視点
イエメン戦争の終結を強調するイラン最高指導者
イラン・イスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、イエメン戦争の終結を求めました。
ハーメネイー師は12日火曜午後、体制責任者らとの会談で、抑圧されたイエメン国民の勇敢さを賞賛するとともに、サウジアラビアの体制責任者に対する善意・同情心からの勧告の中で、「おそらくは勝算がないとわかっている戦争を、なぜあえて続けるのか? 別の道を見出して、この行き詰まりから自らを脱出させよ」と呼びかけています。
そして、イエメンでの最近の停戦を極めてよい事だとし、「この合意が文字通りの本当の意味で実施されれば、それが続いていくことも可能だ」と結びました。
ハーメネイー師は、抑圧されたイエメン国民に対する8年目に突入したサウジアラビア主導アラブ連合軍の圧政的な戦争の継続を指摘しています。しかし、サウジおよびこれに同盟するUAEアラブ首長国連邦は開戦当初の主張とは裏腹に、この戦争で高い戦果をあげイエメン国民の抵抗を打ち砕き、イエメン救国政府や同国のシーア派組織アンサーロッラーを弱体化させる、といったことはできていません。
逆に、各種の巡航・弾道ミサイルや無人機を使用したイエメン政府軍および義勇軍の報復や反撃により、サウジ政権は甚大な被害を受けており、特に最近では同国ジッダにあるサウジ・アラムコ石油会社の施設に対する攻撃で、サウジ政府は数十億ドルに及ぶ損害をこうむっています。
もっとも、アラブ連合軍は国連の働きかけにより今月2日からイエメンでの停戦が成立した後も、これまでと同様に空爆や封鎖を続け、さらには人道支援物資運搬船の一部拿捕により、100回以上この停戦に違反しています。しかし、イエメン救国政府は同国での厳しい人道状況に着目し、自らは従来どおり停戦を遵守する必要があるとみています。
イラン最高指導者は、長年にわたりUAEとともにイエメン国民に対しサウジが展開した戦争が無駄であったことに注目し、サウジに対しほかの道の模索とイエメン戦争という泥沼からの脱出を求めています。これに関して、イラン最高指導者の視点から見ると、イエメンでの最近の停戦は交戦勢力の双方間での対話と和平のプロセスの開始に向けた要素であり、それにより、イエメン抵抗軍に対するサウジとUAEによる無益な戦争の終結につながると考えられています。
もっとも、イエメン戦争でサウジ側が停戦を受け入れたことには、複数の理由があります。そうした理由には、サウジ自身がイエメン戦争で失望していること、サウジやUAEの拠点および施設に対するイエメンの容赦ないミサイル・無人機攻撃継続の阻止、そして特に亡命中のハーディ・イエメン元大統領失脚後のイエメンにおける和平実現に向けた、国連の監視下での政治協議の開始、さらにイエメン・アデンにおける8人制の大統領府評議会の発足、そしてイエメン側の攻撃への抵抗に向けたアメリカからの本格的で効力のある支援に関してサウジが失望していることなどが指摘できます。
実際に、アラブ連合軍とこれを支持する西側は、イエメン救国政府の抑止力の増大や、サウジおよびUAEの戦略的・中枢施設への攻撃に向けたイエメン側の力の誇示、さらにはウクライナ戦争勃発による国際舞台での最近の情勢変化に注目し、現段階では停戦の受諾および進展性ある政治的協議の開始以外に、もはや道はないことを悟っているのです。

