日本のインフレが40年8ヶ月ぶりの高水準、企業・家計の共倒れの危機が浮上
日本財務省が、同国のインフレが40年8ヶ月ぶりの高水準に達したことを明らかにしました。
日本では特に昨今、ウクライナ危機や円安なども追い討ちをかけた形で、輸入品を中心に様々な品目の値段が上がっています。
去る11月18日午前8時半に発表された、日本今年10月CPI消費者物価指数は、生鮮食料品を除いた数字で予想の前年同月比+3.5%に対し、発表は+3.6%となっています。
前月・9月の数字が3.0%だったことから、インフレ率は9月より一段と上昇しており、この数字は1982年2月以来40年8ヶ月ぶりの高インフレとなりました。
こうした傾向の中、2023年春季労使交渉を控え、賃上げの前提となるインフレ率が今後どう推移するかに注目が集まっています。
インフレ率の高まりの底流には、地政学的枠組みが変わり、世界経済が第2次大戦後の「第3フェーズ」に入ったことが指摘されています。
それは、米国の世界覇権の弱体化、米国と中国の対立激化、中国の経済成長の鈍化を基調とし、その特徴は「戦略的グローバリゼーション」「エネルギー制約」「労働力不足」です。
これら3つの特徴はすべて供給面での資源制約に作用する因子であり、その結果としてデフレ・ディスインフレの時代は終わり、高コスト・インフレの時代が到来した形となっています。
この結果、「企業部門の利潤圧縮」と「家計部門の実質支出減少」の同時進行という、企業・家計共倒れの構図が懸念される状況が生じています。
家計が生活水準を維持するためのみならず、消費者が購買数を大幅に減らさず値上げを受け入れられる環境を作るために、企業にとっても持続的な賃上げの緊要性はかつてなく高まっている、と言えそうです。