G7+ウクライナ首脳のテレビ会談が実施、岸田首相「ロシア産原油を原則禁輸」
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岸田首相
G7主要7カ国の首脳が8日日曜夜、ロシアに対抗する西側諸国の措置の調整を目的に、ウクライナのゼレンスキー大統領とオンライン・テレビ形式で協議しました。
国際通信イランプレスによりますと、G7各国の首脳はゼレンスキー大統領とのオンライン会談後、これまで以上にロシアへの圧力行使を強化すると表明しています。
これにより、G7構成国はロシアの産業や政府系メディア、金融分野の執行当局、ガスプロムを含む主要な銀行を標的とした、同国への追加制裁行使を決定したことを明らかにしました。
G7首脳はさらに、G7が「タイムリーかつ秩序ある方法」でロシア産石油の輸入を段階的に禁止することも表明しています。
G7各国の首脳は、ゼレンスキー大統領とオンライン形式での協議の結果、「ウクライナが自由で民主的な未来を確保できるよう」軍事・経済支援を続け、「今後数週間で」財政支援を拡大することを確認しました。
G7の声明によりますと、「ウクライナ軍に対する軍事・防衛支援を継続する。サイバー攻撃からネットワークを守るためにウクライナを引き続き支援し、情報セキュリティーなど協力関係を拡大する。ウクライナの経済・エネルギー安全保障を強化するための支援も継続する」とされています。
また、「今後数週間でウクライナの資金不足を解消し、国民に基本的なサービスを提供するための短期的な資金援助を強化する一方、ウクライナ当局や国際金融機関と協力して長期的な復旧・復興支援のための選択肢を検討する」ということです。
ゼレンスキー氏はG7首脳に対し、引き続き自国を守り、ロシアのウクライナからの完全撤退が「最終目標」だと述べたということです。
今回のG7およびウクライナの首脳らによるテレビ会議で、岸田文雄首相はロシア産原油を原則禁輸する方針を表明しました。
岸田首相は、「石油について、エネルギー資源の大宗を輸入に頼っているわが国としては、大変厳しい決断ではあるが、G7の結束が何よりも重要な時であり、今回のG7首脳声明も踏まえ、ロシア産石油の原則禁輸という措置をとる」方針を表明しています。
その一方で、禁輸の具体的な時期については明言を避けました。
日本はエネルギー調達先の多様化を図るため、ロシアからも原油を輸入してきており、政府が先月発表したデータでは、昨年の原油輸入量に占めるロシア産の割合は3.6%となっています。
こうした中、岸田首相は「ロシアの侵略こそが世界経済の混乱の原因であることを明確に発信しつつ、脆弱な国が直面する食料やエネルギー分野の課題に対し、連携して支援・対処していくことが重要」と訴えました。
そして「ロシアによるウクライナ侵攻は、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、歴史の岐路に立つ今ほど普遍的価値を共有するG7の結束が求められている時はない」と述べています。
また、日本として、140人の資産凍結や、ロシアの軍事関連団体への輸出禁止などの追加の制裁措置を今月5日に発表したことを紹介し、G7が引き続き結束し、連携して対応を強化していくことの重要性を指摘しました。
さらに、G7によるオンラインサミットの数時間後、イギリスとカナダは対ロシア追加制裁を行使することを明らかにしました。
アメリカ政府もこれに先立ち、すでに8日日曜、ロシアへのさらなる追加制裁を発表しており、米企業からロシア国営テレビ局への広告費や、米国から提供される経営、会計コンサルティングのサービスを遮断します。
カナダのトルドー首相は同日、予告なしにウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談し、会談後の共同会見で、「首都キエフのカナダ大使館を再開し、ウクライナへの軍事支援としてカメラ搭載ドローン(無人機)や衛星画像、小型兵器、弾薬のほか、地雷撤去作業の資金を提供する」と表明しています。
また、カナダがウクライナからの全輸入品に対する関税を今後1年間、撤廃する措置も発表しました。
同氏はさらに、ロシアのプーチン大統領による「凶悪な戦争犯罪」は明らかだとして、責任追及を主張しています。
なお、この内容は先週、ロシア当局者に対する西側諸国の首脳陣の連携という形で提起されています。
こうした中、米ホワイトハウスは7日夜、「バイデン大統領のジル夫人が7日、ウクライナを電撃訪問した」と発表しました。
欧州訪問中のジル・バイデン米大統領夫人は母の日の8日、ウクライナ南西部の町ウジホロドを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領の妻オレナ・ゼレンシカ氏と会談しています。
CNNによりますと、 ロシアのフスヌリン副首相が8日、ウクライナ・マリウポリを訪問しました。
ロシアによるマリウポリでの特殊軍事作戦が始まって数週間が経過した中、フスヌリン氏は同地に足を踏み入れたロシア政府当局者としてはこれまでで最も高位の人物となっています。
プーチン大統領は最近、ウクライナにおけるロシアの特殊軍事作戦の目的を、非ナチ化および、ウクライナ国内のロシア系住民居住地域を大量虐殺から解放することだと表明しています。
ウクライナ東部のドネツクおよびルガンスクの両地域には、多数のロシア系住民が暮らしています。
この2つの地域は2014年、当時の政権に対する西側より勢力のクーデターを受け、ウクライナ中央政府から独立した自治共和国の成立を宣言していました。

