視点
イラン最高指導者から見た核合意の今後と米民主主義の惨状
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イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が8日金曜、テレビおよびラジオでの中継演説において、最近のアメリカの動向、同国の核合意復帰に当たってのイランの条件、およびイランの防衛力や地域への駐留・参画に関して演説し、重要な発言を行いました。
ハーメネイー師はその演説において、アメリカの最近の動向を分析し、同国の政治・経済状況が惨憺たる状態にあるとの見方を示しています。
また、そうしたアメリカの混乱状態に触れ、「選挙関連の大失態や、数日に必ず1人の黒人が犠牲になっているというとんだ人権、世界はもとよりアメリカの同盟国からも失笑を買うことになった、アメリカが主張する価値観の本質の露呈、麻痺した経済、数千人にも上る失業者やホームレス、飢餓などは、アメリカの惨状を物語っている」と述べました。
先の大統領選挙では、アメリカ式自由民主主義の機能不全が完全に露呈された上、先日発生した、群衆による米議会襲撃騒動も、世界でアメリカの敵はもとより友好国からも失笑を誘った形となりました。今やもはや、アメリカ式の価値観や人権、民主主義は、他国にとっての基盤ではなくなっています。それは、昨年11月の米大統領選挙でこれらの価値観の不首尾が浮き彫りになったからです。
ハーメネイー師は、最近発生したアメリカ市民による議会の建物への襲撃事件を分析する中、2009年のイラン大統領選挙後の騒動・占拠事件に言及し、「当時の事件でアメリカがイラン向けに引き起こそうとしていた出来事が、このたびアメリカ自身に降りかかった」と表現しました。
昨今のアメリカの状況からは、同国の安定性がこれ以上ないほどに揺らいでいる様子が伺えます。アメリカの政府関係者ですらも、「今月6日に発生した出来事はアメリカ史上に汚点を作った」とし、また別の表現を用いて、これを「ポストアメリカ時代の幕開け」という表現で分析しました。これに関して、オバマ米前大統領は首都ワシントンでの騒乱と議会襲撃に触れ、「これはアメリカの歴史に汚点を残すことになる」と述べています。
リチャード・ハースCFR米外交問題評議会会長も、この出来事を分析する中で、「世界でもはや、人々が過去のようにアメリカを捉え尊敬を示すとは到底考えられない。ポストアメリカの時代が始まった日付があるとすれば、それは間違いなく今月6日のことだろう」と評しました。
ハーメネイー師はまた、これまでの様々な時代におけるアメリカの対イラン政策にも言及しています。その中で、特に重要なポイントを指摘した問題は、制裁問題やイランの地域駐留、イランの影響力および防衛力、そして核合意です。イランの体制責任者はこれまでに何度も、「西側諸国およびイラン国民の敵は、同国民に対する圧政的な制裁を終結させる義務がある。わが国の国民に対する各種制裁は犯罪に等しく、新型コロナウイルスが世界的に流行し猛威を振るっている中でも続行されている」と強調してきました。
最近、一部のヨーロッパ諸国ではアメリカでの政権交代と同時に、制裁の全廃という基本的根幹を無視したままでの核合意存続に向けて、制裁の全廃という基本的根幹は無視し、地域駐留やイランの防衛力に関する協議について提起しています。これに関してハーメネイー師は、「わが国のイスラム体制は、地域におけるわが国の支援国や友好国の力が強化されるよう行動すべきである。そもそも、わが国が地域に勢力を及ぼし、進出することは安定を生み出す要素である」と述べました。
さらに、イラン領空でのアメリカの侵略的物体の撃墜や、イラク・アサド空軍基地への打撃といった、現在のイランの防衛力の実例を挙げ、「敵はもはや、こうした現実から逃避することはできず、こうした現実に直面した敵は、自らの決定や計算にイランの力や防衛力を加味しなければならなくなっている」としています。
そして、核合意に関しても、イランとこの合意を交わした相手国がその責務履行を怠った後、イラン政府は原子力分野での最新の措置として、国会での議決の可決に踏み切り、テヘラン南部にあるフォルド核施設での20%濃度でのウラン濃縮を実行に移しています。
核合意の条項に定められているように、まさに相手側が行っている様に自らの義務を履行する権利があります。これはいわゆる、「責務に対する責務」の原則として定義されています。この条件下においては、イランが核合意による経済的な利益を完全に受けられるようになった場合、すなわち対イラン制裁が完全に解除された場合にこそ、バイデン米次期政権の核合意復帰が意味あるものとなり、イランも自らの本来の責務履行に復帰できることになるのです。
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