6月 18, 2022 17:25 Asia/Tokyo

東京電力福島第一原発事故で避難した住民らが、国に損害賠償を求めた4件の訴訟の上告審判決で、最高裁が国の賠償責任はないとする判決を下しました。

今回の裁判で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は17日金曜、「津波対策が講じられていても事故が発生した可能性が相当ある」とし、国の賠償責任はないとする統一判断を示しています。

この4件は、事故後に福島県から群馬、千葉、愛媛の各県に避難した住民が起こした訴訟と、事故により生業を奪われて生活が一変したとして福島に残った住民や各地への避難者ら3500人超が福島地裁に起こした訴訟です。

国が巨大津波を予測し、東電に対策を取るよう命じていれば事故を防ぐことができたかどうかが最大の争点。平成14年に政府の地震調査研究推進本部が公表した地震予測「長期評価」の信頼性も問われました。

原告側は、福島沖を含む太平洋側の広範囲で津波地震が発生する可能性があるとした長期評価などに基づいて防潮堤の設置や建屋の浸水を防ぐ「水密化」を行っていれば、事故を免れたと主張していました。

これに対し国側は、長期評価は当時、専門家の間で精度と確度を備えた見解として認められていなかったと反論し、津波は予見できず、仮に対策を取っていても、事故は回避できなかったと反論しています。

そして、国が東電に対策を義務付けなかったことと、原発事故の発生に因果関係はないと結論づけた形となっています。

全国で約30件起こされている同種訴訟で、最高裁が統一判断を示すのは初めてのことです。

 


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