視点
イラン大統領のタジキスタン訪問、SCOの位置づけの捉え方
ライースィー・イラン大統領が、タジキスタンのラフモン大統領の正式な招聘により、またSCO上海協力機構首脳会合への参加・演説のため、同国の首都ドゥシャンベを訪問しています。
ライースィー大統領はこの訪問において、SCO首脳会合に参加した各国の首脳らとも個別に二者協議を行う見込みです。
さらに、この会合の終了後には、ラフモン大統領との二者協議も予定されています。
就任後初の外遊としてのライースィー大統領の今回のタジキスタン訪問は、以下の2つの理由から重要視されています。
第1の理由は、今回の訪問がタジキスタン大統領の正式招待によるものであり、イランと歴史や文化、言語、文明といった点で多くの共通点を持つ国の当局者との二者協議がなされることにあります。
第2の理由として、ライースィー大統領がSCOのオブザーバー国として今回の首脳会合に参加し、そこで演説することが指摘されます。
この視点から、ライースィー大統領の就任後初の外遊としてのタジキスタン訪問とSCO首脳会合への参加は、特別なメッセージを有しているといえます。
SCOは創設されてからまだ20年ほどではあるものの、地域の主要国が加盟していることから、今やアジアにおける地域に根ざした組織の新たな見本とされています。SCO内の有力国であるロシアや中国といった大国は、現在この組織のオブザーバー国であるイランとは戦略的な関係を有しています。
中央アジア・コーカサス問題の専門家であるモフセン・クーゼギャル・カーレジー氏は、エネルギー、運輸、通商の各分野を含めた多様な範囲に及ぶイランとSCOの協力の重要性を指摘し、これらの分野には地域における戦略的な重要性がある、との見解を示しています。
SCO加盟国の分布範囲・地理的広がりにおいては、イランが西アジアで最も重要な輸送経路を持っているため、イランという中継点を使用して海路を使ったトランジット輸送および貿易接続は非常に重要です。たとえば、イラン南東部チャーバハールの戦略的港湾と、これを東アジアや中央アジアおよび西アジアに接続する鉄道や高速へのアクセスは、SCO加盟国にとって絶好のチャンスとみなされます。
地域の集団安全保障の観点からも、SCOが多国間主義に基づく目標を掲げていることから、イランとこの組織の間の協力は、地域の同調と多国間主義に沿ったものだと言えます。
地域の過去10年間の情勢は、シリアのテロに対抗し、共通の脅威に立ち向かい共通の利益を保護するためにロシアとの戦略的協力を行っているイランの役割が重要性を持つことを証明しており、これはSCOの目標にとって特に重要な点となります。イランの戦略は、地域協力や、政治、安全保障、経済、貿易、文化面での相互協力の強化、そして西側諸国の一極主義的行動に対抗しての多国間主義の拡大です。
これらの要素を考慮すると、イランがSCOとの協力に関心を持っている理由は、これらの要素を強調し、二国間および多国間相互作用と相互利益のための新しい能力を生み出す点にあると言えます。今回のSCOサミットへのイラン大統領の出席の重要性は、この文脈で評価に値するものといえるでしょう。
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