視点;イラン大統領の訪日、政治・経済目的による訪問
(last modified Sat, 21 Dec 2019 11:07:18 GMT )
12月 21, 2019 20:07 Asia/Tokyo
  • ローハーニー大統領と安倍首相
    ローハーニー大統領と安倍首相

イランのローハーニー大統領は、安倍首相の正式な招待により20日金曜東京入りし、同首相と二国間関係や地域・国際的に重要な問題に関して協議しました。

有識者の多くは、今回の訪日を「イランと日本の関係拡大」という枠組みで捉えています。

安倍首相は、ローハーニー大統領の訪日に喜びの意を表し、日本として全ての分野におけるイランとの関係を拡大する意向であると強調しました。

今回のイラン・日本首脳会談は政治的な側面から見ても、地域の安全保障、核合意や核問題に対する両国の共通の視点に注目すると重要なものだったといえます。

ローハーニー大統領は、安倍首相との会談において核問題に関し、「イランは国益確保の枠組みで、核合意維持のため全力を尽くしている」と強調し、「わが国が、米国の核合意離脱後、そしてヨーロッパ側の責務不履行を確認した上で合意の責務履行を段階的に縮小したことは、あくまでも核合意の枠組みによるものだ」と述べ、理解を求めました。

また、地域の安全保障に関して、「イランは常に、地域諸国や近隣諸国の協力や支援を得て、地域や世界の平和と平穏確立のために努力している」と述べました。

米国の核合意違反や違法な対イラン制裁は、国際法に反するものであり、また中国やロシア、EU、日本など大国の政策、そして世界規模での自由貿易の原則にも反しています。こうした状況に鑑み、日本が核合意や地域での緊張の継続を懸念するのは十分理解できます。その理由として、これら一連の問題が日本を含む世界の多くの国の経済の安定に悪影響を及ぼすことが指摘できます。

日本が必要とするエネルギーの80%はホルモズ海峡を通過してもたらされます。このエネルギー資源の確保にいささかでも混乱が生じれば、同国の産業は大きく損なわれることになります。世界第3位の経済大国である日本は、世界で米国と中国に次ぐ原油の輸入国であり、イラン産エネルギーを決して見逃す事はできません。

日本の英字紙ジャパンタイムズは、この問題に関する解説記事において、「現状において、日本のような中立的な立場にある国が行動を起こすことが重要かつ有益だろう」と論じています。

明らかなことは、これまでの米国の一方的な行動が、国際社会に甚大な弊害を及ぼしてきたという事実です。このため、米国に追従し、歩調を合わせることは地域や世界の安全保障および平和のためにはならないといえます。ローハーニー大統領が安倍首相との会談で、「地域の情勢不安の元凶が一掃される必要がある」と述べたのもこの点を指摘しています。

米トランプ大統領は過去2年間、米国の都合だけで核合意に最大限の打撃をあたえ、またイランの発展を阻むためにあらゆる手段に訴えてきました。これに関して、ローハーニー大統領は「核合意からの無責任な離脱という米国の違法なやり方は、米国のみならず、核合意の関係国のいずれの利益にもならず、制裁が、関係者双方が敗者となる以外結果をもたらさない事を証明した」と述べました。

日本は対外政策において、国際関係を支配する原則に従う事を示しています。このため、安倍首相は地域や世界に現実に迫っている脅威を客観的に把握し、米国やシオニスト政権イスラエルが主導する反イランの世論操作の影響を受けることなく、地域に恒久的な安全保障を確立するよう努力する必要があるのです。

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、今年6月、テヘランで安倍首相と会談した際に、核問題をめぐり米国が同首相にイランとの協議を要請している点に触れ、「イランは欧米諸国を相手に、6カ国という枠組みで5、6年間にわたり協議し、1つの成果を手にした。だが米国はこの決定的な合意を破棄した。これゆえ、全ての合意を破棄してきた国との再協議を、全うな行動だと考える者は果たしているだろうか?」との見解を示したのです。

 

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