日ロ漁業交渉停滞により、サケ・マス漁業者が出漁できず
ロシアによるウクライナでの特殊軍事作戦の影響で、日本・ロシア政府間の漁業交渉が開かれず、漁業者が出漁できない状況が続いています。
日本の報道各社が10日日曜、報じたところによりますと、日本の200カイリ内に出漁するサケ・マス流し網漁は同日に解禁される予定だったのが、出漁できないままになっているということです。
漁業協力費や漁獲割当量などの操業条件は原則として毎年春、操業に先だつ漁業交渉で決定されてきました。
過去2年は、新型コロナウイルス感染拡大によりオンラインで会議が開催されていましたが、今年は開催のめどすら立っていません。
ウクライナにおけるロシアの特殊軍事作戦により、戦場とは遠く離れた日本での出漁が阻まれた形となっています。
最近、ロシアは西側の制裁に同調したなどとして日本を「非友好国」に指定しており、日本政府も今月8日に駐日ロシア外交官らの一部の国外退去を求めました。
日本政府のこのような措置に対し、ロシア外務省のザハロワ報道官も「しかるべき対抗措置をとる」と表明しています。
こうした情勢下で「漁業交渉が開けるのか」と懐疑的な声も上がっており、盛漁期となる4月下旬に間に合うかどうかさえ見通せないのが現状です。
水産庁の神谷(こうや)崇長官は先月7日の参院予算委員会で「交渉を実施すべく調整する」と答弁しましたが、ロシア側から前向きの回答は「ない」とされています。
日本のEEZ排他的経済水域内で漁を行う場合でも、サケ・マスはロシアの川で生まれたため、漁業協力費を支払う必要があり、昨年の交渉は2億6千万〜3億円余りの範囲で漁獲実績に応じて決まることなどで合意が成立していました。
漁の最盛期は4〜5月ごろとされ、日ロ両政府は交渉を始める方向で調整する意向ですが、難航する可能性もあり、先行きは不透明となっています。
これに関して、太平洋小型さけ・ます漁業協会(札幌市)の菅原豊専務は「情報がなく、やきもきしているが、とにかく早期に交渉してほしい。漁期を逃せば魚はいなくなってしまう」と焦りを滲ませました。
ウクライナでの特殊軍事作戦をめぐる日ロ間の交渉がまとまらず、準備をしてきた北海道の漁師たちは出漁できず足止めされており「一日も早く結論が出てほしい」と訴えています。