱の太陽の光線を緩和するとともに、外から建物の内部が見えない仕組みになっています。さらに、この建物の大きな見所の1つは、バードギールと呼ばれ、2階建てとなっている天然の風クーラー(採風塔)です。この採風塔は、18メートルの高さを誇り、19の風の入り口には調節弁があります天井には、複数の四角形の風の入り口があり、それらはいずれも採風塔の直下に位置するとともに、小さなてこにより調節弁を開閉できるようになっています。

 

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