コロナウイルス
視点;イランー新型肺炎対策における結束・団結
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イランー新型肺炎対策における結束・団結
世界に新型コロナウイルスが出現してから、早くも3ヶ月以上が経過しました。
この間に中国や西アジア、さらには欧米諸国にいたるまでの広範囲な地域の何万人もの人々が、この忌まわしい災厄に巻き込まれました。各国あわせて数千人の人々が死亡しています。この中で、医師や看護士、その他の医療関係者などがこの危険なウイルスとの戦いの最前線にいて、全世界の学者や研究者らも、ウイルスの治療・予防法を究明すべく、真剣な努力を重ねています。

イランの人々も、この世界的な災厄の例外ではありませんでした。今から約1ヶ月前の2月19日、イラン初の新型コロナウイルスの感染例が、テヘラン南方の町ゴムから報告されました。その後も、イラン全国の大部分の都市でこのウイルスの感染例、あるいは感染が疑われる事例が相次いで報告されるようになりました。過去1ヶ月間で、イランにおける新型コロナウイルスの感染例は、実に1万3000件以上に達し、そのうちおよそ5000人が治療を経て回復していますが、残念ながら700人以上の患者が死亡しています。イランでは伝統的な春の新年ノウルーズの祝賀行事を間近に控えた中で、国内全域を暗い影が覆っているのです。

しかし、イラン国民はこれまでと同様、災厄や苦痛を国家の威信や名誉の発揚の場へと転換しています。新型コロナウイルスが、招かれざる客のごとくイラン国民に猛威を振るう今、様々な階層が混在するイラン社会は「我々は新型コロナウイルスに打ち勝つ」をスローガンに手を取り合い、世界的な感染症の悪影響に耐えることを可能にしているのです。

医師や専門家、看護士などのイラン全国の医療スタッフらは現在、この恐ろしい感染症との闘いの最前線で活動しています。一方でイランは現在、制裁の影響で医薬品や医療機器など、医療分野の必需品を調達する上で大きな制限に瀕しています。こうした中で、国民は自発的な支援活動や結束により、治療・看護の分野で奔走する医療スタッフの活動意欲や希望を維持させようと努めています。
この数日、SNSには死の危機と戦い人々の生命や生活を守るイランの医学界を鮮やかに称賛する写真やコンテンツ、スローガンや動画、ハッシュタグが満ち溢れています。これらの写真や動画には、防護服やマスクを着用した医療スタッフらが、1980年代のイラン・イラク戦争の戦士らになぞらえられ、両者ともに「国家的な英雄」としてイラン国民が厚い感謝の言葉を送っています。
医学界以外でも、人々はこぞって自己献身や団結の方向へと向かっています。今や一般市民の日々の労務の多くが休業となり、彼ら自身が経済難と奮闘する中で、日々イランの各都市では、同国人の肩の荷を軽くしようと、休業のため収入がなくなったに賃借人に対し、店舗の賃料を免除する人々が大勢存在するのです。
日々、民兵組織や一般学生などの若者をはじめ、様々な階層の人々が集団で自発的に歩道や路地、さらには都市単位の消毒作業にあたっています。
私たちイラン人は新型コロナウイルスの撲滅に向けて歩みを進めています。

例年、イラン文化圏の伝統的な春の祝祭ノウルーズが間近になると、イラン人の間には春の喜びとともに連帯や同情心が芽生えます。これまで長年にわたり数々の困難に立ち向かい、自らが抱える痛みを乗り越えてきたイランの人々は今年は打って変わって、新型コロナウイルスという危険な感染症との闘い、そしてこのウイルスによって同胞を失った悲しみに遭遇する中、例年以上の壮大な団結を心に芽生えさせているのです。
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